- ともあれ、実際の成功体験を伝えたい
- 博士号課程の人、そこに進みたい人を応援したい
- 少しでも教育や留学のヒントになれば
なぜ・どうしてを言える
もし博士号をとる理由や、博士課程での経験をどのように応用していくかの構想があいまいな時には、一度社会に出てみるのも手です。休学してみてもいいのです。期間はその人次第ですが、一、二年で見えてくるものがあるかもしれません。私は実践感覚を得るために、一年ぐらい興味のあった分野で仕事をしてから院に入りました。何年か仕事を経験してから院に入ってきたクラスメイトと私と、直接大学から院に入ってきたクラスメイトとでは、もちろん年の差もありましたが、それ以上に経験と知識、認識の差がありました。
好きこそ物の上手なれ
そして、特に、勉強嫌いにとって目的よりも大切なのは、自分から好きといえる事、トキメキや興奮を感じる事を博士課程と繋げていくことです。私は自分が興味があり得意だと感じることを伸ばそう、生かそうと考えました。そのことだったら勉強も研究もそこまでおろそかにすることはありません。クラスメイトの中には、そのトキメキが違うということに気づき、別の博士課程に変えた人もいます。指導担当教員を超えて別の教員からの指導を受けることもありました。
また私には、過去に、好きなことを好きなだけ一生懸命した経験がありました。それは前述したように、勉強ではありませんでしたが、博士号をとる上で、その過去の経験が十分役に立ちました。趣味や習い事、手伝い、スポーツなどはその点でもとても有効だと思います。
院の外での活動やサービスの利用
特に在学中は、ストレスになることも多々ありますから、研究や勉強から離れて、心や体に健康的なアクテビティをすることも大切です。私はあまりソーシャルな方ではありませんが、気晴らしに勉強・研究仲間と遊ぶことはありました。研究室から花火を観たり、校内のコンサートイベントに行ったりもしました。アパートの同居人の犬ともよく散歩しました。
月一回の習い事もしていましたし、子供3人のベビーシッターをしていたこともありますが、私にとってはすべて博士課程の活動意欲にプラスになりました。言い換えれば、勉強や研究以外の活動でストレスになることはできるだけしませんでした。怠け者なので必要以外のことをしないのは簡単です。
師匠・お手本になる人との出会い
最後に、学費のことはそれほど心配する必要がない状況にするということです。返還免除の奨学金や、学費免除制度を使うことを勧めます。会社に勤めているのであれば、会社からの奨学金もあるかもしれません。私の場合、アメリカでしたので、アシスタンシップのおかげで、授業料と健康保険料免除のほかに、生活費までいただきました。
もちろんアメリカの博士課程は、日本と異なる教育システムでできていますが、ぐうたらな者がどうしたら博士課程を乗り越えられるかの基本は変わらないと思います。むしろ私は、勉強嫌いの人には特に大学院レベルでの留学をお勧めします。
中学と高校の勉強をおろそかにしていても、以上のことのおかげで、自分が選んだ分野の最先端の研究と経験ができました。ただ最後に注意したいのは、おろそかにした勉強が、後々常識として、社会生活や知識としてとても役に立ってくるということです。私の場合は、それをしなかったばかりに、常識知らずになったところがあります。ある教授がこんなビデオを紹介してくれました。なかなか面白い見方だと思います。