風邪などの感染症や中耳炎になると処方されることの多い抗生剤。実は一部の抗生剤は牛乳との飲み合わせが悪いことを知っていましたでしょうか?
日常的に飲む方も多い牛乳ですが、知らないうちにしっかりとお薬の効果を得られにくくなってしまっている場合があります。本記事では牛乳と抗生剤との飲み合わせについて現役の薬局薬剤師であるまっちが解説します。
日常的に飲む方も多い牛乳ですが、知らないうちにしっかりとお薬の効果を得られにくくなってしまっている場合があります。本記事では牛乳と抗生剤との飲み合わせについて現役の薬局薬剤師であるまっちが解説します。
牛乳と抗生剤の飲み合わせに注意が必要な理由
牛乳と一部の抗生剤の飲み合わせに注意が必要な理由は、牛乳の成分であるカルシウムと抗生剤が反応して(結合して)キレートを形成するためです。キレート結合した結果、薬が体に吸収されにくくなり、せっかく薬を服用しても十分に効果を得られにくい恐れがあります。
注意すべき飲み合わせがある医薬品の場合、医療関係者向けの薬の説明書(添付文書)に注意書きがあります。
本剤の吸収が低下し、効果が減弱されるおそれがある。
両剤の服用間隔を2〜4時間とすること。(ミノマイシン顆粒 添付文書より引用)
対策としては、薬を服用後2時間以上は牛乳の摂取を避けることが望ましいです。また、薬は基本的に水または白湯で服用することも大切です。
●カルシウムを豊富に含む食べ物・飲み物は?
- 牛乳(1カップ)231mg
- ヨーグルト(100g1/2カップ)120mg
- アイスクリーム(100g)140mg
- 小松菜(⅓束80g)136mg
- 干しエビ(3g大さじ1/2)213mg
上記から乳製品のなかでも牛乳はカルシウム含有量が多いことが分かります。牛乳を飲むことで抗生剤の効果が全くなくなるわけではないですが、服用間隔をあけるなど対策をすることで薬効が弱くなることを避けられます。
また、乳製品以外にも野菜や魚介類にはカルシウムを多く含むものがあります。牛乳ほどの含有量ではないので気にしすぎる必要はないですが、過剰な摂取は避けましょう。
牛乳との飲み合わせに注意が必要な抗生剤は?
牛乳との飲み合わせに注意が必要な抗生剤はニューキノロン系抗菌薬とテトラサイクリン系抗菌薬です。
●ニューキノロン系抗菌薬
- オゼックス錠・細粒(一般名トスフロキサシン)
- グレースビット錠
- シプロキサン錠
- バクシダール錠
- ジェニナック錠
- スオード錠
●テトラサイクリン系抗菌薬
- ビブラマイシン錠
- ミノマイシン錠・顆粒(一般名ミノサイクリン)
また、ニューキノロン系抗菌薬のなかでクラビット錠やアベロックス錠など、牛乳の影響を受けにくいものが一部あります。ですが、これらの薬も鉄やマグネシウム、アルミニウムなどカルシウム以外の金属カチオンとキレート結合しやすくて効果が弱くなってしまうことがあります。どのお薬を処方するかは医師の判断によりますが、薬の効果を最大限に発揮させるためには基本的に薬は水または白湯で飲みましょう。
まとめ|牛乳と抗生剤の飲み合わせが悪い理由
一部の抗生剤と牛乳は飲み合わせが悪いこととその理由を解説しました。基本的に、飲み合わせに注意が必要な薬が処方されていた場合は服薬指導時に薬剤師から説明があると思います。日常的に牛乳を飲む習慣がある方は抗生剤が処方される際に薬剤師に質問してみるのも良いでしょう。
また、小さいお子さんの場合は水で薬を飲めずにヨーグルトやアイスで服用している場合もあります。特別な理由がある場合は飲み合わせが悪くても服用するように指導することもあるので、薬剤師に相談してみて下さい。
本記事が適切な薬物治療の一助になると幸いです。