Holger LangmaierによるPixabayからの画像 うつ病と双極性障害という病気があります。双極性障害はかつては躁うつ病とよばれていました。名前の通り躁状態と抑うつ状態を周期的に繰り返す病気です。うつ病の主徴候である抑うつ状態と名称が同じなので、同じ治療を行えばいいと考えがちです。 うつ病と双極性障害と異なった名称がついているのは違う病気であるからです。従って、同じ抑うつ症状に対してもうつ病と双極性障害では治療法は異なります。 何故、同じ抑うつ状態なのにうつ病と双極性障害で治療が異なるのかをガイドラインに従って説明します。さらにそのガイドラインの問題点について私の意見を述べたいと思います。 精神疾患の治療のガイドライン 精神疾患の治療のガイドラインにはDSM-5というアメリカ精神病学会が作成したものが日本でも和訳されて使われて、日本うつ病学会のガイドラインとして公開されています。 世界的にもDSM-5が使われることが多く、その印税でアメリカ精神病学会は非常にお金がある学会のひとつになっています。DSMはDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略号で、直訳すると精神障害の診断と統計マニュアルとなります。このガイドラインの方針は症状を集めてきて、ある疾患に共通するものであればそれに疾患名をつけて、その疾患の発生率などの変化といった統計が使えるようにするのが目的です。 末尾の5は大改訂が4回行われたことを指します。科学の進歩に伴い情報が増えることからガイドラインが改定されることになります。このガイドラインが内科や外科の治療ガイドラインと異なるのは血液生化学検査やCT検査といった第3者が共有できるデジタルなデータを診断にほとんど役に立たないという点です。 つまり、患者の訴えとそれを聞いた医者の判断により、その症状が分類され、ほとんどの診断名が決まるということです。 うつ病の診断 「日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DMS-5)/大うつ病性障害2016」(以下「うつ病ガイドライン」)によると「抑うつエピソード」でうつ病が疑われた場合に、重症度判定と把握すべき情報を確認した後に治療方針を立てる方法を推薦している。他の分野でよくある治療アルゴリズムは作成されていません。 うつ病から除外すべき精神障害…