「火祭り」とは、スペインのバレンシア地方で毎年3月に行われる伝統行事のことです。「火祭り」というその名の通り、お祭りの最終日には「ファジャス」と呼ばれる張り子の人形を一斉に燃やします。街中の至るところに設置された人形が燃やされるところを至近距離で見ることができるので、迫力満点です。
お祭りの様子を動画で見てみたい方はこちらのページからどうぞ!
「火祭り」の期間には、それ以外にも楽しいイベントが沢山あります。この記事ではそんなちょっとクレイジーな「火祭り」の魅力についてご紹介します!
バレンシアの火祭り:概要
スペインの三大祭りと言えば、セビージャの「春祭り」、パンプローナの「牛追い祭り」、そしてバレンシアの「火祭り」です。スペインはカトリックの国であり、キリスト教に関連したお祭りや祝日がたくさんあります。
バレンシアの「火祭り」も、イエス・キリストの父親、聖ヨセフにちなんだお祭りです。正式名称はラス・ファジャス・デ・サン・フアンLas Fallas de San Joséと言います。大工であったイエスの父・聖ヨセフ(San José)が大工の守護聖人とされてきたことから、聖ヨセフに向けて大工が木材で焚き木を行ったことが起源になったと言われています。
毎年3月15日から19日まで開催されますが、2月後半からすでに街はお祭りモードに包まれます。街のそれぞれの自治体でファジャス(Fallas)と呼ばれる張り子の巨大な人形を道路の真ん中に設置します。この人形は最終日の3月19日深夜に一斉に燃やされますが、700以上のファジャスの中からコンペで優勝したものだけが燃やされずに残り、バレンシアの芸術・科学都市の近くにある「火祭り博物館」で展示されます。
バレンシアの火祭り:期間中の主なイベント
Fallas期間中には、様々なイベントが街中で行われます。
爆竹 3月1日から19日
毎日市庁舎広場にて14:00から爆竹が上がります。日本では爆竹というと危険なイメージがありなかなか触れる機会がありませんが、スペインのお祭りでは頻繁に爆竹が打ち上げられます。この爆竹、打ち上げ場所のすぐ近くで見られる上、数がかなり多いので、大きな音が苦手な人は注意が必要です。
街中の爆竹 お祭り期間中ずっと
お祭り期間になると小さな爆竹のようなものを子どもたちが街中で使用するようになります。街中至るところで昼夜問わず爆発音が鳴り響くので、慣れないうちは事故や事件と思って驚かれるかもしれませんが、実は子どもたちが遊んでいるだけ、という、日本ではちょっと信じられない習慣があります。
ファジャス設置 3月15日~19日
ファジャスは街中のそこかしこに設置されますが、特に完成された形で見られるのは15日以降です。それぞれの地域でモチーフなっている題材が異なり、大きさや色合いも異なるので、街中を歩いているだけでも楽しいです。また、このファジャスは見た目の美しさだけでなく、燃やす際のことも考慮して設計されています。崩れるときに安全に・・・ではなく、なるべく派手に!なるべく豪快に!張り子が崩れるよう、角度やサイズが計算されているとのことです。
献花パレード(オフレンダ)3月17日、18日
守護聖人である聖母像にカーネーションを捧げるオフレンダと呼ばれるパレードが行われます。バレンシアの伝統衣装に身を包んだ人々が14メートルにも及ぶ聖母像に向けて献花する様子はとても豪華で見とれてしまいます。
闘牛
スペインといえば「闘牛」!ですが、スペインでの年中闘牛が行われているわけではないのです。一般的に闘牛はその街のお祭り期間に合わせて開催されます。バレンシアはこの火祭り期間に闘牛が多く開催されるので、興味のある方は闘牛場にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
バレンシアの火祭り:クライマックス「クレマ」
火祭りのたくさんのイベントの中でも、一番の見どころはなんといっても最終日の「クレマ」です。このイベントが始まるのはなんと、3月19日の深夜25時30分(つまり20日午前1時30分)。スペインでは深夜まで続くイベントが沢山ありますが、特にバレンシアのファジャス期間は深夜スタートのものが多いです。
それだけ治安がよく、安全な街であるとも言えます。なので、夜は静かに眠りたい・・・という方は、この時期は市庁舎広場に宿をとるのは避けるのが無難です。
市庁舎広場では、この時間から花火や爆竹がこれでもかというほど打ち上げられ、中心に据えられたファジャスに火が灯されます。このイベントは街中の人が広場に集まるので、近くでファジャスが燃える様子を見たい人は、1時間以上前に広場に行き、場所を確保することをおすすめします。2019年のクレマはあいにくの雨でしたが(300日晴れるというバレンシアなのに!)、それでも迫力満点でした。周りの熱狂具合もすさまじく、日本のお祭りとは一味違う、クレイジーな盛り上がりを感じることができます。
クレイジーなバレンシアの「火祭り」
今回はバレンシアの「火祭り」についてご紹介しました。日本のお祭りというと、夏祭りや盆踊りといった、ノスタルジックなものが多いですが、バレンシアの「火祭り」はとにかく大きな音が鳴りっぱなしです。盛り上がるお祭りを体験してみたい方は、ぜひ、迫力満点の「火祭り」を見にバレンシアに来てください!