メンタルヘルスに厳しい世の中、うつ病と診断を受けている人は非常に多いです。 けれど、うつ病と診断されて治療を受けているけれど、なかなか良くならないそこのあなた。そのうつ本当にうつですか? 実際に私は6年間も誤診によって苦しみました。 私は24歳の時、会社での過労とプレッシャーで心身の調子を崩し、病院で 『典型的なうつですね』 と診断されました。そして抗うつ剤での治療が始まったのですが、どの抗うつ剤をどのように使用してもまったく効かず、病状は落ち込むばかりでした。 それでいて、時に過食を兼ねたとんでもない爆買いの波が訪れるのです。抗うつ剤などの副作用(体重増加)と相まって、一時は体重が発病前の倍近くまで増えました。けれど、副作用による食欲増加のせいだと思って、爆買いなどの金遣いの荒さにはまるで目を向けていませんでした。 発病の原因となった会社を退職した後、しばらくの休養を経て転勤が多い会社に転職しました。まだメンタルが治っていなかった私にとっては、転勤=転院ということであり、転勤のたびに次の病院を探すのがかなり大変だったのですが、結果としてはこれが運が良かったのです。 うつ病と診断されてから6年後の30歳になって、転院先の病院で始めてこう告げられました。 『これまでの病歴を見るに、双極性障害、それも双極の波がうつに寄っているタイプである可能性が高いです』 これが、私が双極性障害(Ⅱ型)と判明するまで、実に6年かかった話の顛末です。 その後、双極性障害向けの投薬治療に置き換えて、今は心身ともにかなり落ち着いてきています。 この経験を踏まえて、ひどい場合は10年以上もうつ病と勘違いされる事がある、双極性障害(Ⅱ型)の話をしようと思います。 ●うつ病と双極性障害(Ⅱ型)の違い ☆うつ病はただひたすら落ち込むだけ 抗うつ剤などの投与で良くなってはきますが、うつ病だと、基本的に落ち込んでいることがほとんどです。また、落ち込んでいるときは不眠(睡眠障害)を伴うことがほとんどです。 ☆双極性障害(Ⅱ型)は躁状態とうつ状態が交互に来る 双極性障害はいろいろな種類に分かれるのですが、うつ病と間違えられやすいのはⅡ型なので、その話をメインにします。 Ⅱ型は躁状態が比較的軽く、うつ状態の割合がはるかに多い種類の双極性障害です。躁状態が比較的軽いと言っても、他の双極性障害に比べての話で、躁状態のときは睡眠時間が激減して異…
Holger LangmaierによるPixabayからの画像 うつ病と双極性障害という病気があります。双極性障害はかつては躁うつ病とよばれていました。名前の通り躁状態と抑うつ状態を周期的に繰り返す病気です。うつ病の主徴候である抑うつ状態と名称が同じなので、同じ治療を行えばいいと考えがちです。 うつ病と双極性障害と異なった名称がついているのは違う病気であるからです。従って、同じ抑うつ症状に対してもうつ病と双極性障害では治療法は異なります。 何故、同じ抑うつ状態なのにうつ病と双極性障害で治療が異なるのかをガイドラインに従って説明します。さらにそのガイドラインの問題点について私の意見を述べたいと思います。 精神疾患の治療のガイドライン 精神疾患の治療のガイドラインにはDSM-5というアメリカ精神病学会が作成したものが日本でも和訳されて使われて、日本うつ病学会のガイドラインとして公開されています。 世界的にもDSM-5が使われることが多く、その印税でアメリカ精神病学会は非常にお金がある学会のひとつになっています。DSMはDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略号で、直訳すると精神障害の診断と統計マニュアルとなります。このガイドラインの方針は症状を集めてきて、ある疾患に共通するものであればそれに疾患名をつけて、その疾患の発生率などの変化といった統計が使えるようにするのが目的です。 末尾の5は大改訂が4回行われたことを指します。科学の進歩に伴い情報が増えることからガイドラインが改定されることになります。このガイドラインが内科や外科の治療ガイドラインと異なるのは血液生化学検査やCT検査といった第3者が共有できるデジタルなデータを診断にほとんど役に立たないという点です。 つまり、患者の訴えとそれを聞いた医者の判断により、その症状が分類され、ほとんどの診断名が決まるということです。 うつ病の診断 「日本うつ病学会治療ガイドライン Ⅱ.うつ病(DMS-5)/大うつ病性障害2016」(以下「うつ病ガイドライン」)によると「抑うつエピソード」でうつ病が疑われた場合に、重症度判定と把握すべき情報を確認した後に治療方針を立てる方法を推薦している。他の分野でよくある治療アルゴリズムは作成されていません。 うつ病から除外すべき精神障害…