私は生来の怠け癖があり、勉強もろくにせずに、小学校からすごしていました。高校は地元公立の進学校でしたが、大学入試の勉強もする気なし。大学に行くこと自体、家族には期待されていませんでした。そんな私でも博士号をとりました。日本ではなくアメリカで採りました。ここでは、なぜそんなことができたかを記述したいと思います。理由として、 ともあれ、実際の成功体験を伝えたい 博士号課程の人、そこに進みたい人を応援したい 少しでも教育や留学のヒントになれば と思っています。 なぜ・どうしてを言える 勉強嫌いでも博士号をとるには、まず第一に、博士号をとる理由が自分で明確にあることです。 博士課程のメインは研究です。博士課程を通して、研究技術を高めることが、どう自分と社会の役に立つのか。そして、博士課程での経験をこの先自分がどのように応用できるのか、または応用したいのかをはっきりさせることです。メインが基礎研究だっととしてもです。 もちろん、博士課程に入る前提としてこのことが分かっていなければなりませんが、課程中にもこれらを明確に自覚しておくことです。もしかしたら、課程中に理由が変わってくる事があるかもしれないし、またもとに戻ることもあります。なんにせよ、自分自身で明確な目的があると、勉強がし易くなります。 もし博士号をとる理由や、博士課程での経験をどのように応用していくかの構想があいまいな時には、一度社会に出てみるのも手です。休学してみてもいいのです。期間はその人次第ですが、一、二年で見えてくるものがあるかもしれません。私は実践感覚を得るために、一年ぐらい興味のあった分野で仕事をしてから院に入りました。何年か仕事を経験してから院に入ってきたクラスメイトと私と、直接大学から院に入ってきたクラスメイトとでは、もちろん年の差もありましたが、それ以上に経験と知識、認識の差がありました。 好きこそ物の上手なれ そして、特に、勉強嫌いにとって目的よりも大切なのは、自分から好きといえる事、トキメキや興奮を感じる事を博士課程と繋げていくことです。私は自分が興味があり得意だと感じることを伸ばそう、生かそうと考えました。そのことだったら勉強も研究もそこまでおろそかにすることはありません。クラスメイトの中には、そのトキメキが違うということに気づき、別の博士課程に変えた人もいます。指導担当教員を超えて別の教員からの指導を受け…
大学院へ進学することを考えている皆さんにとって、“修了後の進路”について、どのような進路があるのか、気になるのではないかと思う。 今回は、著者が所属している、農学研究科、特に農学専攻における例をもとに、学部卒で就職した場合との違いを主に紹介していく。 (桜と就活生、acworksさんによる写真ACからの写真) 農学研究科博士前期課程(修士課程)修了生の進路先 まず、博士前期課程修了生の進路先について紹介していく。 知っている人も多いと思うが、博士前期課程とは、一般に、4年生大学(学部)を卒業後に進学でき、標準卒業年限は2年となっていて、修了後は”修士(○○学)”を取得できる。 著者の身近な修了生における進路先は 都道府県の地方公務員(農業職) 肥料・農薬メーカー 種苗メーカー 食品メーカー が主な進路先であり、おおむね8割方の修了生がこのような分野の企業に就職する。一方、農学とは関係ない分野に就職する例もある。 農学部卒との違いは? 実は、先ほど挙げたような、メーカー等は、農学部卒の学生の進路先としても人気である。 しかし大きな違いは、 農業や食にかかわる分野を進路とする人の割合が多いこと 同じ企業に就職しても、研究開発分野に配属される場合が多いこと である。 (稲穂、Fururunさんによる写真ACからの写真) まず、学部卒の場合、農業や食にかかわる分野を進路とする人の割合は、半数以下である。一方、修士修了生は8割方と、大きく異なる。 これは、大学院進学により、就職可能な分野が狭くなるという考えもあるが、実際には、大学院に2年間在籍した中で、学部生に比べ、自身の進路をしっかり見定める時間があるためではないか?と考えている。 もう一点、学部卒と修士修了生の間には大きな違いがある。 同じ企業でも、学部生と修士修了生の配属先が異なる場合があることだ。同じ種苗メーカーに就職していても、学部卒の学生は営業に、修士修了生は、研究開発の分野に配属されやすいように感じる。 また、地方公務員にあたる都道府県の農業職として入庁した場合、学部卒の学生は、基本的に普及員として、修士修了生は、各都道府県に設置されている研究機関に配属されやすい都道府県もあるようだ。 しかし、企業や都道府県により、学部卒と修士修了生の扱いの違いについては異なるため、就職前に確認しておく必要があるだろう。 農学研究科博士後期課程修了生の進路先…