昨年の紅白では、2度目の出演であるサラ・ブライトマンとXJAPANのYOSHIKIとの競演が目玉の一つになりました。
サラ・ブライトマンといえば、あの天から降りそそぐ神々しい光ような歌声が魅力の歌姫で、日本でもミュージカル『オペラ座の怪人』のクリスティン役(劇団四季バージョンではフランス語の名前でクリスティーヌ)。
ヒット曲の『Time to say good bye』(タイム・トゥ・セイ・グッバイ)はあまりにも有名ですね。
ミュージカル『オペラ座の怪人』はこうして生まれた
1984年、ロイド・ウェバーはかねてからの希望であるロマンティックなミュージカルについて製作を提案、映画『オペラ座の怪人』を鑑賞するなど模索していました。
そんなある日、ニューヨークの片隅でガストン・ルルーオリジナルの古本を発見します。「これこそ私の求めていたオペラ座の怪人、ファントムだ!」とひらめいたのでした。
サラに捧げられた『オペラ座の怪人』のクリスティン役
サラは、ミュージカル女優としてはまだまだ無名の存在でしたが、イギリスの作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバーと結婚していたときに出演した『オペラ座の怪人』のロンドン初演は大成功を収めます。
その後、ブロードウェイに進出する際にはニューヨークブロードウェイの俳優協会から大反発を受けます。しかし、ロイド・ウェバーは「クリスティン役はサラのソプラノにふさわしい役だ!」と強く押しきりサラをクリスティン役に大抜擢。ブロードウェイでの公演も押しも押される大ヒット作になり、サラは瞬く間に世界のトップスターへと駆け上がったのでした。
また、ファントムが歌う「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」はアンドリューがサラに捧げた歌として有名です。サラはロイド・ウェバーのミューズ(女神)であり、「オペラ座の怪人」はまさにサラの魅力に満ちあふれたオマージュなのです。
因みに、2人が離婚した後に製作されたミュージカル『アスペクツ・オブ・ラブ』は、ロイド・ウェバーの傷心そのものといえる作品でしょう。
なぜ!?トニー賞を逃したサラ・ブライトマン
サラは、この年のトニー賞を逃しています。なぜ!?クリスティンが舞い降りたともいえる、あんなにも素晴らしい作品が…なぜ受賞できなかったのでしょうか。
それは、あのニューヨークブロードウェイの俳優協会の反感があったからといわれています。芸術を愛する者としては、非常に残念なとしかいいようがありません。
また、ブロードウェイで『オペラ座の怪人』は史上最長のロングラン公演作品であり、皮肉なことにいまだその記録は破られていないのです。
最高のキャストで再演のミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』
あの『オペラ座の怪人』の続編であるミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』の公演がはじまりました。劇団四季が『オペラ座の怪人』を初演した日生劇場です。
注目は、やはりファントム役を市村正親と石丸幹二、クリスティーヌ役を濱田めぐみと平原綾香という豪華なWキャストでしょう。
2人は劇団四季時代『オペラ座の怪人』に出演していました。市村正親はオリジナルキャストとして初演からファントム役を熱演、石丸幹二はラウル役で華々しいデビューを飾ったのでした。『ラブ・ネバー・ダイ』では一味違ったファントムを見せてくれることでしょう。また、クリスティーヌ役の濱田めぐみも同じ劇団四季で演じており、歌手の平原綾香ともどもかなりの実力派ですから息があうこと間違いありません。
ミュージカル『ラブ・ネバー・ダイ』またもや現れたファントム
ストーリーに少しふれてみます。
高名なプリマドンナとして名をはせ今も活躍しているクリスティーヌは、結婚後に一男をもうけて夫のラウルと息子のグスタフと幸せに暮らしていましたが、ラウルの失態によりその幸せにも影が忍び寄ります。そして、ニューヨークからのコンサート出演依頼に一家で向かった先には、なんとファントムが…。ファントムは、マダム・ジリーらの手助けによって、コニーアイランドで経営者として成功していたのでした。