一人暮らしの高齢者を支える支援
一人で暮らす高齢者は年々増えていて、2025年には約700万人に達し、国民の3人に1人が65歳以上になると言われています。
近所との繋がりなどの、人との付き合いが少なく、家族も遠方に住んでいるなど、元気なうちはそれでもいいですが、年齢を重ね体が不自由になってくると、大きな不安を抱えながら生活をしている方がたくさんいらっしゃいます。
それは家族も一緒で、一人でいる親が元気で過ごせているかなどの不安を抱えています。
ただし、家族は実際の生活は見えていないことが多いです。
誰でも自分の子供には弱い所を見せたくないので、元気な姿を頑張って見せてしまい、実際に困っていることは伝えられないことがとても多くあります。
そんな人の為に、各自治体では高齢福祉サービスとして、様々なサービスを提供しています。
よく知っておくことで、家族や自分を助けることになる様々なサービスを紹介し、実際にあった例を交えながら、うまく活用できるように紹介したいと思います。
高齢福祉サービスってどんなサービス?
高齢福祉サービスとは、介護保険のサービスとは別に、各自治体で一人暮らしの高齢者や高齢世帯、又は病気などで障害のある方へ、見守りサービスや配食サービスなどを提供し、自立生活を支援してくれます。
但し、65歳以上の高齢者になればだれでもサービスを使えるようになるわけではなく、数多くあるサービスごとに対象となる年齢や置かれている状況、独り暮らしや高齢世帯かなど様々になっています。
また、この高齢福祉サービスは介護認定を受けていなくともサービスを使いうことが出来ます。
具体的なサービス内容は、自治体によって違いますが、多くの自治体で行われているサービスは、週に何日か通常よりも安い料金で、お昼のご飯を配達してくれるサービスや自宅に緊急通報装置や人感センサーを設置することで、見守りや安否確認を行うサービスが多くあります。
実際にある高齢福祉サービスをいくつかあげますと
高齢者給食サービス
利用内容
食生活の安定、安否確認のために、お弁当を週3回まで配達します。
対象者
調理の困難な65歳以上の一人暮らしの高齢者及び高齢世帯の方
利用料
1食につき300円
高齢者見守りサポート
利用内容
緊急時に民間の受診センターとつながる緊急通報装置や人感センサーを設置し、24時間の見守りを行います。
対象者
70歳以上の一人暮らしの方
75歳以上の高齢世帯の方など
利用料
月額300円
家族介護用品支給事業
助成内容
寝たきり高齢者を介護している同居家族に対し、紙おむつなどの介護用品を自宅までお届けします。
対象者
要介護4以上、または要介護3で排泄の項目が「介助」「見守りなど」に該当する方。
支給額
市民税課税状況に応じ1カ月3,000円か6,000円
他にも、徘徊システムの貸し出しや眼鏡、補聴器、シルバーカーの購入補助から洗濯や理美容の補助、タクシー助成など様々な支援が行われています。
サービスを申し込んでから実際に受けられるまでの期間は、配食サービスは申請をして数日で利用可能になりますし、タクシー助成や福祉用具の購入補助、理美容、洗濯のサービスなどは利用した後の事後で清算が可能です。
緊急通報装置などは調査や設置に時間がかかるので、1カ月程度かかる場合もあります。
※上記サービスは全国一律ではなく、各自治体によって違いますので、まずは住んでいる自治体でご確認ください。
また、各自治体には高齢者サポートや在宅支援センターなどの相談窓口があったりもしますので、その場合はそちらにお問い合わせをしてください。
一人で暮らしている高齢者は、いつでも不安を抱えながら生活しています。
家族も近所に住んでいれば、すぐに様子を見に行けますが、遠方の場合は行けないので、こうしたサービスを使い、生活が助かることはもちろんですが、安否確認やコミュニケーションをとる、というのも大きな意味を持っており、サービスとともに安心をお届けすることが出来ます。
支援を受けている人のほとんどは、定期的に人が訪ねてきてくれることをとても楽しみにしています。
私がこれまでにかかわってきたケースでも、一人暮らしの方で、いつもお昼の配達に来てくれるのを楽しみにしていた方がいます。お弁当配達で伺うと、具合が悪くうずくまっていました。幸いに意識はあり、掃き出し窓も鍵が開いていたので、すぐに様子の確認が出来て、救急搬送をされた為命に別状はありませんでしたが、発見が遅くなればどうなっていたかわかりません。
他にも軽度の認知症の方で、ご自宅に訪問した所不在ですぐに連絡をいただき、自宅に一人で戻れるか心配のある方だったのでみんなで探すと、大きな通りの手前で歩いているところを発見し、本人は散歩に出たが家に帰れなくなって困っていたと話されました。
その先の大通りに出てしまっていたらと思うとぞっとします。
このように早く不在に気づけた為、何かある前に見つけられたケースもあります。
まとめ
近所の方とのお付き合いが無くなってきていたり、昔はあったが、みなさん不自由になり行き来が難しくなってきたり。
少し前のようにご近所同士で気にし合うということが少なくなり、子供とも同居をする方が少なくなってきている今、こうした行政のサービスは、安全に安心して生活するには欠かせません。
高齢者の方は、こうしたサービスを使いお世話になることを嫌がる方もいますが、遠方に住む子供を安心させるため。また、ご自身が安心して過ごすために、是非活用していただきたいと思います。
こうしたサービスは、自分で知ろうとしないと、知らないままになってしまうことも多くあります。これを読んで気になった方はまず自分の住んでいる地域での高齢福祉サービスをご確認ください。