ぎっくり腰が起こった後の対処法は、「なるべく早く炎症反応を抑える」ことが肝要だと言われています。また、早くから抗炎症剤系の痛み止めをとることが重要だと考えられています。 「痛み止め」という言葉には曖昧さがあり、単に神経の働きを麻痺させることが連想されますが、現在では湿布、飲み薬共に非ステロイド性抗炎症薬が多々使われています。 非ステロイド性抗炎症薬の服用は、回復を早めることになるのでしょうか? 結論から言えば、痛みが始まった早期の時から服用することで、初期段階での回復にはプラスになりますが、10日を超えるような長期的な服用は、組織・機能の長期的な回復にはプラスにはならないようです。順を追って考察していきます。 様々な種類の非ステロイド性抗炎症薬があるが、どれが一番良いのでしょう? 一口に非ステロイド性抗炎症薬と言っても、種類は沢山あります。 調べてみると、ぎっくり腰(Acute low back pain; 日本で言うところのぎっくり腰を含む英語)に対して、非ステロイド性抗炎症薬による治療は、短期間の対処療法として優位に効果的ですが、その種類の差はあまりないと2000年に発表された論文で報告されています(Van Tulder, Maurits W., Rob JPM Scholten, Bart W. Koes, and Rick A. Deyo. "Nonsteroidal anti-inflammatory drugs for low back pain: a systematic review within the framework of the Cochrane Collaboration Back Review Group." Spine 25, no. 19 (2000): 2501-2513.)。 2008年のより新しい論文でも、非ステロイド性抗炎症薬による治療は、坐骨神経痛を伴わないぎっくり腰(acute low back pain without sciatica)への短期間対処療法として効果的でありますが、ある非ステロイド性抗炎症薬が他よりも優れているということは見られなかったと報告しています(Roelofs, Pepijn DDM, Rick A. Deyo, Bart W. Koes, Rob JPM Scholten, and Maurits W.…