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ぎっくり腰には、早めの非ステロイド性抗炎症薬の服用が回復に良いのでしょうか?

2019/01/23 更新 2020/07/23
Makio
ぎっくり腰が起こった後の対処法は、「なるべく早く炎症反応を抑える」ことが肝要だと言われています。また、早くから抗炎症剤系の痛み止めをとることが重要だと考えられています。



「痛み止め」という言葉には曖昧さがあり、単に神経の働きを麻痺させることが連想されますが、現在では湿布、飲み薬共に非ステロイド性抗炎症薬が多々使われています。


非ステロイド性抗炎症薬の服用は、回復を早めることになるのでしょうか?


結論から言えば、痛みが始まった早期の時から服用することで、初期段階での回復にはプラスになりますが、10日を超えるような長期的な服用は、組織・機能の長期的な回復にはプラスにはならないようです。順を追って考察していきます。





様々な種類の非ステロイド性抗炎症薬があるが、どれが一番良いのでしょう?


一口に非ステロイド性抗炎症薬と言っても、種類は沢山あります。


調べてみると、ぎっくり腰(Acute low back pain; 日本で言うところのぎっくり腰を含む英語)に対して、非ステロイド性抗炎症薬による治療は、短期間の対処療法として優位に効果的ですが、その種類の差はあまりないと2000年に発表された論文で報告されています(Van Tulder, Maurits W., Rob JPM Scholten, Bart W. Koes, and Rick A. Deyo. "Nonsteroidal anti-inflammatory drugs for low back pain: a systematic review within the framework of the Cochrane Collaboration Back Review Group." Spine 25, no. 19 (2000): 2501-2513.)。


2008年のより新しい論文でも、非ステロイド性抗炎症薬による治療は、坐骨神経痛を伴わないぎっくり腰(acute low back pain without sciatica)への短期間対処療法として効果的でありますが、ある非ステロイド性抗炎症薬が他よりも優れているということは見られなかったと報告しています(Roelofs, Pepijn DDM, Rick A. Deyo, Bart W. Koes, Rob JPM Scholten, and Maurits W. Van Tulder. "Nonsteroidal anti-inflammatory drugs for low back pain: an updated Cochrane review." Spine 33, no. 16 (2008): 1766-1774.)。


結果、種類による回復効果に差はないと理解できます。ただし、薬効の継続時間等の差は勿論あるでしょう。



そもそも炎症反応とはなんでしょう?


炎症反応(inflammation)と呼ばれているものの実態はとても複雑で、その反応が単に良いとも悪いとも言えないし、生理学的に様々なレベルでの現象を含んでいる包括的な言葉です(Scott, A., K. M. Khan, C. R. Roberts, J. L. Cook, and V. Duronio. "What do we mean by the term “inflammation”? A contemporary basic science update for sports medicine." British journal of sports medicine 38, no. 3 (2004): 372-380.)。


炎症反応は体内に備わっている防衛、修復機能の症状です。免疫システムが異常を検知して、外敵の排除し、またダメージの受けた細胞・組織の破壊と再構築、回復へと向かう生体反応・プロセスから現れる症状なのです。


この炎症に、痛み、赤み、熱、はれ、そして張り等の症状が伴うことで、不快で不便なのですが、これも回復時はあまり無理して動きまわるなとのシグナルなのでしょう。



炎症作用を非ステロイド性抗炎症薬によって抑えることがが、回復を遅らせることは無いのでしょうか?


やはりとある論文では、スポーツ選手の急性軟部組織損傷(Acute Soft Tissue Injuries、ぎっくり腰による腰回りの筋肉の損傷に関しても推察できる)に対する非ステロイド性抗炎症薬による治療は、短期的には回復を早めるが、長期的な組織・機能の回復を遅らせるとあります。そして非ステロイド性抗炎症薬による治療は、短期的に得られる効果が、長期的にみた回復への逆効果を大いに優っている必要があると述べらています(Hertel, Jay. "The role of nonsteroidal anti-inflammatory drugs in the treatment of acute soft tissue injuries." Journal of Athletic Training 32, no. 4 (1997): 350.)。


炎症の作用を考えれば、それを抑えることで起こる長期的な回復への逆効果があることも理解できます。


逆に言えば、炎症反応が無いということは、傷・ダメージの回復が進んでいないとも考えられるようです(参照:Everything you need to know about inflammation)。




非ステロイド性抗炎症薬を何時とるべきなのか?



炎症は、傷や怪我の回復に関わっているものの、その過剰な反応は周りの組織にダメージを与えて、さらなる炎症を引き起こし、これがネガティブフィードバックを起こしてしまう危険性があります。正常に戻すには、その働きを抑える事も必要です。



極端な場合、この炎症反応が短期の間の回復へと向かわず、逆に免疫システムが自分自身の細胞を外的とみなす間違いが起こると、これが慢性的な炎症となってしまいます。その一つとして関節リウマチが挙げられます。


医学関係情報でメジャーなサイトであるWebMDでは、アメリカで何処のスーパーでも手軽に買えるAleveの主成分である非ステロイド性抗炎症薬ナプロキセン(ナイキサン)の使い方に関して以下のような説明を載せています。

If you are taking this drug "as needed" (not on a regular schedule), remember that pain medications work best if they are used as the first signs of pain occur. If you wait until the pain has worsened, the medication may not work as well.


もし、この薬が必要となって(常用とは別の意味で)使う場合、この薬は最初の痛みが感じられた時から使うのがベストです。もし痛みがひどくなるまで待っていたら、服用効果も低くなってしまいます。




非ステロイド性抗炎症薬により、その手に負えないネガティブフィードバックを早期の段階で抑え、程よい炎症作用による治癒、回復を促すと言ったところでしょうか。


確かに炎症が、それこそ燃え上がってしまってからでは、非ステロイド性抗炎症薬の効果は期待できなくなってしまうです。


日本であればロキソニン等の非ステロイド性抗炎症薬の早期の服用で炎症を抑え、痛みを和らげ、なるべく早めに無理のない範囲で日常生活に戻ることが、ぎっくり腰の回復、そして再発防止に効果的なのでしょう。



冷やしたり温めたりする効果は?


ぎっくり腰になったら、腰を冷やすと色々なサイトで勧められています。これは炎症を抑えることに一助があると考えられるからです。


ですが、初期に腰を冷やす事が実際に回復を促すかというと、科学的な証拠はとても弱いようです(French, Simon D., Melainie Cameron, Bruce F. Walker, John W. Reggars, and Adrian J. Esterman. "A Cochrane review of superficial heat or cold for low back pain." Spine 31, no. 9 (2006): 998-1006.)。

アメリカ国立衛生研究所のサイトによれば以下のようにあります。


Hot or cold packs have never been proven to quickly resolve low back injury; however, they may help ease pain and reduce inflammation for people with acute, subacute, or chronic pain, allowing for greater mobility among some individuals.


腰を痛めた時に、温めたり、冷やしたりすることによる早期回復は証明されたことはないが、個人によっては、痛みを和らげ、短期、中期、慢性的な痛みによる炎症を抑え、より大きな動きを可能にします。


効果は個人個人の体験によるようですが、統計的には確認されていないようです。



まとめ


  • ぎっくり腰になったら、その過剰な炎症を抑えるのに早い段階から非ステロイド性抗炎症薬をとることで、短期的な回復にプラスになります。

  • ただし、長期的な抗炎症剤の服用は、長期的な組織・機能の回復に対してプラスにならないばかりか、ネガティブに働くこともあるので注意しましょう。

  • ぎっくり腰の早期の対処療法としての非ステロイド性抗炎症薬服用は、10日くらいでやめておいたほうが長期的な回復にプラスとなるでしょう(参照 Non-Steroidal Anti-Inflammatory Medicines (NSAIDs) by Cleaveland Clinic)。

  • 非ステロイド性抗炎症薬の早期の服用で炎症を抑え、痛みを和らげ、なるべく早めに無理のない範囲で日常生活に戻ることが、ぎっくり腰の回復に効果的です。







#ぎっくり腰, #非ステロイド性抗炎症薬, #回復, #療法, #ロキソニン, #ナプロキセン
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