今回は、「トランスジェンダーと性同一性障害の違い」というテーマで書いていく。筆者は、トランスジェンダーでも性同一性障害でもないので、100%彼らの気持ちは分からない。よって、分からないなりに、色々な情報や文献を元に執筆させていただく。 トランスジェンダーはLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)の中でTに該当し、日本全体で0.7%=約90万人がトランスジェンダーに当たると言われている。 90万人という大きな数字を聞いてもぱっとしないと思うが、都道府県で言うと山梨県ぐらいの規模になる。かなりの人数だ… まず、定義から。トランスジェンダーとは、「生まれた時の性別(身体的性別)と心の性(性自認)が異なる人」のことを指す。 なお、Wikipediaを参照すると、トランスジェンダーに関して以下のように定義されていた。 『トランスジェンダー(英語 Transgender、ラテン語で「乗り越える」や「逆側に行く」を意味する「トランス」と、英語で「性」を意味する「ジェンダー」の合成語)とは、一般に (常にではない) 生まれたときからもっているとされる、伝統的に社会で認識されている役割と同様の規範的な性役割に収まらない傾向を含む、あらゆる個人および行動、グループに当てられる一般用語である。近年の国際的な人権に関する文書においては世界的に承認された普遍的定義はもたないものの、性同一性が出生時に割当てられた性別と対応しない状態を意味する言葉として用いられる。』 【引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC】 トランスジェンダーは、ラテン語で「乗り越える」などを意味する「trans」という語と、英語で「性別」を意味する「gender」という語が組み合わさった合成語,複合語なのだ。 ちなみに、トランスジェンダーの中でも色々な種類がある。 ・MtF(Male to Female)と呼ばれる、身体が男性で心が女性の人。 ・FtM(Female to Male)と呼ばれる、身体が女性で心が男性の人。 ・FtX、MtX(Female to Xgender、Male to…
サポート箸とは普通の幼児箸を使えるようになる前段階で取り入れる、練習用のお箸のことをいいます。 トレーニング箸、しつけ箸などと呼ぶことも多いかもしれません。 有名な商品だとエジソン箸。エジソン箸も種類がいくつかあるのですが、リングがついたものを思い浮かべる人が多いでしょう。ほかにもベビー用品メーカーやお箸メーカー、現在では100円ショップなどでもサポート箸は販売されています。 その中でも”ののじ”から出ている「はじめてのちゃんと箸」は異彩を放っています。 この製品を使って感動した体験を、今回はお伝えしたいと思います。 ののじ はじめてのちゃんと箸 SS (16cm) グリーン Amazon.co.jp まず、私の子どもは生まれつきの障害があり、上肢においては軽度の機能障害をもっています。つまり、手に軽い不器用さ・力の入りにくさなどがあるということです。 そのため小さなころからリハビリなどをしてきました。 お箸については、2歳児の中ごろからエジソン箸をスタート。リングに指を通して使うもので、親指のリングは備え付け、人差し指と中指のリングは取り外し可能という商品です。お箸の連結部がしっかりしており、2本がバラバラにならない安心感があります。 エジソン箸で中指、人差し指とリングを取り外すことができたのですが、お箸を開くときに中指が浮くようになりました。親指が固定されているから、中指を使わなくてもお箸が落ちることもないし、持ててしまっているんですよね。親指のリングも取っていきたいね、と3歳児ごろにピジョンの「はじめてのトレーニングおはし」に移行しました。 この商品もすごく良いと思うのですが、現在は製造終了しています。 親指をリングに通すのではなく、フックに置くような形で、握りこまずにお箸を持つことができるようになっていました。親指リングのエジソンからピジョンへの移行は、はじめは難しかったようですが、じきに慣れていきました。 でも…ここからの移行が大変でした。 エジソンも、ピジョンも、連結部がしっかりしているのが特徴です。普通のお箸は連結部なんてなく、当然2本がバラバラ。しっかり握る力も弱いので、幼児箸はまだまだ使えそうにありません。ピジョンを使いつつ、リハビリで幼児箸の練習をしていましたが、リハビリで月1回やったところで進展はありません。いつの間にか、ピジョンを使いはじめて2年が経とうとし…
2019年3月、日本産科婦人科学会の了承のもと、新型出生前診断ができる医院が増えることが発表されました。 これまでは限られた医療機関でしか検査ができませんでしたが、今後は開業医などより多くの医院で新型出生前診断が受けられるようになる見込みです。 この決定に至るまでは検討が重ねられ、現在でもその問題が解決したわけではありません。新型出生前診断を拡大するにあたっての問題点としては、 ①医師から十分な説明を受けず、検査を受ける妊婦がその意義などについて十分に認識しないまま検査を受けるおそれがある。 ②NIPTの結果として陽性であった場合でも確定させるためには羊水検査などの確定検査を受ける必要があるが、新型出生前診断の精度が他の非確定検査と比べて高いがゆえに、妊婦がその結果を確定的なものとして受け止め、判断する可能性がある。 ③手軽にできる検査であるがゆえに、医師も妊婦も検査の実施に積極的になりやすく、客観的な理由のある妊婦だけでなく不特定多数の妊婦を対象にした胎児の疾患発見のための検査になりうる。 といったものが挙げられています。 現在でも十分な説明や遺伝カウンセリングが実施されているとは言いがたい状況を指摘した上で、適切な体制が整うまでは一般的に広く導入すべきではない・新型出生前診断を行う医院は十分な体制を整え説明を果たす必要があると、日本産科婦人科学会倫理委員会・母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する検討委員会は指摘しています。 ところで、新型出生前診断とはいったいどのような検査なのでしょうか? 出生前診断にはいくつかの種類があり、新型出生前診断はその中の1つです。 大きく分けると、出生前診断はまず2種類に分けられ、1つが「非確定検査」もう1つが「確定検査」です。非確定検査とはその名の通り陽性反応が出ても診断が100%ではないもので、具体的な検査としては「新型出生前診断(NIPT)」「コンバインド検査」「母体血清マーカー検査」の3つの方法があります。確定検査は診断が確定するものですがわずかに流死産のリスクがあるもので、具体的には「絨毛検査」「羊水検査」の2つがあります。 <出生前診断> 非確定検査…新型出生前診断(NIPT)、コンバインド検査、母体血清マーカー検査 確定検査…絨毛検査、羊水検査 それぞれ感度や検査時期、対象となる異常などが異なりますが、今回は新型出生前診断(NIPT)につ…
さて、<前編>では新型出生前診断とはどのような検査なのか・どういった障害が検査対象となっているのか・新型出生前診断における問題点についておもに述べました。 <後編>では、その検査対象となっている子どもたちがどのような暮らしを送るのかについてもう少し取り上げたいと思います。 一般的には13トリソミーや18トリソミーの子は日常的な医療行為が必要であることが多いと言われていますが、前置きをしなければならないのは、発達や症状についてはその子それぞれによって大きく異なるということです。 また、福祉制度や施設の形態なども地域差があります。ここで取り上げる例にあてはまらない場合も出てくることでしょう。(実際にそういった症例の子どもたちを育てている親御さんのブログやSNSでは、よりリアルタイムな生きた情報が手に入ります。この記事を読んでさらに詳しく知りたくなったら、ぜひ具体的に情報収集をしてみることをおすすめします。) 在宅医療 一昔前までは、13トリソミーも18トリソミーも自宅で暮らすのは難しいとされていましたが、最近では親の要望もあって在宅医療で暮らす子が増えています。13トリソミー、18トリソミーの家族にとって、退院して自宅で一緒に暮らすというのは一つの大きな目標であり、また最初は不安も大きいものです。 在宅医療が実現するまでにはある程度容態が安定することや、何度も練習を重ねて急変時の対応・医療機関等との連携を確保できることが条件となります。気管切開をしていたり呼吸器等を使用している場合は自宅で管理していくこととなり、医師や看護師に教えられながら扱いを学んでいきます。 (写真は成人用の呼吸器) 在宅医療が始まっても親だけで子どもを見ていくわけではなく、訪問看護や訪問ヘルパーなどの福祉サービスが受けられます。福祉サービスを利用する際には助成金を受けることができ、少ない自己負担額で済むよう各自治体が取り決めを行っています。 通園施設 障害のある子が通う通園施設としてまず挙げられるのが、療育園などの福祉施設です。もちろん、一般の保育園や幼稚園に通う21トリソミーの子もたくさんいます。自治体の制度により地域差がありますが、保育園ではクラス担任のほかに障害児数名につく加配の保育士を申請できる場合が多く、一般の園でも市の障害福祉課などによる巡回相談を受けられるなど、行政とともに発達を見守っていく体制になって…
まだ私が独身だったころ、とあるオープンスペースで行われた講習会に参加した。 そのタイトルは、障害とアート研究会『<異なる身体>の交感可能性 -コンテンポラリー・ダンスを手がかりに』。 学生のころから障害というキーワードに関心があり、またコンテンポラリーダンスの作品を観る機会が増えその魅力を感じていたから、興味深い2つのテーマが含有されるこの講習会には迷わず参加した。 今、障害をもつ子どもの親となりおおよそ10年近くが経つが、この講習会で得られた感覚が自分の中でかなり大切なものとなっている。 障害者とアート、障害者とダンスといった考察・取り組みはこの10年間でも拡がりを見せているといっても、福祉のプロでもなく、またダンサーでもないただの障害児の親にまでその波が及んでいるとはいいがたい。親にとっても聞いてよかったと思えるであろうこの講習会の内容を改めて振り返ってみたい。 講習の内容は、ざっくばらんに結論から言うと”障害者にもっとコンテンポラリーダンスのワークショップの機会を与えたい”―といったものだった。講師は、大学で発達心理を勉強したのち障害者施設で指導者として7年間勤務し、大学院でまた勉強をしている(当時)という渡邉あい子氏。障害者施設で働いていたときに実感することがたくさんあったそうだ。 たとえば、机の角を持って4人で運ぼうとするが、運ぶことができない。自分以外の3人がどのくらいの力を込めて机を持ち上げるかという予測ができない。また喧嘩ができない。怒っているということは分かるが、何に対しての怒りなのかということが受け取りきれない。 喧嘩というのがある共通認識の上にたったバトルだと解釈するとき、他者の状態を想像することができず、共通認識をそもそも持つことができない、ということだった。また、障害のある人がよくぶつかって転ぶ・・などの場面を目にしたとき、「身体がコミュニケーションを補っていないのではないか?」という問いが渡邉氏の心に浮かんできたそうだ。そしてそれに対して、コンテンポラリーダンスのワークショップというものが自分や他者の身体を見つめることに通じるのではないかと。 印象的だったのは、ケアとしてのワークショップではないということだ。この点が非常に興味深かった。日本の暗黒舞踏の創設者である舞踏家、土方巽(1928-1986年)が語るには、「自分でないもののような他者に棲みこまれ…
こんにちは。 今回は最近日本でも周知になってきたアスペルガー症候群(ASD、自閉スペクトラム症候群)について詳しくまとめていこうと思います。 近年、アスペルガー症候群の書籍やウェブサイトや専門家によるブログなどが多く出回っていますが、そこで問題とされているのがアスペルガー当事者、本人による著書やまとめが特に基本多いという点。 何故それが問題なのかというと、アスペルガー症候群とはまず他者とのコミュニケーションに想像力が無いというのが障害。 そういう目線で自己の障害を説明したものを書いても実際ほとんど当事者目線でしか説明ができていなく、障害自体に対する事実、他者との繋がりについてどう解決していくかなどの具体的な説明についてはどうしても偏りがあり、また他者との混乱を招いてしまっているのが現状です。 私は身内にアスペルガー系の問題のある人が多く、カサンドラ症候群で餌食になり死にかけた身として両者の目線からこちらで事実だけを説明していこうと思います。 ①アスペルガー症候群(ASD)は言語障害の無い自閉症 こちらも随分勘違いしている人が多いのですが、アスペルガー症候群(ASD, 自閉スペクトラム症候群)は言葉の喋れる自閉症と言われています。 ADHDや学習障害など、他の発達障害とここがかなり異なる点です。 つまりコミュニケーションに問題があるのは殆ど知能的に自閉症に近ければ不思議でないという事。しかし”自閉スペクトラム”なので、一概にどこからが障害、と断言しづらいのも難しいところです。 本人達は言葉を発しているし他人と関わっているのでみんなと同じ、と思っているかもしれませんが、そこに他人を不快にさせる言動(最近太ったね、あの人何で髪の毛が無いの?など)があればそれは他人と上手く関係が築けているわけでは無いですよね。 しかしそれが障害のため、他者と関係を上手く築くとはどういう事かがまず理解出来ていません。 ②暴力性を自認、コントロール出来ない 私は基本的に、自己認知が出来ないのがこの障害の最大の難しさかなと思っています。 一般に、自分勝手さとは暴力性と一致するのではと言われていますよね。 他者との自分というのを認知しているからとんでもないわがままや他者が傷つくような衝動は避けよう、という計算が出来ます。そしてそれは自分が生きているコミュニティに直接影響する事なので、自分が生きづらくなる=生きていけなくなるとい…
「あなたのご家族は嚥下(えんげ)障害です」 「残念ながら今は食べることができません」 写真AC あなたの大切な方が入院し、主治医からこのように説明を受けたとします。 さて、どう受け止めますか? 摂食・嚥下障害は高齢者にとっては身近な障害です。そして、この摂食・嚥下障害が低栄養や寝たきり、誤嚥性肺炎など摂食・嚥下障害は高齢者にとって命取りになる恐ろしい障害になるのです。 摂食・嚥下障害はそのメカニズムや原因は複雑に絡まり合っています。そして、高齢者の摂食・嚥下障害はそのまま終末期にも直結する重たいテーマです。 しかし、実はどういった障害なのか医師ですら丁寧に説明できる人が少ないのが現状のようです。また、終末期の摂食・嚥下障害に関していえば、治療や方針に関する明確な指標や診断基準もありません。これらの問題が、患者やご家族、そして関係職種を余計に混乱させている要因になっています。 そこで今回、摂食・嚥下障害を専門にして十数年、現役の言語聴覚士が摂食・嚥下障害をわかりやすくシンプルに解説をします。 摂食・嚥下障害で悩んでいるご本人やご家族はもちろん、介護医療職、さらに臨床とコツを知りたい新人の言語聴覚士や専門職の方々にも読んでいただけるようなシリーズにしたいと考えています。 まずは、摂食・嚥下の正しい知識を身につけることからはじめましょう。 最初は『摂食・嚥下障害の受け止め方』をテーマに解説をします。 【1】摂食・嚥下障害って何? あなたの大切な人が 摂食・嚥下障害になったときに備えて、まずは問題の本質を見抜ける用意をしておきましょう。 「なぁーんだ、いきなり用語の説明か…めんどくさいな~」 とおっしゃらずに、少しお付き合いください。摂食と嚥下の言葉の使い分けが、実は複雑怪奇に絡まり合う摂食・嚥下障害をシンプルに見渡すための第一歩になるからです。 ◆『摂食』と『嚥下』とは? 「最近おじいちゃんがムセこむようになった」 「脳梗塞の後遺症で食べられなくなった」 「食べる量が減ってきた」 「スプーンが上手く使えない」 このような食べることに関する障害全般のことを摂食・嚥下障害と呼ぶことになります。それでは『摂食』と『嚥下』の違いを見ていきましょう。 『摂食』とは食べる過程のすべてを意味します。 食べ物を口に入れる 咀嚼(そしゃく)をする 飲み込む…