海外旅行に行ったことがあるという人は多くいるかもしれない。しかし、陸路で国境を渡ったことがある人はどれだけいるだろうか?
今回は、シンガポールからタイまでの国際列車を使った旅を紹介したい。
(実際に乗車した列車、シンガポール駅構内で(著者撮影))
マレー鉄道・タイ国鉄での旅への準備
単に鉄道旅をするにしても、往復の航空券、乗車する鉄道の切符を用意する必要がある。なお、航空券については、日本→シンガポール、タイ・バンコク→日本の片道航空券をLCC(格安航空会社)で予約するのが最も安上がりだと思われる。
一方、切符の購入については、現在ではマレー鉄道・タイ国鉄ともに、オンラインでの予約が可能となっている(私は、現地窓口で購入した)。なお、シンガポール発バンコク行の列車の運行というのはなく、当時の旅行ではマレーシア・クアラルンプールセントラル駅とタイ・ハジャイ駅で乗り換えが必要であった。
いざ出発、鉄道で国境を越える楽しみ
マレー半島を縦断する鉄道では、2回の国境越えがある。シンガポールといえば、“マリーナベイサンズ”をはじめとした近代的な建物が多い街である。
(シンガポール・マリーナベイサンズ(著者撮影))
一方、シンガポールの対岸の街、マレーシア・ジョホールバル(人口50万人、マレーシア第二の都市といわれる)に入ると、シンガポールほど高層ビルは目立たない。また、イスラム教のモスクが目立つようになる。
(路地裏はまだ発展途上の色を残す、マレーシア・クアラルンプール(著者撮影))
さらに、鉄道がタイに入ると、仏教寺院が目立つようになるわけである。このように、肌をもって、国の違いや宗教の違いを感じることができる。
(タイ仏教寺院、タイ北部(著者撮影))
日本は陸地を接する国境が存在しないため、国境というイメージをあまり持たないかもしれないが、国が変われば、宗教も違い、街並みも変わってくる。このようなことを楽しみながら移動できるのも、国際列車の良さだろう。
列車が国境を越えるとき、乗客は全員一度下車!
空港と同様に、鉄道にも出入国審査がある。このため、列車が国境を越えるとき、一度全員が下車し、パスポートのチェックを受け、再度乗車する必要がある。
国境を越えるのに1~2時間要するのは、よくあることだ。
タイ国鉄3等車の車内販売?!
実は、タイを訪れたとき、ソンクラーンに伴う連休(タイにおける旧正月連休)に重なってしまった。そのため、上等客車のチケットをとれず、3等車(普通車・日本でいえば特急券など不要な普通列車)しかとれなかった。
(タイ国鉄・3等車内部(著者撮影))
少し不安はあったが、4人掛けのボックスシートに、タイ人とともに座り、1晩を過ごしたのは、今では良い記憶である。
タイ国鉄の3等車では、地元のおばちゃんたちが物売りとして普通に乗り込んでくる。そして停車駅では、窓越しに物売りの人から、ごはんやお菓子を買うことができる。3等車に乗るような場面は少ないと思うが、ぜひチャレンジするのも楽しいだろう。
海外旅行は、油断せずに!
実はこのルートが通る、タイ・ハジャイは、外務省から危険情報が出ている。乗り換え等で通過するのみであれば、問題ないと思われるが、油断は禁物である。
海外どこに行くにしても、事前に訪れる地域の情報は得ておくことが大切であろう。
全行程のらずとも、1区間だけ乗るということも可能!
今回紹介した国際列車だが、シンガポールからマレーシア・ジョホールバルの間のみを乗車もすることもでき、隣国まで日帰り旅行ということも可能である。
買い物やレジャーで海外旅行に行くのもよいかもしれないが、少し隣国まで足を延ばしてみるというのも、よい体験になるかもしれない。
(フワランポーン駅(マレー鉄度の終着)、タイ・バンコクで(著者撮影))
【リンク等】
現在では、シンガポール発の長距離列車運用はなくなり、 ジョホールバルが長距離列車の発着駅となっている。シンガポール・ウッドランズ~マレーシア・ジョホールバル(所要時間5分)間を運行する列車がある。
なお、切符の予約はオンラインでもできるようである。
- マレー鉄道予約サイト(https://www.ktmb.com.my/)
- タイ国鉄予約サイト(https://www.thairailwayticket.com/eTSRT/)
私自身が使用していないこと、方法が常に変更されることもあるため、予約方法については、ここでは紹介しない。“マレー鉄道 予約”や“タイ国鉄 予約”と、検索すると多くの記事が出てくるので、参考にしてもらえればと思う。
また、外務省より、タイ・ハジャイが属するソンクラー県には、“不要不急の渡航はやめてください”が発出されている。せっかくの海外旅行、事故・事件に巻き込まれては意味がない。最新の情報を確認しておくことが必要だ。