自殺は深刻な問題ですが、ある程度防ぐことができる問題でもあるようです。 少しでも、大切な命を救えるよう、ここでは簡単に危険信号などについて触れます。 前提として どんなに深刻な悩みを抱えていようと、自殺を考える人は誰も心の奥底では自分を傷つけよう、なくしてしまおうと100%断定して考えるわけではないようです。周りの残される人たちのこと考えながら、必死に悩み、生き方を模索しています。 ですから、ほとんどの人は本当は自殺などしたくはないそうです。でもそうすることだけが解決策と決めて、ほかの解決法・選択肢が見えなくなっています。そういう意味で、自殺は止められるのです。 また、ここまで悩んでいる状態は、私たちが自分たちで早期解決できることではありませんし、することではありません。専門の機関に助けてもらうこと、長期的見通しで改善を目標にしていくことが必要です。そして、もしも自殺を止められなかったとしても、自分を責め続けることはしないでください。それだけ、深刻で容易に解決できる問題ではないからです。 危険信号を見逃すな まず、周りにいる人が、そのように悩んでいるとに気づいてげることが最重要点です。本人はどうしても悩みは打ち明けにくいものですが、自殺危険信号は周りに発たれています。 しかし、家族、友達、同僚など、大切で近い存在であればあるほどその危険信号を見逃したり、いつものこととそのまま受け入れすぎたり、まさかと軽視したり、それに戸惑って何もできなかったりするものです。 大切な家族、友達、同僚が自らの命を絶ち、この世からいなくなった後に、一番の悲しみ、悔やみ、寂しさを経験するのは、残された私たちです。自殺の危険信号を知ることで、大切な人の命を精いっぱい守るだけでなく、私たち自身も救われることになります。 自殺を考える状態の時、そのひとは鬱になっていることが多いと言われます。たとえば、症状としては、 よく寝るようになって他に何もするエネルギーや気力がない 食欲が減ってあまり食べられていない 寝つきが悪くて、寝るのに時間がかかったり、すぐに目が覚めてしまう 学校や仕事にいきたくない・いけなくなる 泣いてばかりで笑顔が減った 趣味やそのほか好きだったことをやめてしまった 飲酒量が増えた などです。うつ病=自殺ではありませんが、心身疲れ切っていると、適切な判断や決断ができなくなり、悪いことばかりを考え…
Gino Crescol Pixabayからの画像 精神科病院における自殺事故で、罹患精神疾患として最も多いのは統合失調症です。 統合失調症の自殺においても、自殺リスクの把握と調整が重要とされています。統合失調症患者の自殺は、幻覚・妄想に左右されるもの以外にも対人関係の障害や生活障害がもたらす心理的負担によるものが少なくありません。 統合失調症は適切な診察と適切な治療をうければ完治する病気です。統合失調症についてその病態と治療及び完治を妨げているものは何かについてお話しします。 統合失調症とは 統合失調症とは自分を統合できないことからさまざまな症状が起こる病気です。日本人の患者数は70万人~80万人と厚生労働省は推定しています(2)。ここ30年で、推定患者数はほとんど変化していません。新規発生患者と患者でなくなった人の数がほとんど同じであると考えられます。 メンタルヘルスに問題がある場合には、統合失調症が多数を占めていましたが、うつ病患者の数がここ30年間で15万人弱から70万人強に増加しており、統合失調症とうつ病の患者数はほぼ同じになってきています(3)。 統合失調症全般に関して以下の資料を参考にしました。 1)統合失調症の基礎知識 2)厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 統合失調症 患者数 3)厚生労働省 みんなのメンタルヘルス 精神疾患による患者数 統合失調症の症状は 統合失調症の症状は陽性症状、陰性症状、認知機能障害に分類されます。 陽性症状:妄想、幻覚(現状や幻視)、思考障害 陰性症状:感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如、自閉(社会的引きこもり) 認知機能障害:記憶力の低下、注意・集中力の低下、判断力の低下 陽性症状、陰性症状、認知機能障害が周期的に変わるのではなく、同時に発症します。ひとによって、症状の出方が異なることから、統合失調症を症候群ととらえる考え方もあります。 統合失調症の周期 統合失調症は前兆期があるといわれています。その際に過労や睡眠不足が続くと急性期に移行する可能性が高まります。 急性期では陽性症状が強くでる場合が多く、社会的な問題を起こすことがあるためにここで統合失調症と診断する場合が多くなっています。急性期には活動エネルギーが高まります。 消耗期とよばれる時期がきます。数か月単位の休養が必要であり、倦怠感が強く、自信もなくなります。急性期で社会的問題…