サインイン | 登録



口唇口蓋裂

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~

by mima

口唇口蓋裂とは  口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)という疾患を知っているでしょうか。ドラマ・漫画『コウノドリ』でも取り上げられ、一般的な認知はぐっと高まったかもしれません。  コウノドリ(6) (モーニング KC) (日本語) コミック (紙)Amazon.co.jpより  唇や口蓋が裂けて生まれてくる先天性疾患で、500人に1人程度の確率で発生するといわれています。必ずしも口唇裂と口蓋裂とを併発するわけではなく、単体の場合もあります。  ざっと分類すると   口唇裂…唇に割れ目がある。 口蓋裂…口蓋(上あご)に割れ目がある。 口唇口蓋裂…唇と口蓋に割れ目がある。 唇顎口蓋裂…唇と顎(上の歯が生えてくる歯茎部分)と口蓋に割れ目がある。   の4種類があり、  さらに右側・左側・両側といった割れ目の場所、不完全性(唇の割れ目が鼻までは到達していない)または完全性(唇の割れ目が鼻まで到達している=鼻の穴が独立していない)といった程度にも個人差があります。        我が子は最重度の口唇口蓋裂  我が子・ユウ(仮名)は“唇顎口蓋裂”であり、“両側”に“完全”な割れ目がある「両側完全性唇顎口蓋裂」、つまり口唇口蓋裂児の中でももっとも重度のタイプです。  そんなユウとの生活を改めて振り返り、治療のことなどにも触れながら記していきたいと思います。    妊娠中の発覚  ユウの口に異常があることが分かったのは妊娠後期のエコーでした。    「口唇裂があるかなあ」という医師の言葉に、「口唇裂って何ですか?」と聞き返したのを覚えています。医師は昔の呼称を教えてくれ、そこでなんとなくイメージすることができました。(現在は蔑称として使われない傾向にあります)  ただ、そのとき私が想像していたのは唇の手術を終えた大人の姿で、わずかに唇の形に違和感がある人、というイメージでした。  しかしそれは実際に生まれてくる姿とは大きな差があったのです。  “口唇裂”というワードでインターネット検索をし、愕然としました。  口唇裂で生まれてくる赤ちゃんは“ちょっと唇がゆがんでいる人”などではなく、上唇から鼻のほうにかけて裂けたようになっており、中には鼻の穴まで裂け目が到達している子もいます。そして多くの場合、鼻の変形を伴っています。軽度と思われる子ではすこし唇が引きつったように見える程度のものもありましたが、重度の症例写真のインパクトはすさまじいものでした。  医師は「口唇裂はあると思う…
スコア: 1.53
2020/03/05

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~

by mima

これまでの記事・重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~   NICUのある病院へ  重度の口唇口蓋裂で生まれたユウは、低体重出生児だったこともありNICUのある病院に転院しました。小さなケースに入れられて救急車で送られるユウを見届けた翌日、私もその病院へ転院。産後の入院生活は病室とNICUとの行き来をすることになりました。    特殊な哺乳瓶・スペシャルニーズフィダー  まずはミルクを飲めるようにならなければいけません。上唇がほとんどない状態で生まれてきたため、唇で哺乳瓶の乳首をとらえるということができません。そのためまずは挿管し、胃に直接チューブでミルクを入れていました。  哺乳瓶は口唇口蓋裂児が飲みやすいよう設計開発されたメデラ社/スペシャルニーズフィダーを使用し、飲む練習をしていくことになりました。      ホッツ床(口蓋閉鎖床)の作成  さらに、生後3日目ごろ歯科医の訪問があり、”ホッツ床”を渡され使い方を教えてもらいました。ホッツ床(しょう)は口蓋にはめて使うマウスピースのようなもので、ユウの口蓋に合わせて作られてありました。おそらく、生後すぐに型どりをしたのだと思います。  ホッツ床(口蓋閉鎖床)  ホッツ床には口蓋を矯正する効果とともに、口蓋にある大きな裂をふさぐ目的があります。(当時、ユウの口の中を覗くと鼻の粘膜(左右の鼻の穴の間の壁)がすぐ近くに見える状況でしたが、生後1か月もするころにはその粘膜の壁がかなり奥まっていたのには驚きました。)  さらに鼻の下に貼るテープ(3Mのマイクロポアーを使用)の作り方、貼り方の指導もありました。これも鼻の下の手前に飛び出した中間顎(ちゅうかんがく)をできるだけ奥に引っ込めるための矯正効果があり、中間顎の位置をなるべく正しくしておくことで口唇裂の手術をしやすくするためのものです。  哺乳の開始  (実際の写真)  さて、この哺乳瓶は一般的な哺乳瓶より乳首が長く、唇を使わなくても舌で押し上げることでミルクが出るようになっています。また弱い力でもミルクが出るため、吸啜力がほとんどなかったユウにもぴったりでした。ただ、それでもミルクを飲むために舌を押し上げるというのはとても疲れることのようで、途中で眠ってしまうことが多く、たった5mlのミルクを飲むためにずいぶんな時間がかかります。「起きて~。お口から飲めるようにならないとチューブ外せないよお~」と看護師さんに何度…
スコア: 2.31
2020/03/26

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~

by mima

これまでの記事   重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~   生後4ヶ月で口唇裂の手術をすることが決まったユウ。NICUに入ってすぐにだいたいの治療スケジュールは聞かされていたため、「ついに来たのだな」という気持ちでした。今回はそんな両側唇裂形成術についての経験を書き記したいと思います。    手術2週間前・術前検査  手術の約2週間前、術前検査が行われました。血液検査・レントゲンと、麻酔医による説明がありました。      レントゲンの撮り方は赤ちゃんならではのものでした。  まずおむつ一枚で台に寝かせ、手首・胸・太もも・足首をベルトで固定。その上からさらにネットを巻きます。  顔も動かないよう両側から板でほっぺたを挟むように固定。そのまま台が垂直に立ち上がり、撮影という流れでした。  「身動きが取れないよう押さえつけるので赤ちゃんはだいたい泣きます」と言われましたが、ユウはきょとんとして撮影が終了しました。  次は麻酔医による説明。ユウは心疾患もあるため、心不全のリスクが通常よりも若干高まるとのこと。改めて手術の怖さを感じ、受け入れなくてはいけない危険性の大きさと向き合うことになりました。    抑制筒の製作  形成外科医の診察の際、術後に使う抑制筒(よくせいとう)を準備しておいてほしいと指示がありました。腕にはめる筒状のもので、肘の関節を曲がらないようにして術後の傷口を触ることを防ぐためのものです。  口唇裂の手術のときには必要になるものと私も認識していましたが、いざ作るとなると意外と難しかったものです。  なんとか作った抑制筒    今はインターネットで作り方がたくさん公開されていたりminneなどのハンドメイドマーケットで販売されていることもあるようですので、そういったものを利用してもいいかもしれませんね。    手術2日前・入院する  病院に慣れる意味も含め、手術の2日前に入院へ。このときのユウは生後4ヶ月半。体重5220g、身長62cmでした。  しかしここで問題勃発。昼には平熱だったユウの体温が夜になって37.7℃に上がってしまいました・・・。  手術は「もしかしたら延期になるかも。明日まで様子をみましょう」と言われました。「延期になったら困る」という気持ちと「このまましなくて済むものならどんなにいいだろう」という気持ちが複雑に交じり合いました。    手術前日・入院2日目  入院し…
スコア: 1.44
2020/04/16

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口蓋形成手術までの準備~

by mima

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~   前回は、生後4ヶ月のときに行った口唇裂の手術について記しました。今回は口蓋裂の手術について、まずはそれに至るまでの経緯を書きたいと思います。    1~2歳で行われる口蓋形成手術  口蓋裂の手術は一般的に1歳~2歳までの間に、だいたいは体重が10kgを超えてから&一人歩きができるようになってから行われます。      ことばを覚え、発語が盛んになるころ、口蓋形成手術を行い口蓋の裂をふさいでおくことで発音が良くなりやすいと考えられています。ただ、あまり早い時期にすると口蓋の発育を阻害するため、その子の言語発達や成長の具合を見てちょうどよい時期に決定されます。    口蓋形成手術の方式は2種類  口蓋裂の手術方式には2種類あります。  1つはプッシュバック法、もう1つはファーラー法(ファーロー法)です。  プッシュバック法は簡単に言うと口蓋の粘膜を中央に寄せ、後方にずらす方法で、裂幅が広い場合に行われます。粘膜をずらしていくため、部分的に粘膜の欠損が生じます。  ファーラー法は口蓋の筋肉をつなぎ、粘膜をZ状に縫い合わせる方法で、裂幅が狭く自前の粘膜が十分にある場合に限り可能です。骨の露出がとても少ないこと、上あごの発育障害が少ないことなどがわかっています。  (参考…順天堂大学医学部付属 順天堂医院、大阪母子医療センター)    我が子の場合の手術時期決定  さて、我が子ユウの場合です。  形成外科・歯科への定期受診時に、口蓋形成手術の時期についての話がのぼりはじめたのは1歳3ヶ月ごろからでした。ただユウの場合は、全体的に成長がゆっくりで言語発達も遅く、この時点でまだ発語はありませんでした。そのため、医師は”口蓋裂の手術は遅らせてもいいだろう”という見解でした。体重も、2歳ちょうどの時点でようやく10kgになったところでした。  2歳5ヶ月になったころ、矯正歯科医から形成外科の医師にむけて「そろそろ口蓋形成手術を行ってはどうだろう」という打診があり、形成外科医がそれに応じる形で手術日を決定しました。  手術は3ヶ月後、2歳8ヶ月でプッシュバック法で行うことになりました。  このように手術時期は患者の状態をみながら、形成外科・歯科・口腔外科など複数の科の医師が相談した…
スコア: 1.67
2020/06/24

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術~

by mima

これまでの記事 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口蓋形成手術までの準備~ 今回は、前回に引き続きユウが2歳8ヶ月で行った口蓋形成手術の記録です。    手術2日前  いよいよ入院。・・・の前に、また微熱が出てきたため、予定にはなかった形成外科の診察が入りました。いちおう入院して、オペ当日の具合をみて決行するかどうか決めましょうとのこと。  入院は1年半ぶりなので、ユウは慣れない様子ですこし不安そう。リラックスしてもらうため、ベッドの上でお絵かきしたり絵本を読んだり・・・この日はスキンシップを大切にしました。    この時期はまだ肌寒さの残る春先でしたが、病棟はかなり暑いので微熱ありのユウは薄着でも汗びっしょりに。体温調節が難しいです。    手術前日  病棟にも慣れてきた様子で院内のプレイルームなどで遊ぶユウ。ただまだ体調は万全でないようで、いつもよりも午睡が多めでした。手術前には子どもと向き合って手術の説明と「がんばろうね」を伝えることにしていますが、この日は目をそらし聞いてくれませんでした。    手術当日  朝6時をもって飲水禁止になるため、AM5:45にグッスリ寝ている息子を起こし、水を飲ませます。体温を計り(37.2℃)、麻酔医の診察、形成外科医の診察。手術できるでしょうとのことで、予定通りオペの運びとなりました。  ここで「おいおい!」と思ったのが麻酔医の診察。医師が、自身の手書きのメモを見ながらいくつか確認をしてくださるのですが、それがことごとく間違っており非常に不安になりました。    大学病院は医師も多いため、手術に関わるドクターが直前になるまでわからないというのはデメリットかも。麻酔医なので直接執刀されるわけではないですが確認事項がミスだらけだと不安になるものです。  さて、オペは9時から。前日にできなかった「手術がんばろうねのお話」をして病衣に着替えさせ、時間がくるまでプレイルームで遊びました。  10分前に看護師さんのお迎えがあり、手術室へ移動。義母も来てくれ、主人もこの日は会社を休んでくれました。    12時までの予定だったオペですが、12時になっても13時になっても看護師さんは来ず・・結局、14時前までかかりました。3時間の予…
スコア: 1.0
2020/06/23

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術・術後の様子~

by mima

これまでの記事 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口蓋形成手術までの準備~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術~   今回は引き続きユウが2歳8ヶ月で行った口蓋形成手術について、術後のことを綴ります。    手術翌日  ユウの体温はまだ38℃近くありました。術後の反応熱とのことです。  少し身体が回復してきたようで、ひとりで座ることができるようになったり、弱弱しくですが手を上げたり指さししたりといった動作をしはじめました。また、昼寝もたくさんしてくれ安心しました。  食事についても、病院のお味噌汁(具なし)をゴクゴクと飲みました。液体なら痛がらずに飲めるようになったようです。絹ごし豆腐はまだまだつぶせないようで、口にいれるとすごく痛がるので中止。普段「やわらかいなあ」と思って食べているものでも術後の傷口には痛むのだなと思いました。  ただ、レトルト離乳食「けんちんうどん」は食べやすいようでした。ほぼどろっとした液体で、ところどころ入っているうどんも小さく、豆腐よりもやわらかいほどなのです。朝と昼と合わせてビン1つが空きました。        病院のご飯もあるのですが、形状によっては食べられるとは限らなかったり(もう少し柔らかく…など都度変更してもらえますが、反映は1~2食後からになるため即座には難しいです)、痛みのために時間通りではなくちょこちょこ食べになってしまったりするので、レトルトの離乳食は持って行って正解でした!  水分がだいぶ取れるようになり点滴を抜いてもらえ、扱いがずいぶんラクになりました。  そしてこの日は主人と交代し、泊まってもらいました。ほとんど眠れていなかったので、私は家でぐっすり眠って睡眠不足解消。    術後2日目  交代すべく病院に行くと、息子がプレイルームで座ってオモチャで遊んでいました。前日はお座りや指差しがやっとだったのに、1日でだいぶ回復しています。  ただ、離乳食をほとんど食べていないと主人から聞いており、また点滴入れられるのは可哀相なので根気よく食べさせました。最初は断固拒否していましたが、けっきょくそれなりに食べました。(それでも全体の10分の1くらい)  この日から安静度が院内フリー(病院内…
スコア: 1.16
2020/07/11

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~3歳・言語訓練スタート。8歳で正常構音ができるようになるまでの記録~

by mima

 これまでの記事 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口蓋形成手術までの準備~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術~     3歳7ヶ月。口唇口蓋裂のユウの言語訓練がスタートしました。      それまでの発声について  この時点でのユウの言葉は、ほぼ母音のみで構成されていました。  さらに母音同士の区別もはっきりしたものではなく抜け落ちも多く、また喉を詰めて「ッアッ、ッアッ、」と発音する癖(声門破裂音)が習慣づいていたため、実際には赤字部分のみを発声しているような感じで、    「パンたべたい(pan wo tabetai)」→「ッアンあッあ」  「これ バッタ?(kore batta)」→「ッえッ ッあ?」  「おかあさん(okaasan)」→「ッあーッあん」    という風に聞こえていました。  この時期の発音の例がこちらです。      「おとうさん(oto-san)」  こういった発声であっても、親であれば聞き取れることも多かったです。ただ他人にはほとんど伝わりません。      言語訓練スタートはパ行から  ユウがまず始めたのは、「パピプペポ」の習得でした。通常、パ行の発音の習得は3歳までに完成するといわれていますが、ユウはまだでした。  パ行を発音するには口の中にじゅうぶんな空気をため、唇をしっかりとはじく必要があります。  このときのユウは口をぷくーっと膨らませること自体、でき
スコア: 1.63
2020/09/07

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口唇口蓋裂と集団生活(保育園)~

by mima

 これまでの記事    重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口蓋形成手術までの準備~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~3歳・言語訓練スタート。8歳で正常構音ができるようになるまでの記録~     重度の口唇口蓋裂で生まれたユウは、ほかにもいろいろな疾患がありました。そのためまずは療育園へ通っていましたが、4歳児から地元の保育園へ通うことになりました。  マイノリティが当たり前である療育園とは違う、保育園という場所でユウがどのようにして受け入れられていったのかを記したいと思います。    見学で子どもたちの雰囲気を見極める  3歳児の後半ごろから保育園の見学がスタートしました。子どもたちを通じて園のあり方が見て取れると思っていたので、私は子どもたちの雰囲気をよく見ることにしました。  ユウは口唇裂のオペを済ませたといっても、いびつな鼻の形をしています。日常生活を送っていても、すれ違う子どもにじっと見られたり、「へんな顔!」と言われたりしたこともありました。まずは視覚的に「人と違う」と感じられるであろうユウに対して、同年代の子どもたちがどんな反応をするのか。  保育園によって子どもたちの様子はさまざまです。なんとなく暗い雰囲気の園の子どもたちは、ユウを遠くから見つめてくるだけでした。  いっぽう、大勢の子どもたちがユウに駆け寄ってきて群がり、  「名前は?」「なんでこんな鼻なの?」「何さい?」  と親子でたじろぐほど質問攻めにしてくる園もありました。        私は迷わず後者の園を選びました。  人と違う面も含めてユウに興味を持ってくれ、積極的にかかわろうとしてくれる子どもたちの中にユウを置いてやりたいと思いました。    はじまった園生活  園生活は順調にスタートしました。明るく、興味津々な子どもたちです。最初の頃はお迎えに行くたびになぜちゃんと喋れないかをよく尋ねられたので、  「お口の中に穴が開いているからしゃべりにくいんだよ」  という話をしました。すると  「見せて」  と言い、ユウもアーンと大きな口を開けて見せます。  「すごい!」「本当や。穴開いてる」  などと子どもたちは反応。中には  
スコア: 1.22
2020/10/17

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~Q&A よく聞かれる質問に答えます~

by mima

これまでの記事   重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口蓋形成手術までの準備~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~3歳・言語訓練スタート。8歳で正常構音ができるようになるまでの記録~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口唇口蓋裂と集団生活(保育園)~     口唇口蓋裂の子を育てていると、時々質問をいただくことがあります。今回はいつものように治療や生活の記録ではなく、これまでによく聞かれた質問を取り上げていきたいと思います。 あくまでもユウと私の場合に限りますので、医学的な断定を意味するものではないこと・人によって考え方や環境は大きく異なることを踏まえて読んでいただければと思います。          口唇裂について  Q.どうして唇が裂けているの?A.お腹の中でお顔が作られていくとき、最初はみんな唇が裂けています。そこからだんだんと皮膚が中央に寄っていってくっつき、唇の形になるんですね。その形成がうまくいかず、裂けたまま生まれてきたのです。    Q.どうしてお腹の中でうまく唇が作られなかったの?A.はっきりとした原因はわかっていません。いろいろな要因が複合的に重なることで口唇裂になることがあると考えられています。また、口唇裂を引き起こす可能性のあるお薬は報告されているようです。ちなみに、ユウの場合は基となる疾患があり、口唇裂はその合併症として起こっていると考えられます。たとえば染色体異常などの場合も口唇裂が起こる可能性は増えるようです。きょうだいに口唇裂がある場合も可能性は上がるようです。    Q.唇が裂けてるのは痛くないの?A.痛くあり
スコア: 1.06
2020/12/08

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~小学校のみんなに知ってもらおう企画~

by mima

これまでの記事     重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~妊娠から出産まで~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~手さぐりでの生活~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口蓋形成手術までの準備~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術・術後の様子~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~3歳・言語訓練スタート。8歳で正常構音ができるようになるまでの記録~ 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口唇口蓋裂と集団生活(保育園)
スコア: 1.21
2021/01/19

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)にむけて①~

by mima

  今回は顎裂の手術に関する記録です。      顎裂とは?  顎裂とは、上の歯茎に割れ目があることです。口唇裂のみ、口蓋裂のみ、あるいは口唇口蓋裂のみで生まれる子もいますが、我が子ユウ(仮名)の場合は「“両側”完全性唇“顎”口蓋裂」であり、歯茎も前歯を挟んで左右ともに裂がある状態でした。  歯茎に割れ目があることで歯並びへの影響はもちろん、ことばを発音する際にそこから空気が抜けることにより不明瞭さにもつながります。  この割れ目を埋めるのが顎裂形成術ですが、割れ目を埋めるために腰の骨(腸骨)の骨髄を取って移植することになります。  顎裂形成・顎裂部骨移植手術については、おおよそ小学校3~4年生で行うことになると出生後すぐから聞かされていました。犬歯が生えるタイミングなどからこの時期が適切だとされているようです。もちろん個人差がありますので、具体的な時期は医師の判断のもと決定されます。  今回はこの顎裂形成術について、オペ前の準備を2回に分けて書きたいと思います。      中間顎の矯正をスタート  顎裂形成・顎裂部骨移植手術を受けるにあたり、1年半ほど前から準備がスタート。中間顎といって、前歯2本が生えている部分をできるだけ真ん中に引き寄せるための矯正が行われました。  ユウはまず右側の顎裂形成からすることになりました。生まれつき右側のほうが裂幅が大きく中間顎がかなり左側に寄っているので、手術がしやすいよう矯正していきます。  前歯のカバーとゴム    実際に装着した写真    このように前歯にカバーをし、常時装着しているプレート(口蓋閉鎖床)につけているフックと橋渡しをするように直径6mmのゴムをひっかけます。  ゴムの力で中間顎をできるだけ真ん中に寄せ、右側の空間を狭めるのが目的です。フックが上唇の裏を傷つけて出血し口内炎が起こるなどのトラブルはありましたので、その都度歯科医等に調整してもらいながらすすめます。  痛みはないようで特に嫌がることもなく、これは約1年間続けました。    その後、  前歯を直接引っ張る      前歯につけていたカバーはなくし、前歯そのものにフックを埋め込んだ土台を接着して同じようにゴムで寄せる矯正に移行。  引っ張る力をより強くするため、ゴムは直径6mmから4mmに変更となりました。  また、手術1ヶ月前の時点で寄り具合が足りなかったようで、ゴムを2本かけることと学校でも常時装着するよう指示されました。(上の写真はそのときに撮ったものでゴムを…
スコア: 1.0
2021/03/25

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)にむけて②・気持ちと心の準備~

by mima

前回の記事重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)にむけて①~    今回も顎裂の手術までの記録です。  前回は手術までの矯正治療について書きましたが、今回は心の準備について書きたいと思います。我が子・ユウ(仮名)がどのように手術にむかって気持ちを作っていったのかが参考になれば幸いです。  顎裂形成手術(1回目)を受けることになったとき、ユウは小学校3年生でした。その前に手術を受けたのは就学するよりも前で、もう何年間も手術のない日々を過ごしていました。  どんなに幼くても本人に手術の説明はしてきましたが、今回はとくにしっかりと話しておく必要がありました。  就学し見通しがつくようになってきた分、手術がこわいという気持ちが生まれるかもしれない。  けれども、成長したからこそ得られたものもあり、それに手助けしてもらいたいと考えました。  これまでとの違いは、自分のまわりにある環境を大切に思う社会性ができたこと。  その社会性ががんばろうとする心を後押ししてくれたらと願いました。    また、術後は胃管を入れてしばらく経鼻栄養になったり、腸骨を切るため少しの間歩けなくなったりするので、自分で知っておかないと混乱すると思いました。          顎裂の手術が入ると決まったのは約4か月前の夏。  まず考えたのは「本人にどう言おう!」でした。歯医者に行くにも「ウィーンって削る?」と確認してくるようになった今、術後の生活に耐えるには本人にもそれなりの覚悟が必要です。    どうやって心の準備をさせていくか···。  3ヶ月前になって、手術をすることを伝えました。  「手術ってなに?」  腰の骨をとり、歯茎のすきまに入れて埋めることを伝えました。  「チクってするの?」「痛い?」  眠ってる間に終わるから手術してるときは痛くないよ、終わったら痛みはあるよという。  「え、ボク手術やだー」  これでそのときは終わりました。  日を改めて、手術の説明を軽くもう一度。3年生といってもみんなより幼く、長い説明は入りにくいので簡潔に伝えます。手術をすることで食べやすくなったり喋りやすくなったりすることも。  「えっホント?」  という反応で、拒否反応はなくこのときは終わりました。  そのあとは、「冬休みに○○行きたーい」とユウが言うたびに、  冬休みは手術だから無理だよだからここは早めに行こうここは春休みに行こう  ということを伝えていきました。    そうしていくうち、だんだんと普段の…
スコア: 1.06
2021/05/01

「重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)①入院と手術~」

by mima

重度の口唇口蓋裂で生まれ、小学校3年生になったユウ。いよいよ1回目の顎裂の手術となりました。   重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)にむけて①、②・気持ちと心の準備~で書いたように、久しぶりの手術にむけて身体的にも精神的にもゆっくり準備をしてきたつもりです。  それでも、骨を取って移植するというのは大掛かりな手術。ユウ自身、苦痛や混乱はたくさんありました。  今回は入院してから手術当日までの出来事です。記録の形を取りますので簡素な文体になりますが、お読みいただければと思います。  秋の名残がある季節でした      手術前日    12時頃、2人部屋に入室。37.3℃の微熱。すぐに昼食が運ばれてくる。1時間ほどかけて完食。キッズルームがあるが、先に遊んでいる子に遠慮して入ろうとせず、暇を持て余す。DVDを観たいと言われたが、先は長いので絵本を渡す。よく見る。少し鼻水、鼻詰まりあり。声掛けをしないと水分補給をしないので注意が必要。  夕方、看護師さんよりオペの説明あり。あす12:00~手術。食事は6:00まで、水分は10:00までOK。9:00に点滴ルート確保予定。    食事をとりたいから起こしてほしいと息子に言われ、5:30に起こすことに。当然ながらそんな早朝に病院食は出ないので、買い物へ行く。  入院中は院内学級を利用することを検討していたが、いったん学校の籍を抜いて転校という扱いになるそうなのでやめておくことに。  精神的には非常に安定している。一人で寝るからお母さん帰ってと言う。看護師さんから、絶食もあるので今日明日は付き添いのほうがいいと言われる。そのあとは1人で泊まると主張。  夜になると、21時から1時間ほどモゾモゾと寝られない様子。  「鼻痛いよね」(鼻から管を入れて栄養を摂ること)「一人ぼっちになる~」など。  少なくとも明日までは一緒に寝ること、鼻の管は痛むかもしれないけど抜いちゃダメだよということを伝える。手術の痛みも気になるようで「痛いよ~」と言うので、起きたときに痛みはあるかもしれないけど、手術は寝ている間に終わることを伝える。マスクでスーハーしている間に眠ってしまうよと言うと本人もスーハーと呼吸のシュミレーションをする。眠ってしまうと言ったからか、「え、死ぬん?」と聞いてくる。否定すると笑っていた。     手術当日    5:20ごろから起こし始め、5:30に時間通り看護師さんが…
スコア: 1.0
2021/09/11

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)②入院期間前半

by mima

小学校3年生のユウが受けた1回目の顎裂の手術。  前回の 「重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)①入院と手術~」 の続きになります。        手術翌日  7:00ごろ起床。元気なし。無言。しんどいかどうか聞くと、首を振る。気持ち悪いかと聞くと「うん…」。辛そう。  8:00 少し上体を起こすことに。ベッドの傾きを1段階上げたいので、好きなアニメのDVDをつける。横になったままで腕や足を使ってベッド上部までずりずりと上がってもらうが、「痛い、痛い」という。  9:00 自分で座った!「起きれたわ」と自分でも驚いたようで、少し元気が出てくる。声もはっきり出るように。身体を動かすのを痛がるが、なんとか身体拭き、着替えもできる。寝ころがっていても、しばらくすると自分で「座る」と言ってア二メを見る。  お昼前には疲れて入眠。  午睡後、同室の子が車椅子に乗っているのをみて「乗りたい」と言う。ベッドのふちに腰掛け、数歩歩いて自分から車椅子の方に向かう。術後はじめて立ちあがった。痛むので2歩ごとに休憩。車椅子で病棟内を散歩すると嬉しそうだった。 回診アリ。腰に貼っている傷口のテープが濡れて貼り替えようとするがくすぐったいのと痛いのとで大泣きで大暴れ。もう貼り替えなくていいように上から看護師さんに防水テープを貼ってもらうが、暴れすぎて半分くらいしか貼れず。点滴のシーネ取り替えが怖いのと痛いのとで震えながら泣く。  夜、抗生剤の点滴がうまく入らないのでもう一度手元のシールを貼り替えることになった。このときの担当の看護師さんが息子の意見を尊重してくれ、まったく泣かず暴れずにシール貼り替えができた!  看護師さんとの相性がいいので、腰の傷口をしっかり覆えるように防水テープも追加で貼ってもらうことに。やはりくすぐったいので「自分で貼りたい」と言い、看護師さんが手伝う形で自分で貼らせてくれた。     術後2日目  20分ほどかけてトイレまで移動。はじめて術後トイレで排尿できる。車椅子に乗りたいので移動には意欲的で、ゆっくり待てば自分で動くことができる。手伝ってほしいときは要求あり。しかし傷口の防水テープがわずかに覆ってなかったところから濡れてしまい、また貼り替えることに。また「イヤ、イヤ」とあばれる。「自分で剥がしたい」と言うが、この日の看護師さんは力づくで剥がそうとしてしまい「痛い」と余計に嫌がり30分…
スコア: 1.0
2021/10/21

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)③入院期間後半

by mima

小学校3年生のユウが受けた1回目の顎裂の手術。  前回の 「重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術)②入院期間前半」 の続きになります。      術後7日目  いよいよ胃管が外れる日!朝食は経鼻栄養、そのあとチューブを抜く。スムーズに抜ける。 昼食から久しぶりのご飯!      おかゆ(330g)は多いようで残してしまったが、おかずは完食。おいしかったよう。  しかし、夕食のおかずに竜田揚げが出る。   術後の傷口に大丈夫なのか?とか、1週間の流動食で消化機能も弱まっていたからおかゆが出されているのに竜田揚げって回復食になっているのか?とモヤモヤ。とりあえずユウはおかゆは残すものの、夕食もおかずは完食! 口からのお水やごはんはやっぱりうれしいようで、「明日のごはん何かな~?」とウキウキ。 創部付近の歯にはまだ触ってはいけない(歯磨きできない)。ユウはとても虫歯になりやすいため、看護師さんに頼んでおやつ・ジュースの提供はやめてもらう。 学校のみんなからのお手紙に返事を書く。   術後8日目  朝行くと、自分で着替えてTVを見ながら朝食をとっていた。寂しくなかったとのこと。 トイレイヤ、お風呂イヤ、鼻をかむのイヤ、宿題イヤ、靴下はくのイヤ、手洗うのイヤ…etc.小さなことで反抗をする。 看護師さんを通して担当医に術後の食事について尋ねてみたところ、やはり少し負担が大きいメニューだとのことで、「全がゆ+学童食」から「術後食」に切り替えることに。  甘いものを止めてもらっていたはずだが、おやつの時間にビスコとジュースが提供される。「夜からは術後食なのでおやつは出ません」といわれるが、夕食後にクリスマスケーキが出る。    見てしまったものは食べたいだろうから、仕方ない。 クリスマスの時期なので、病棟内でイベントが開催される。       入院していても季節感を楽しめる行事を企画してくださっているのはありがたい。   術後9日目  わがままを言いたい気持ちは分かるが、今日はイヤイヤなし!とお約束する。が、まだ排尿が頻回で一日何度も粗相があり、着替えるのをイヤがるのでそのたびに手こずる。トイレは「イヤ」と言わずに行くこと、汚れたら「イヤ」だと言わずに脱ぐことをお約束する。傷口のカバーをしているシーネを自分で洗う練習をする。学年が近い子と仲良くなり、プレイルームで一緒に遊んでいる。   術後10日目  …
スコア: 1.0
2021/12/18

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子~顎裂形成手術、1回目と2回目の違い~

by mima

前回までの記事で、 顎裂の手術(顎裂形成・顎裂部骨移植手術) について書いてきました。ユウは左側にも右側にも顎裂があるので、2回に分けての手術が必要です。  1回目はこれまで書いてきた記録の通りですが、実際は2回目の手術も終えています。1回目は小学3年生。2回目は4年生でした。  手術そのものの流れはほぼ同じですが、たった1年とはいえ子どもが成長したことでいくつか変化がありました。  今回はそんな変化について記したいと思います。    (写真はイメージです)  変化その①    クラスメイトからの応援が受け入れられなかった  しばらく学校をお休みすること、復帰後も(体育NGなど)学校生活に影響があることから、手術を受けることは前もってクラスメイトに伝えておくのですが、そうすると先生が気を利かせて「がんばれメッセージ」みたいなのを子どもたちに書かせてくれたりなんかします。        3年生の時はそれがうれしかったようなのですが、4年生の時は返ってプレッシャーになってしまったようです。あるいは、軽い気持ちで「手術のことをみんなに話すんだ」と言っていたのに盛大に応援されて「そんなに大きなことなのか」と思ってしまったのかもしれません。メッセージカードを受け取って帰ってきた日、自分からは読みたがらず、「○○くんも、▲▲くんも、ガンバレって言うからイヤだ・・・」と大泣きしてしまいました。手術までに開くことはなく、1年前のように入院先の病院に持って行くこともありませんでした。  (※カードは、手術から半年くらい経ったあと、自分から見返すようになりました。「こんなこと書いてくれてる!」と喜んでいます。)    変化その②  手術前日に泣いていた  手術前日、なかなか寝付けず、ベッドの中でシクシク一人で泣いていました。顔を見ようとすると布団をかぶってしまい、泣いている姿は見せたくないようでした。    変化その③  麻酔が効くのに時間がかかった  3年生のときはすぐに麻酔が効いてスッと眠ったのですが、4年生では倍ほどの時間がかかったうえ効いていく途中で暴れるような仕草がありビックリしました。体重が増えて麻酔薬がまわるのに時間がかかることが原因だそうで問題はないとのこと。    変化その④  術後、拘束をすすめられた  手術室から出てきてすぐは急に自由が利かなくなりますし、毎回目が覚めたとたんに暴れます。経鼻栄養の管を抜こうとしたり、テープの貼り替えを拒否したり…。大変なのですがそれ…
スコア: 1.06
2022/04/01

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~これまで、現在の様子、そしてこれから~

by mima

重度の口唇口蓋裂で生まれたユウも小学校高学年になりました。  子どもの段階で済ます最低限の手術は終え、あとは将来を見据えて治療を選択していくことになります。これまでの治療を振り返りながら、現在の様子とこれからについてをまとめておきたいと思います。      <ユウのこれまで>  妊娠中に口唇裂が判明します。出生後、口唇口蓋裂のなかでも重度である「両側性完全唇顎口蓋裂」だと分かりました。生まれてすぐに型取りをし、穴をふさいでミルクを飲みやすくするための「ホッツ床」を口蓋に装着します。  口唇裂の手術までは、唇を寄せるようにテープ矯正をしていました。そして、生後4ヶ月で口唇裂の手術をします。  2歳で口蓋裂の手術をしましたが、口蓋ろう孔(手術で閉じきれずにできてしまう穴)が発生します。また、この頃から言語訓練をスタートします。小学校低学年で、正常構音(正しい発音)を習得しました。  小学3年生、4年生で左右それぞれに分けて顎裂形成手術を行いました。    <ユウの現在の様子>  口蓋ろう孔があるので、口蓋に「閉鎖床」(プレート)をはめて生活しています。  言語訓練は続けています。訓練時はよい発音ができるようになったものの、日常生活では声門破裂音が強く残っておりまだまだ不明瞭であることから、正常構音(正しい発音)を日常化していけるように試みています。訓練の内容は個人差が大きいものですが、ユウの場合は正常構音の日常化を目的としているため、訓練にも方言のイントネーションを用いる・日常生活でも使うフレーズを取り入れるなどをしています。また、日常での「伝わった!」という実感を増やせるよう、学校の先生にも協力を仰いで「正しい発音でクラスの中で短文を読む時間」を作っていただいています。    口腔内の筋肉をしっかり使うために学校用の水筒はストロー式のものを使っています。  閉鎖床をつけていることなどから上あごの発育が阻害され、口蓋裂児は受け口になる傾向があります。ユウも閉鎖床についている拡張装置で上あごを拡張していますが、小学5年生後半からは就寝時のみ「フェイスマスク療法」を行っています。下の写真のように、ゴムを使って上あごを前方に引き出しています。      <ユウのこれから>  今後、正常構音が日常化すれば言語訓練は必要なくなるといわれています。  次の手術は、通常であれば口蓋ろう孔を塞ぐための手術。口蓋の再手術です。これは上あごが大人同様に発育し切ってから…
スコア: 1.16
2022/04/01

重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~主体的に言語訓練と向き合う難しさ~

 
「重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子」シリーズ、約2年ぶりの投稿となりました。現在、「難しいな」と感じていることがあるので、それについて記してみようと思います。  重度の口唇口蓋裂で生まれたユウ(仮名)は、約1年ほど前から、言語訓練のための通院に「行きたくない」と言うようになり、自宅での言語の練習も嫌がるようになりました。  (写真はイメージです)  考えられる理由はいくつかあります。   思春期・反抗期と呼ばれる時期に突入した 訓練内容にやりがいがなくなった 発音が不明瞭でも本人が困らない きれいに発音できたときの成功体験が少ない   思春期・反抗期と呼ばれる時期に突入した  ユウは自己主張はする子でしたが、どちらかといえば従順で、基本的に「やりなさいと言われたことはやる」子でした。小学校中学年くらいから、面倒なことを後回しにすることは出てきましたが、結果的にはやる。ユウ本人は時間の見通しがつきづらいため、親がタイムリミットを決めて必ずやらせていたというのもあります。  しかし、親の言うことがウザイと感じる年齢になり、怒っても反抗や無視をするという手段を知りました。「最終的にやらないでもなんとかなる」というのを徐々に覚え、「サボる」ことを知ったんですね。  同時に、それまでは遊びといっても何時間も熱中するようなものはなかったのですが、漫画やゲームなど没頭できるツールができ、生活の中に「ラクで楽しいこと」が占める割合が増えてきました。  そうなると、自宅での言語練習なんて面倒になるのは当然です。    訓練内容にやりがいがなくなった  訓練の内容が変わり映えせず、成果が目に見えてわからないのもやる気を削いでいる要因かもしれません。  これまでの記事でもお話したように、ユウは現在、気をつけて喋ると正常な発音ができます。ですが、「気をつけて喋る」ということが日常生活ではできないという状態です。この状態がこの3年間ほど続いています。  正常な発音を習得するまでは、訓練を通して「言えたことのない音が言えるようになった」というやりがいを得られていました。ユウ自身が「よっしゃ!」と手ごたえを感じている場面も多々ありましたし、親の私にも常に驚きと感動がありました。  訓練時にすべての音が発音できるようになったことで、訓練での成長がなくなり、親子ともにマンネリを感じてきていました。訓練内容も新しいことを試すというよりは、正しい発音ができる機能…
スコア: 1.0
2024/02/26

プライバシー設定を変更しました

記事は保存されました(投稿はされていません)

サインインして続行する

国: 日本 (jp)
  • United States (us)
  • 日本 (jp)
  • Indonesia (id)
  • India (in)
利用規約 | プライバシーポリシー | 私達に関して
よくある質問 | お問い合わせ
 
© 2025 123ish