出典: Pixabay 1. TRIZって何? TRIZは、「トゥリーズ」と読みます。日本語では、「発明的問題解決理論」といいます。 TRIZは、ロシア語で T:Teoriya (Theory;理論)R:Resheniya (Solving;解決)I:Izobretatelskikh (Inventive;発明的)Z:Zadatch (Problem;問題) それぞれの頭文字を取ったものです。 TRIZは1946年旧ソビエト連邦で海軍の特許審査官をしていた、ゲンリッヒ・アルトシュラー(Genroch Atshuller)氏が40万件の特許資料を分析して導き出した「発明の原理」をまとめた、問題解決理論をいいます。その後スターリンの弾圧によりアルトシュラー氏は強制収容所に収容されたりしていましたが、彼の同僚や弟子たちとともに、理論を発展させました。後に分析した特許資料は250万件に達したそうです。 長い間、ソ連からは門外不出でしたが、ソ連の崩壊により多くの学者や技術者が西側諸国に流出してきました。それからとくにアメリカで、TRIZについての研究が盛んになり、日本にも1990年代後半に紹介されました。 海外ではアメリカのフォード社や韓国のサムスンが、TRIZを使って製品の改良をした事例が報告されています。また日本でも、日立製作所やパナソニック、富士フィルム、日産自動車など多くの企業でTRIZの導入・適用が進んでいます。QFD(品質機能展開)や品質工学と組み合わせて、大きな成果を得ています。 アイデアを生み出す方法は、ブレインストーミングやJK法など、いろいろ発表されていますが、技術関係でブレークスルーを伴うような革新的な技法はTRIZしかないと言われています。 私も勤務先の技術部で特許管理を担当していたときに、発明特許を提出してもらうために、簡単な説明ですが紹介したことがあります。 2. TRIZを使った日立製作所での成功例 日立製作所がTRIZを用いてハードディスク(HDD)の寿命を延ばす技術の開発に成功しています。 ハードディスクは、ディスクと呼ばれる高速で回転する円盤の上を、スライダーと呼ばれる微小な読み取り装置が、非常に狭いすきまで浮き上がった状態で移動することにより、円盤に磁気的に記録されたデータを読み取る構造になっています。このすきまは、円盤が回転することにより発生する空気の流れにより…