知らないということは、本当に怖いと思うわけであります。なぜなら、誰かの言葉を、そして何が本当に正しいのかを"信じる"ことしかできないのですから。そう考えると、何も知らない状態でこの世に生まれ僕たち人間は、どこまでいっても最初から信じ続けることしかできないのではないでしょうか。 そんな素朴な疑問から、この世にはほとんど"真実"などなく、"信じるという行為"がそこにあるだけなのでは、という仮説に至りました。 この仮説は、教育というカテゴリで視野を広げるのに、非常に役にたつのではないかと思い、今回「教育」カテゴリで記事にしてみました。 〜【思考実験】岩をよじ登る子供〜 子供を育てるにしろ新入社員を教育するにしろ、そこに「教える」という行為は欠かせません。 岩をよじ登る子供には、「それは危ない」と。 ミスに気付かない新人に、「これはダメだ」と。 「知らない」ということは、すなわちまだ過去にそれが起きていないということです。 例えば、岩をよじ登って、落ちて怪我をした瞬間から、それは「知る」ということだと思います。言ってしまえばこれが「真実」なわけです。これがまだ岩をよじ登っている最中に「それは危ない」と注意された時はどうでしょう。「これは危ないことだ」ということを、信じることしかできないのです。 では逆に、知った上で岩を登るのはどうでしょう。別の友達が岩から落ちた場面を目撃していて、岩を登ると怪我をするという「真実」を知っている状態です。それでも岩を登ろうとするのは、「今回は怪我をしない」「自分は怪我をしない」という「空想」を信じているパターンです。なぜならここで言う「怪我をする」という真実は、あくまで「"友達"が岩から落ちた」という真実でしかないからです。 これはいってしまえば、「真実」とは"歴史"の中の一点の出来事でしかないということです。そして未来では「真実」の力は極端に弱まります。真実はあたかも1つの指標でしかなく、人は思い描く「空想」の中でも理想のパターンを「信じる」ことができます。それに向かって汗をかき涙を流すのです。 教育とは、過去に起きた「真実」が、あなたの未来にも起こりますよと、空想のパターンを1つ増やしてあげる作業です。あくまで「真実」を教えるだけで、教育者側の知識や価値観を押し付けるものではありません。 〜教育とは、暴力的だ〜 生まれたばかりの赤ちゃんには、瞬時に、大量の…
都市伝説“M資金”がテーマ 都市伝説の“M資金”を巡って世界を駆け巡るサスペンス、福井晴敏著「人類資金」をご存知でしょうか。 2013年、「どついたるねん」「亡国のイージス」の阪本順治監督、佐藤浩市主演で映画化され、映画と並行して文庫書き下ろし原作が発行されるという、特異な企画でした。しかし、映画としては話をまとめきれなかったようで、私自身の評価では内容的にも、実際の数値として興行的にも残念な結果になってしまいましたが。 ―「人類資金」のあらすじ - 戦後、日本の戦後復興に使われるはずだった、または実際に使われたとされる莫大な資産があった。その資金の名は今や都市伝説とされる“M資金”。M資金を巡り、謎の人物Mとある中年詐欺師を中心に、世界の富と権力を握る層と世界の最貧困層との間にある違和感と矛盾を、マネーゲームと激しいアクションで壮大に紐解いていく。 文庫本は全7巻におよび、最後の7巻には「0巻」という執筆用プロットと著者からのメッセージが掲載された巻が付いています。あまりにも濃厚な本巻を読み終え、良くも悪くも熱くなった熱を冷ますには最適な「0巻」です。 最貧国を救う方法とは? ネタバレしなければ、この話は進められないので、結論を書きますが、登場人物の一人に、国籍不明ながら頭脳明晰、飛び抜けた身体能力を持つ若者・石優樹(いしゆうき・映画では森山未來が演じた)がいます。 この物語は、私たちのが生きる現実の世界を経済的にコントロールするほんの一握りの者たちから解き放とうと挑むと同時に、石が世界の最貧国といわれる出身国の救済のために命を賭けて戦う物語でもあります。 その救済の方法とは何なのか。現実的にも有りうる最貧国を救う方法についてアレコレと考えを巡らせ、期待に胸を膨らませながら、先へ先へと読み進めることができます。 そして、最後の7巻で現れた救済の方法とは、なんと最貧困のその国に高速通信網を張り巡らせ、全国民にタブレットを持たせること。 「なんじゃそれ!」 小説を読んだ人は誰もが心の中でそう叫んぶのではないでしょうか。命を賭して目指したことは、そんなことなのかと。そして、何よりもタブレット一つで何が変わるのだと。 現実に起こっていること 読み終えて時間が経っても常に頭の中にあった思い。「タブレット一つで何ができる」。 ところが、ある日、こんなニュースをネットで偶然に見つけます。 「タブレットがザンビ…
二人の子育てをしながら自分が女性として社会で生きていく不自由さの中で、「時間勤務での仕事」への復帰の厳しさも感じました。 歳をとってからとても感謝するようになったのは、自分が恵まれた教育を受けさせて貰えた事です。 女性は、質の高い教育を受けられたか受けられなかったかで、自分で人生を選択できるか、それとも結婚というシステムに従属するしかないかの未来が決まってしまうような気がするのです。 子供を産む未来を考えた時に、選択肢が、二つしかない、、?? 大事なのは、「選択肢があるべき」という事だと思っています。産まれて来て、自分の職業を自分で選択出来る自由、自分の人生を自分で決められる自由、、。自由を勝ち取る為には、女性には沢山の闘いが待っています。 まずは、親との闘い。親はいつまでも子供を自分の思い通りにコントロールしていきたいという気持ちを持っています。 私は一人っ子の女の子でしたので、結構な圧力がいつも存在していました。 両親にもどこかで、子供は自分ではないという事、自分の所有物ではないという事を理解して貰わなければならなかったので、何度も話し合いもして来ました。 子供を産むかもしれない人生だからこそ、子供を産んでから気付く事があります。 女性の人生は、本当に難問だらけ。若いうちはとりあえず従うしかありませんでした。 何故なら日本では、みんなが我慢しているからです。戦後の、敗戦にもどんな屈辱にも耐えに耐えて国を1から大きくしてきた先人達のように、文句を言うな、ただ黙って上に従って、耐えに耐えて我慢するんだー。そんな価値観で若い人達を一喝する日本の年配の方々の多さ。 そして、私は最初に社会に出た時にそのような人達と「闘うな」と教わりました。闘っても、あなたが大変になるだけ。 問題が根深過ぎるから、関わらないようにする、表面上従って心を逃がす、そんな方法を私は日本の社会で先輩方を見ながら学んで来ました。 これが、日本の社会の「建前」と「本音」の違いです。外国人からは全く理解されない価値観であり、私は海外に留学した事もあるので、この日本独自の価値観が、どんどん受け入れられなくなりました。 日本の社会では、我慢が全てらしい。ぶつかって勝ち取るアメリカとは大違い。むしろ真逆ー。 日本では、本音を言う事が、社会的に許されない。何故でしょう??? 「困る人」が居るからです。それは、例えば、みんなに嫌な仕事を押し付…
戦争が本格化し、美男もシラノも戦場に行きました。その間、美男には内緒でシラノは美男の名前で戦場から1日2回もロクサーヌに情熱的な手紙を書き続けていました。長年の想いを綴るのに、戦争中でも何の困難もありませんでした。溢れる想いを鳥の羽のペンにインクをつけてしたため、美しい筆記体で記していく手紙には、時々涙の跡やインクの滲み、興奮して急いで書くのであちこちにインクが垂れた跡があったり、指紋がついてしまったり、拳を握ってクシャッと折れてしまったり。それはそれは個性的で情熱的な手紙でした。それに気付いた美男は、彼女に想いを打ち明けるべきだとシラノに言いましたが、戦争で美男は帰らぬ人となってしまいます。ロクサーヌは、自分への情熱的な愛の手紙は全部、美男の夫からだったと信じたままー。シラノの彼女への想いは、永久に封印されてしまったのです。 喪に服するロクサーヌでしたが、歳をとってシラノと最後のささやかな昔話をしている最中に、手紙の主がなんとシラノだった事に今更気が付いたのでした。それが分かったロクサーヌは、鼻の事など気にもせず、ただシラノを愛しているから生きてくれと伝えましたが、そのささやかな最後の愛も叶わぬままシラノは天国に召されてしまいます。ロクサーヌの腕の中で静かに亡くなったシラノの上を通り過ぎていく風と、木々のざわめき。ロクサーヌの衣装はいつもドラマティックなまでに美しく、現実離れした視覚的美しさの中、極上の言葉が紡がれていく、極めて芸術度の高い映画です。 不便さの中にはドラマがあり、その人にしか紡ぐ事の出来ない言葉や振る舞いがあります。不便だからこそ、一生懸命会いに行ったり想いを伝えようとして、ドラマが産まれたのでしょう。 SNS 逆にSNSは、理不尽な事に我慢しないために協力し合う時には圧倒的な効果を発揮すると思います。証拠写真なり動画を撮り、しっかり正しく主張すれば、こちらが正しければもう我慢しなくて済むのです。私は実際に、長年両親が受けていた近隣の方からの嫌がらせを、動画を撮り文章を作り、警察に持ち込むことで解決してしまいました。両親は数十年我慢し続けていましたが、この新しい方法の導入で、半年足らずで解決に持ち込むことに成功しました。活用すべき場所で活用する、がSNS使用の新基準だと思えば、それ以外のところでは縛られない為の良い距離感も必要かもしれません。 筆記体と手紙の…
一人暮らしの高齢者を支える支援 一人で暮らす高齢者は年々増えていて、2025年には約700万人に達し、国民の3人に1人が65歳以上になると言われています。 近所との繋がりなどの、人との付き合いが少なく、家族も遠方に住んでいるなど、元気なうちはそれでもいいですが、年齢を重ね体が不自由になってくると、大きな不安を抱えながら生活をしている方がたくさんいらっしゃいます。 それは家族も一緒で、一人でいる親が元気で過ごせているかなどの不安を抱えています。ただし、家族は実際の生活は見えていないことが多いです。誰でも自分の子供には弱い所を見せたくないので、元気な姿を頑張って見せてしまい、実際に困っていることは伝えられないことがとても多くあります。 そんな人の為に、各自治体では高齢福祉サービスとして、様々なサービスを提供しています。 よく知っておくことで、家族や自分を助けることになる様々なサービスを紹介し、実際にあった例を交えながら、うまく活用できるように紹介したいと思います。 高齢福祉サービスってどんなサービス? 高齢福祉サービスとは、介護保険のサービスとは別に、各自治体で一人暮らしの高齢者や高齢世帯、又は病気などで障害のある方へ、見守りサービスや配食サービスなどを提供し、自立生活を支援してくれます。 但し、65歳以上の高齢者になればだれでもサービスを使えるようになるわけではなく、数多くあるサービスごとに対象となる年齢や置かれている状況、独り暮らしや高齢世帯かなど様々になっています。 また、この高齢福祉サービスは介護認定を受けていなくともサービスを使いうことが出来ます。 具体的なサービス内容は、自治体によって違いますが、多くの自治体で行われているサービスは、週に何日か通常よりも安い料金で、お昼のご飯を配達してくれるサービスや自宅に緊急通報装置や人感センサーを設置することで、見守りや安否確認を行うサービスが多くあります。 実際にある高齢福祉サービスをいくつかあげますと 高齢者給食サービス 利用内容食生活の安定、安否確認のために、お弁当を週3回まで配達します。 対象者調理の困難な65歳以上の一人暮らしの高齢者及び高齢世帯の方 利用料1食につき300円 高齢者見守りサポート 利用内容緊急時に民間の受診センターとつながる緊急通報装置や人感センサーを設置し、24時間の見守りを行います。 対象者70歳以上の一人暮らしの…