ラグビーワールドカップ2003年大会決勝戦で、イングランド代表ジョニー・ウィルキンソンが魅せた決勝点となるドロップゴールは、今も伝説の名場面として語り継がれています。
ドロップゴールは試合を優位に進めるための先制パンチや、起死回生の場面でよく用いられます。
しかしドロップゴールは試合中何度も起きるプレーではないため、ドロップゴールとはどういうプレーなのかとラグビーを見始めたばかりの人は疑問に思うかもしれません。
そこで、この記事では
- ドロップゴールがどんなプレーなのか
- ドロップゴールの名場面
について解説します。
ドロップゴールとは?
ドロップゴールとは、ドロップキックとよばれるボールを一度バウンドさせてから蹴るプレーでの得点方法です。
プレーが止まった状態でおこなわれるペナルティキックと違い、ドロップゴールを狙うときはインプレー(プレーが継続している状態)でドロップキックを蹴り、ボールがゴールポストの間を通ると得点が入ります。
得点は、ペナルティゴールと同じく3点です。
ドロップゴールはひとつの試合で一度も起こらないことも多く、珍しいプレーといえます。
しかし、トップレベルのテストマッチではディフェンスのレベルが非常に高いためトライをとるのが難しく、ドロップゴールは貴重な得点源です。
ドロップゴールのリスタート方法
ドロップゴールが成功すると、3点が加算されリスタートはトライやペナルティゴールが決まったときと同様にキックオフとなり、フィールド中央で相手チームのドロップキックで試合が再開されます。
ドロップゴールが失敗した場合は、ドロップアウトとよばれる敵陣22メートルラインの内側からの相手チームのドロップキックで再開となります。
ドロップゴールの名場面
ラグビーワールドカップ2003年大会決勝戦
ドロップゴールの名場面といえば、やはりラグビーワールドカップ2003年の決勝戦です。
オーストラリア代表“ワラビーズ”とイングランド代表の試合は、両チーム1トライ3PGで14-14の同点となり延長戦に突入します。
延長戦の前半で互いに1つのPGを決め、試合は17-17に。
延長戦後半の終了間際に、ジョニー・ウィルキンソンがドロップゴールを決め、イングランド代表が20-17でワラビーズを下し優勝しました。
この大会で北半球の国は初めてワールドカップを制覇し、北半球にウェブ・エリス・カップを持ち帰りました。
ラグビーワールドカップ2015年大会決勝戦
ラグビーワールドカップ2015年大会でも、決勝戦で素晴らしいドロップゴールが決まりました。
21-17で迎えた試合後半69分に、ニュージーランド代表、オールブラックスのダン・カーターが決めたドロップゴールです。
ドロップゴールで点差を離し、最終的に34-17で勝利しオールブラックスはワールドカップ2連覇をはたしました。
奇しくも対戦相手はワラビーズで、ワラビーズは再び決勝戦で敗れるかたちとなりました。
ワラビーズは、2019年大会でもプール戦でウェールズのダン・ビガーに開始わずか35秒でドロップゴールを決められ、試合も25-29で敗れています。
サンウルブズ
2016年から2020年シーズンまで南半球最大のリーグ、スーパーラグビーに参戦したサンウルブズの試合にも、決勝点となったドロップゴールがありました。
2018年シーズンの対ストーマーズ戦で、ヘイデン・パーカーが試合終了間際にドロップゴールを決め、そのままチームの勝利となりました。
初めて香港でおこなわれた試合は、序盤ストーマーズにリードされるも、残り2分の場面で23-23の同点に追いつきます。
試合終了間際に相手チームからボールを奪い敵陣にきりこみ、試合時間が84分を過ぎたところでスタンドオフのヘイデン・パーカーが利き足とは逆の右足でドロップキックを蹴り、見事にゴールポストを割ってサヨナラドロップゴールとなりました。
この試合に勝利したサンウルブズは、初めて連勝を飾りました。
スーパーラグビー・アオテアロア
2020年6月13日よりスタートしたスーパーラグビー・アオテアロアでも、さっそくドロップゴールの名場面がうまれました。
スーパーラグビー・アオテアロアは、コロナウイルスの影響で中断していたスーパーラグビーを、ニュージーランドカンファレンスのチーム同士で戦うリーグとして再開したものです。
プロスポーツでいち早く再開したリーグで、中断後初めて満員の観客を動員しておこなわれています。
スーパーラグビー・アオテアロアは、ハイランダーズ対チーフスの試合で始まりました。
両チームは互いにトライを重ね、試合が77分を経過した段階で25-24とハイランダーズがリードしていましたが、チーフスのダミアン・マッケンジーがドロップゴールを決め、25-27と逆転します。
このまま試合が終わるかと思いきや、1分後にはハイランダーズのブリン・ガットランドがドロップゴールを決め、再逆転をはたしハイランダーズは開幕戦で劇的な勝利を飾りました。
まとめ
ドロップゴールは、一度バウンドさせて蹴る必要があるため難易度の高い得点方法です。
しかし、試合が拮抗した場面でドロップゴールが決まると点差がひらきチームが非常に有利になるため、緊迫した状況で狙われる方法でもあります。
試合を決定づけるドロップゴールに注目すると、ラグビーをより面白く観ることができます。