https://pixabay.com/photos/classical-music-concert-macro-music-1838390/ バイオリンといえば、華麗なソロやメロディを歌い上げる、メロディ楽器の代表格。 小さい頃からバイオリンを習っており、現在オーケストラに所属している私にとって、「バイオリンが弾けます!」は自己紹介の鉄板ネタです。 もう何百回もそう言ってきましたが、クラシックに詳しくない方でも、バイオリンを知らない方には出会ったことがありません。 “バイオリン”と聞いた時、あなたは何をイメージしましたか? 『ドラえもん』で、しずかちゃんが弾いている、あの楽器。 葉加瀬太郎さんが演奏する、情熱大陸のテーマ曲。 オーケストラや室内楽で、活躍する印象。 バンドで言うと、ボーカリストみたいな立ち位置。 いずれにしても、メロディを弾いているイメージが浮かんだはずです。 しかし、実は“メロディを弾かない”バイオリニストが、世の中には沢山います。世の中の半数…とまではいきませんが、ざっくり3分の1くらいは、“メロディを弾かない”のです。 そして私も、そんな“メロディを弾かない”バイオリン弾きのひとり。 バイオリンなのにメロディを弾かないだなんて、一体どういうこと?とお思いでしょうか。 それこそが、あなたの知らない“セカンドバイオリン”という世界です。 https://pixabay.com/photos/orchestra-music-2496505/ “セカンド”って何? バイオリンの分裂 バイオリンは、様々な編成の楽隊で演奏されます。大きく分けると、 バイオリンのソロと、合奏またはピアノ伴奏で構成される”ソロ曲” 2名~9名程度の少人数で編成された”室内楽(アンサンブル)” 弦楽器のみで構成される”弦楽合奏(ストリングス)” 弦楽器から管楽器、打楽器まで、大人数で演奏する”オーケストラ” の4パターンの編成で、バイオリンは活躍しています。 バイオリン奏者が複数名存在する“室内楽”以上の編成になると、バイオリンはほとんどの場合2つのパートに分かれます。 それが、“第一バイオリン(1st)”と、“第二バイオリン(2nd)”です。 “セカンド”と呼ばれる、バイオリンの裏担当 第一バイオリンは、お察しの通り、メロディを中心に担当します。誰もがイメージする“あのバイオリン”が、ファーストバイオリンです。 一…
メロディ楽器の花形である“バイオリン”であるにも関わらず、なぜか裏方である“伴奏”に取り憑かれてしまう“セカンドバイオリン”。 前回は、『あなたの知らない、“セカンドバイオリン”という世界』と称し、セカンドバイオリンとは?ファーストバイオリンとは何が違うの?など、簡単にご紹介してまいりました。 今回は、そんな“セカンドバイオリン”的目線から、あなたの知らない“セカンドバイオリン”がカッコイイ曲を、定番曲から選りすぐってご紹介します。 セカンドバイオリン的聴きどころも、合わせてご紹介したいのですが、悲しいかな、“伴奏”はなかなかスピーカーでは聴きとりにくいのが難点です…。ぜひ、イヤフォンやヘッドフォンなどで、聴いていただけたら嬉しいです。 “刻み”に燃える! ベートーヴェン作曲 交響曲第7番イ長調作品92より第4楽章 イヴァン・フィッシャー指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団による演奏です。『のだめカンタービレ』でご存知の方もいらっしゃるかもしれません。 どの楽章も素晴らしいのですが、セカンドバイオリンを語るなら、欠かせないのが4楽章(34:06~)。舞台に向かって左手手前のファーストバイオリンは軽やかなメロディを奏でていますが、右手手前のセカンドバイオリンはというと、お隣のビオラと一緒に右手を激しく上下に動かし、細かいリズムを弾いています。このように、同じ音で細かくリズムを刻む音型は、文字通り“刻み”と呼ばれます。 この“刻み”の音型、ご覧の通り、演奏する側はかなり疲れます。ストレッチ必須。腱鞘炎多発。それでも、音楽の時間感覚を支配し曲に推進力を与える“刻み”に、つい取り憑かれてしまうのがセカンドバイオリンの性なのです。我が身を削って刻み続ける、セカンドバイオリンがカッコイイ! もはや“打楽器”!ヨハン・シュトラウス2世作曲 美しく青きドナウ バレンボイム指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏です。毎年1月1日に開催される『ニューイヤーコンサート』をご覧の方は、すっかりおなじみの曲でしょう。 序奏と5つのワルツ、後演で構成されるウィンナ・ワルツですが。しかし、1:39から始まるワルツ以降、舞台右手手前のセカンドバイオリンは、全くと言っていいほどメロディを弾きません。『ワルツ』と呼ばれる3拍子の踊りの曲の中でも、ウィンナ・ワルツ(ウィーン風のワルツ)は特に、セカンドバイ…