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- 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~生後4ヶ月での両側唇裂形成術~
- 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~口蓋形成手術までの準備~
- 重度の口唇口蓋裂で生まれた我が子 ~2歳での口蓋形成手術~
今回は引き続きユウが2歳8ヶ月で行った口蓋形成手術について、術後のことを綴ります。
手術翌日
ユウの体温はまだ38℃近くありました。術後の反応熱とのことです。
少し身体が回復してきたようで、ひとりで座ることができるようになったり、弱弱しくですが手を上げたり指さししたりといった動作をしはじめました。また、昼寝もたくさんしてくれ安心しました。
食事についても、病院のお味噌汁(具なし)をゴクゴクと飲みました。液体なら痛がらずに飲めるようになったようです。
絹ごし豆腐はまだまだつぶせないようで、口にいれるとすごく痛がるので中止。普段「やわらかいなあ」と思って食べているものでも術後の傷口には痛むのだなと思いました。
ただ、レトルト離乳食「けんちんうどん」は食べやすいようでした。ほぼどろっとした液体で、ところどころ入っているうどんも小さく、豆腐よりもやわらかいほどなのです。朝と昼と合わせてビン1つが空きました。
病院のご飯もあるのですが、形状によっては食べられるとは限らなかったり(もう少し柔らかく…など都度変更してもらえますが、反映は1~2食後からになるため即座には難しいです)、痛みのために時間通りではなくちょこちょこ食べになってしまったりするので、レトルトの離乳食は持って行って正解でした!
水分がだいぶ取れるようになり点滴を抜いてもらえ、扱いがずいぶんラクになりました。
そしてこの日は主人と交代し、泊まってもらいました。
ほとんど眠れていなかったので、私は家でぐっすり眠って睡眠不足解消。
術後2日目
交代すべく病院に行くと、息子がプレイルームで座ってオモチャで遊んでいました。
前日はお座りや指差しがやっとだったのに、1日でだいぶ回復しています。
ただ、離乳食をほとんど食べていないと主人から聞いており、また点滴入れられるのは可哀相なので根気よく食べさせました。
最初は断固拒否していましたが、けっきょくそれなりに食べました。(それでも全体の10分の1くらい)
この日から安静度が院内フリー(病院内ならどこでも行ける)なので、1階のコンビニまで行ってみようと息子を誘い、靴をはかせました。
術後はじめての靴。
最初は膝がガクガクと震えていたがゆっくり歩きはじめるユウ。徐々に感覚を取り戻したのか、コンビニから帰るころにはスムーズに歩いています。身体面はかなり戻ってきたと感じました。
ただ、精神面はまだまだ回復を要するようで、いつもに比べてとてもワガママになっています。
寝付きも悪く、夜中は1時間おきに泣いていました。
体重は10.5kgで、オペ前よりマイナス0.5kg。
術後3日目
体温はほぼ平熱に戻りました。
まだ精神的には不安定なようで、あまりぐっすり寝れていないだろうに、朝5:30に大泣きしてそのまま起きてしまう。
動きたがるユウに連れられ早朝の院内散歩をし気をまぎらわせました。
病院の朝ごはんが待てずにぐずるため、7:00にレトルトで離乳食。レトルトがあってよかった~!と思いました。
夜ごはん(病院の離乳食)を、はじめて完食!形状はまだドロドロですが、食欲が戻った!と嬉しかったです。
夜中はやはりよく泣きます。
術後4日目
フラフラな私をよそにユウは早朝に起床し、昼寝も1時間のみで元気に過ごしました。
この日はたいへんよく歩きました。
屋上庭園に行ってみたり、プレイコートにも出てみたり。
また、日中のぐずりやワガママは昨日よりかなりましになってきました。
身体が回復して動けるようになってくると気持ちも落ち着くのかもしれません。
そしてなんと、病院の離乳食は味噌汁(量が多いので)以外は3食とも完食!
おかゆ山盛りにおかずも3品あるというのに、なかなかの食欲です。
離乳食形態は中期。
ただここで問題が。
口の中を触られることにとても敏感になっており、歯磨きをさせてくれないのです。
上の歯はすべてシーネ(傷口を保護するもの)で覆っているので下の歯のみなのですが、どうしても口を開けません。
大好きなお義母さんがやろうとしても、拒否。
看護師さんがやろうとすると口をあける・・・・。
毎回看護師さんにお願いするのも気が引け、歯磨きの説得にはかなり根気を要しました。
ちなみに抗生物質の服用も、私では嫌がってコップをはねのけるが、看護師さんが飲ませると飲んでいました。
夜、主人と交代。
かなりの睡眠不足になるので家族の協力は不可欠でした。
術後5日目
傷口を保護するために創部に縫い付けていたシーネを抜糸して取る日。
処置室の台に寝かせられるだけで恐怖を感じるようで、すぐに大泣きしている声が聞こえました。
シーネがないと傷口に直接食べ物が当たるため痛みを心配していたのですが、離乳食形態なら問題なさそうです。
また、シーネを取ったことでやっと上の歯の歯磨きができ、口臭もましになりました。
自宅からイチゴの下半分(柔らかいところだけ)を小さく切ったものを持ってきて与えてみたところ、1つずつゆっくりと食べる。術後こんなにしっかりとした固形を食べるのははじめてでしたが、問題なく食べられたため離乳食後期へ病院食をシフトしてもらいました。
術後6~9日目
相変わらず歯磨きを拒否するので、仕方なく看護師さんにしてもらうこともたびたび。
夜はまあまあ眠るようになりました。
食事形態も離乳食完了期へとシフトしていきました。やわらかめのしっかりとしたおかずで、煮物などは食べやすそうでしたが、葉ものや魚は食べづらそうで、ごく少量ずつ与え1時間くらいかけて食事をしていました。時間をかければほぼ全量食べることができ、こちらも安心。
機嫌もだいぶ良くなり、また屋上庭園の散歩やプレイルームでの遊びを楽しみます。
術後8日目には昼食後外出許可をもらい、駅前までベビーカーで散歩。
おでかけすると分かったときはとてもはしゃいでいましたし、私のリフレッシュにもなりました。
術後10日目、人工真皮の抜糸・退院
傷口に人工真皮を縫い付けていたのを抜糸してもらいました。
これで、何もついていない口蓋を見ることができるようになったのですが、見た感想は・・・
- 表面がでこぼこ(やはり、自然にできる口蓋のようにはいかないかー)
- 白い部分が2箇所ある。(一か所は骨が見えている状態で、自然に上から粘膜が張ってくるらしい。もう一か所は、筋肉が血行不良で真っ白になったもので、経過観察)
- 傷口にわずかな隙間あり(術後に穴があくことは言われていたので、この時点では納得)
―で、退院!となりました。
その後
自宅に戻ってからも、傷口から少し出血することはありました。
食事については、指導通り硬い食べ物を避けていました。
術後14日目には、退院時には小さかった穴がさらに広がりかなり大きな隙間になっていました。
小さな穴が空くことは覚悟していましたが、想像以上の隙間になりました。
そして、穴をふさぐための閉鎖床(プレート)を歯科で作製することになりました。
術前までつけていたホッツ床のようなものです。
(プレートの作製は傷口が落ち着くのを待ち、術後1ヶ月半になってから型取りをしました)
退院の日に気になった白い部分についてですが、時間経過とともに骨は自然と粘膜に覆われていき、血行不良もなくなりました。
この手術で口蓋垂(のどちんこ)を作ったのですが、一般的な形状の口蓋垂よりかなり小さく、わずかな突起のようなものが喉の奥にできました。
口蓋の隙間は大きくなってしまいましたが、喉の奥までパックリ割れていた術前の状態と比べると、喉の奥半分はきれいに閉じており、小さいながらも口蓋垂もできました。発音に必要なのは喉の奥の筋肉だそうで、口蓋裂手術の目的はおおむね達成できたと思っています。
手術は自前の粘膜を使うしかないので、もともと大きな裂幅だったユウはどうしても閉じきれなかったようです。2度目の口蓋裂手術についてはしっかり顎の大きさが成長してから検討するそう(早い時期に再度閉じてもまた成長とともに穴が空いてくる可能性があるとのこと)で、しばらくはプレートに助けてもらいながら発音の練習などをしていくことになります。
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