世界的にかなり名高くなってきたスペイン三大祭りの中に火祭り(スペイン語でLas Fallas)というものがあります。火祭りとは言っても厳密にはバレンシア州内でもバリエーションがあるのですが中でも最も有名でかつ最もカオスになるのがバレンシアの火祭りでしょう。
筆者は実際に縁あって2度も行くことになったので筆者ならではの独自の楽しみ方を中心に紹介していきます。
そもそも火祭りとは何?
ファヤ(Falla)と呼ばれるロウソクに使われるロウで出来た人形を飾って優秀作として選ばれなかった人形以外は容赦なく火をつけて豪快に爆破させてしまうのが今知られている火祭りの姿ですが果たして最初からそうだったでしょうか?
Fallaはもともとバレンシア語で松明を指す単語で、特別な守護聖人(この祭りの期間だとヨセフ)の祝祭日にもこうしてかがり火をつけるときのかがり火もやがてFallaと呼ばれるようになりました。
祭りの起源としては冬の明けた3月に屑を燃やしていた習慣にさらにヨセフの日に軒先にやがてFallaと呼ばれるようになる人形をぶらさげたことが加わったことに始まるそうです。この人形が巨大化した結果が現在の姿に至るのです。
人形は現代政治の鏡?
筆者にとっての火祭りの楽しみのひとつとして風刺画ならぬ風刺人形があるのですがあまりに独創的な、でも面白おかしい完成度に笑いをこらえるのもままなりません。この写真を撮影した当時は2017年、当時はただですら関係のよくなかったベネズエラとアメリカの関係が加速度的に最悪になった時で、左にはバナナに座った武装したベネズエラのマドゥーロ大統領と右には重武装したトランプ大統領が映っています。
これだけでもなかなか滑稽なのですがこのような政治家や国家元首などをモチーフにした風刺人形も多く、中でも当時はトランプやマドゥーロに加えて当時スペインの首相を務めていたマリアノ・ラホイ、北朝鮮の金正恩などの人形も大変多かったです。
また、当時はバルセロナを擁するカタルーニャ州独立(2019年現在目立った動きはなし)に関して緊迫していた時期でもあったのでカタルーニャ州の活動家や政治家をモチーフにした人形も多く、現代政治の鏡として見ることもできる皮肉やユーモアに満ちた祭りになっています。
中心部は9割歩行者天国!しかし爆竹に気を付けよう(笑)
そうなんです!祭りが行われる間は市内の広い範囲で交通規制が敷かれます。これは主に事実上危険物である人形を設置することに由来しているのですがこれが街の広い範囲を歩行者天国化しているのです。信号も気にしないばかりか車道も歩道として歩くことになるので新鮮な体験になること間違いなしです!
この間のバレンシアは実にカオスで、市民も観光客も皆文字通り伸び伸びとワイワイ過ごす時間になります。つまり半ばやりたい放題といった具合なのでなんと爆竹も飛びたい放題です(笑)。これもこれで楽しいのですが非常にうるさいので耳をふさぐ準備は怠るべからずです。筆者は一度ゼロ距離で爆竹をやられまして聴力が後少しで狂いかけました(笑)。
行事はてんこ盛りだけどやはり〆は見逃せない
火祭りの間は行事がてんこ盛りですが最も群衆がまとまったような妙に感慨深く感じられる〆のイベントは見逃せません。妙なしんみりした一体感もあるのですがやはり一番最後に燃やす人形ですから...
豪快な花火を伴いながら最後は豪快に人形が爆破されます。カオスだったお祭りもいよいよ終わりに近づくにつれ、ますますしんみりしたような雰囲気に包まれます。
そして最後は人形が原型を留めなくなるまでひたすらメラメラと燃えるのを見るのみです。やがて燃え落ち、日が明けるとカオスだったことが嘘だったかのようにバレンシアは日常に戻ります。
2020年の火祭りはいつ?
来年スペインに行くのであれば知っておきたい情報です。2020年のバレンシアの火祭りは3月14日から19日にかけて開催されます。この時期はバレンシア市内での宿の確保は困難を極めるので遅くても1~3か月前には宿を予約することをおすすめします!
まとめ
いかがでしたでしょうか?まずはこの記事のポイントをまとめてみましょう!
- バレンシアの火祭り(Las Fallas)はスペイン三大祭りのひとつ
- Fallaは元々は松明を意味するものだったのが守護聖人の祝祭日のかがり火や祭りで使う人形を指すものに変わった
- 政治家などの皮肉を交えた人形も多いので現代政治の鏡としても見れる
- 市内一帯が歩行者天国に、ただし爆竹に気を付ける(笑)
- てんこ盛りの行事の中で最終イベントは見逃せない!
- 来年の火祭りは3月14~19日!
人形に限らず他にも伝統衣装を着たパレードやバラの花のマリア像など、見ておきたい行事がてんこ盛りな祭りです。一度バレンシアで濃厚なお祭り体験を味わうのはいかがでしょうか?