さて、前回の話を聞いてナマズ釣りに興味を持たれたあなたに、今回はぜひとも知ってほしい事がある。
道具のことだ。
基本的にはバス用で代用できる
前回もお話しした通り、ナマズ釣りで使う道具は基本的にはブラックバス用の道具で代用できる。
しかし、ナマズならではの特性があるがゆえ、彼らの生態と合わせて紹介していこう。
ラインを選ぼう
まずは最重要であるライン(釣り糸)の話をしよう。今回はこのラインを軸として道具を選んでゆきたい。
次にあげるナマズの身体的特徴ゆえに、比較的太いラインが必要となるのだ。
というのは、ナマズの口の中には細かいトゲのような歯が無数に生えており、上下ともにヤスリのような構造になっている。
この歯で獲物をガッチリとホールドするのだが、ルアーにアタックしてきた際に結びつけたラインを噛むことが多く、
ラインの損耗が非常に激しいのだ。
ゆえに彼らの大きな体と鋭い歯に耐えられる丈夫なラインとなると、最低でも16lb(ポンド)のラインを使うようにしたい。
ほかの釣りをされる方は、あまり太い糸を使うと魚に警戒されると思われるかもしれないが、
前回お話しした通りナマズの目はほとんど見えていない。
視覚的なプレッシャーは限りなくゼロに近いため、安全性を重視した丈夫なラインを使ってほしいのだ。
また、こだわりがなければ素材はナイロン製のものが良いだろう。比較的安価で、ほとんどのロッドに対応できる。
ラインが決まったらリール!
リールはスピニングリールか、ベイトリールがある。これらについて説明しよう。
まずはスピニングリール。初めて釣りをする人でも扱いやすい点が一番のウリといえよう。
加えて夜釣りをする場合ではラインが絡まってしまうとほどくのに苦労するので、スピニングの正動性の高さは頼りになる。
次にベイトリール。これは扱いに幾らか慣れが必要となるが、ナマズ釣り用でよく使われるルアーとの相性で言えば、
スピニングリールよりも良いと言っていいだろう。
ラインが絡みやすく多少のトラブルがリスクになるが、
一度慣れてしまえばベイトリールのコントロール性の良さは手放せないものになるはずだ。
これらの特徴を踏まえて、あなたの好みに合う方を選んでほしい…。
ロッドを選ぼう
ラインとリールを選んだら、それらに適応したロッドを選ぶことになる。
スピニング用とベイトリール用で形状が異なるため、対応するものを選ぼう。
その中から、先ほど述べた16lb以上のラインが扱えるものを選ぶ。
一般的にはロッドは長いほどルアーが遠くまで飛ぶが、扱いづらくなる。何本かのロッドの中で迷うことがあれば、
最初の一本は2m弱の短めのものを選んだ方が無難だろう。
普段筆者がよく使っている、ブラックバス向けに作られたベイトリール専用のロッド。
左から型番。対応ラインは10~16lb。適合するルアーの重さは7~21g、
ロッドの長さは6.6フィート(198cm)であることが記載されている。 ナマズ釣りにはちょうどよいスペックだ。
やっぱり道具選びはこれが一番楽しい。ルアー選びの話
さて、ここからはルアーの話をしよう。
身もふたもない話をすれば、ナマズという魚はバス用のほとんどのルアーで釣ることができる。
しかし、前回もお話しした通り、ナマズ釣りの醍醐味は何と言っても水面での攻防にある。
それを味わうために、ぜひともこの釣りにはトップウォータータイプのルアーで挑んでみてほしいのだ。
おすすめしたいのは、「ジッターバグ」などのカップのついたルアーだ。
トップウォーターは数多しといえど、このタイプは多くの釣り場で安定してナマズを誘うことができるため、
とりあえずこれさえ持っておけば間違いない。
魚に配慮したルアーカスタムをしよう
同じ型のルアーでも、いくつかのサイズに分けてラインナップされているものも多いが、
筆者の場合は10g程度の比較的小さなものを選ぶ。
大きなルアーになるとナマズの口に入らず、せっかく食いついてきたナマズがルアーをはじいてしまうばかりか、
その時に顔の表面にフックがかかると、目の近くに刺さってしまう恐れがある。
彼らはあまり視覚には頼っていないものの、釣った後に食べる釣りでないならこれは避けるべきだろう。
買ったばかりのルアーにはカエシ付きのトリプルフックがついていたりするが、
できればカエシのないシングルフックに交換することをお勧めしたい。
というのも、ナマズの口というのは横に大きく開いているが、縦方向にはほとんど開かないのだ。
複数の針先で口の上下をロックしてしまった時、フックを外すことに時間をかけてしまうと、
釣った魚に対して不要に大きなダメージを与えることになる。
カエシがあることによってダメージが増えるのは言うまでもない。
筆者はカエシのないトラウト用のシングルフックを使うが、針にかける成功率に悪影響を感じたことはない。
断言しよう!
ルアーのセッティングの一例。買ったばかりではルアーのお腹とおしりの二ヶ所に合計で6本の針がついているが、
それらを外しておしり側のみに1本のものに交換している。
ルアーの先のラインにケミホタルをつけて、夜でも見やすいようになっている。
ライトを使って安全に釣りをしよう
昼のみの釣行の場合はマストではないが、夜釣りをする場合には必ずヘッドライトを持って行こう。
ラインを結ぶ時に必要になるのはもちろんだが、
釣り場には足場が悪いところも多いので、移動の際には安全のためにライトを使ってほしい。
その他に必要なものは…
あとは陸に上げる際にフィッシュグリップかタモが必要になるが、
タモを使う場合は魚体を傷つけないようラバーネットを使おう。
水温計も持っていくといい。詳しくは次回の記事でお伝えするが、
ナマズが水面の餌にアタックしてくる条件として、水温はとても大きな要素になる。
現場ではこまめにチェックしたい。
あとは釣り上げた後にフックを外す時と、結び直したラインを切るためのラジオペンチがあればひと通りの準備はOKだ。
自身の安全と、魚にやさしい道具選びを心がけよう
さて、必要な道具についてはひと通り説明した。重要なのは自身が安全に釣りをすることと、魚に配慮した道具選びだ。
せっかくの釣りでケガをしては楽しめないし、釣れさえすればなんでもいい、
というような道具ではいずれそのポイントのナマズは死に絶えてしまうだろう。
この遊びをずっと続けて行くために、川の生き物たちや近隣の人々への配慮を常に心がけよう。
それさえできれば、たとえ一度くらいナマズが釣れなかったとしても、
何度だって挑戦したくなるような魅力がナマズ釣りにはあるのだから…。
今回は途中でいくつか暗い話になってしまったが、ナマズ釣りを愛する者の一人として
あえてストレートにナマズ釣りが持つ側面をお話させていただいた。あなたの道具選びの参考にしてもらえると嬉しい。
次回はいよいよ現場での釣りについて解説していきたいと思う。
それではまた会おう!