これまでの記事
生後4ヶ月で口唇裂の手術をすることが決まったユウ。
NICUに入ってすぐにだいたいの治療スケジュールは聞かされていたため、「ついに来たのだな」という気持ちでした。
今回はそんな両側唇裂形成術についての経験を書き記したいと思います。
手術２週間前・術前検査
手術の約２週間前、術前検査が行われました。
血液検査・レントゲンと、麻酔医による説明がありました。
レントゲンの撮り方は赤ちゃんならではのものでした。
まずおむつ一枚で台に寝かせ、手首・胸・太もも・足首をベルトで固定。その上からさらにネットを巻きます。
顔も動かないよう両側から板でほっぺたを挟むように固定。
そのまま台が垂直に立ち上がり、撮影という流れでした。
「身動きが取れないよう押さえつけるので赤ちゃんはだいたい泣きます」と言われましたが、ユウはきょとんとして撮影が終了しました。
次は麻酔医による説明。ユウは心疾患もあるため、心不全のリスクが通常よりも若干高まるとのこと。
改めて手術の怖さを感じ、受け入れなくてはいけない危険性の大きさと向き合うことになりました。
抑制筒の製作
形成外科医の診察の際、術後に使う抑制筒(よくせいとう)を準備しておいてほしいと指示がありました。
腕にはめる筒状のもので、肘の関節を曲がらないようにして術後の傷口を触ることを防ぐためのものです。
口唇裂の手術のときには必要になるものと私も認識していましたが、いざ作るとなると意外と難しかったものです。
なんとか作った抑制筒
今はインターネットで作り方がたくさん公開されていたりminneなどのハンドメイドマーケットで販売されていることもあるようですので、そういったものを利用してもいいかもしれませんね。
手術２日前・入院する
病院に慣れる意味も含め、手術の２日前に入院へ。
このときのユウは生後4ヶ月半。体重5220g、身長62cmでした。
しかしここで問題勃発。
昼には平熱だったユウの体温が夜になって37.7℃に上がってしまいました・・・。
手術は「もしかしたら延期になるかも。明日まで様子をみましょう」と言われました。
「延期になったら困る」という気持ちと「このまましなくて済むものならどんなにいいだろう」という気持ちが複雑に交じり合いました。
手術前日・入院２日目
入院して一夜が明け、予定では手術前日となりました。
ユウは時々くしゃみをするものの、わずかな微熱程度に。
このまま熱が下がったままであれば予定通り手術をできるとのことで、絶食ならぬミルクの「絶飲」に関する説明を受けます。
手術は翌日AM9：00～。
看護師さん、麻酔医さんからは「ミルクは食事と同じなので夜中の０時までを最後に飲ませないでください」と言われましたが、主治医は「赤ちゃんは３時間もすればお腹が空っぽになるから朝６時までは大丈夫」と言う。
意見が分かれてとても戸惑いましたが、決定するのは主治医。
ただ夜０時までと朝６時まででは差がありすぎて不安であることを看護師さんに伝えると「う～ん、じゃあ間をとって３時までくらいにしときます？」と言われ、そうすることになりました。(今思うと適当すぎるのですが…)
この日は、手術前日ということでたくさんの思いがあふれました。
もう翌日には手術をして、今のかたちのユウではなくなってしまう。
手術前日。たくさん写真を撮りました。
お腹のなかで繋がるはずだった唇の横のところ。触ると気持ちよくて好きだったけれど、もう触ることができなくなるのでたくさん触りました。
唇と鼻の形が変わったからと言ってユウがユウであることに変わりはないのですが、見納めと思うと寂しかったです。
そして怖かったです。
私は、ユウに話をしました。
今の姿のユウも大好きなこと。でも社会で生きていくために手術はしたほうがいいということ。
ユウが悪いわけじゃないのにごめんねということ。生まれてきてくれてありがとうということ。
今まで、つらい矯正や通院をよくがんばったこと。ユウの強さに感動していること。
オペはこわいかもしれないけど大丈夫だよということ。だからがんばろうねということ。
じっと目を見て真剣に話をしはじめたら、それまでぐずっていたユウがぐずるのをやめてじっと私の目をみて聞き始めたのには驚きました。そして、私がすべて話し終えると「ふえっ」と一瞬だけ泣きかけて、やめたのです。ユウの強さを見た気がしたし、伝わったと信じることができました。
手術当日
朝、熱を測ると平熱。胸の音も異常なしとのことで予定通りオペとなりました。
ユウは、夜中の１時に最後のミルクを、そして朝６時に湯ざましを飲んでいましたが、空腹で朝から泣いていました。
手術の30分前に病室を出て手術室へ移動。ユウを抱いたまま私も一緒に手術室へ入ることができました。
お腹が減って泣いているユウを、小さな赤ちゃん用の手術台にユウを寝かせると、マスクから麻酔が入れられます。
にがいのか、ギャーと泣き、あばれるのですが、すぐに力が入らなくなり、声が小さくなっていきました。
そして「がんばろうね」と呼びかけると小さな声で「フゥーン・・」と言って、眠ってしまいました。
「よろしくお願いします」と頭を下げて手術室を出ました。ユウを励ます立場だからと私は泣きませんでしたが、手術室の外で待っていた義母は泣いていました。
手術当日、術後の写真
手術は１時間ほど押し、無事に終了。しばらく酸素マスクをつけていましたが、体内の酸素濃度が安定してきた15時ごろに外れました。点滴からは痛み止めが投与されています。
傷口からの分泌物が詰まって苦しいようで、一度目が覚めたあとは眠たくてもなかなか寝付けないようでした。しかし傷口に触ってはいけないからと吸引ができないとのことでした。夕方からお白湯、夜はミルクOKとのことでしたので、少しずつ飲ませました。傷口が痛むのか、ホッツ床をつけておらず飲みにくいためか、量はいつもより少なかったです。
手術翌日～
手術翌日からホッツ床を再び装着していくとのことで、傷が広がらないようなつけ方のコツを教わりました。装着するとミルクは飲みやすいようですが、鼻づまりがひどく寝付けないときはホッツ床を外してやったほうが息がしやすいようでした。
術後２日目以降はお風呂もOKになるなどできることが増えた一方で、鼻づまりや傷口からの分泌物で息苦しく寝付けないというのがこの入院中で一番悩まされたことでした。
眠ろうとするのに眠れない、うとうとしては泣いて起きるといった様子で、30分も続けて眠ることはできませんでした。抱っこであやしながら夜通し病棟の廊下をうろうろしていたので、付き添いの一番大変なことといえば睡眠不足でした。
家族で交代するなどの協力が不可欠です。
ちなみに、口呼吸にしてやると少し息がしやすいようだったので、哺乳瓶の乳首だけをくわえさせて口に隙間を作ってやるとスースーと寝息を立て始めることが多かったです。（自分ではくわえていられないので、ずっと押さえておいてやる必要がありました）
ユウもこまぎれ睡眠だったこともあり、入院中は機嫌が悪かったように思います。
抜糸そして退院
術後６日目に抜糸を行い、７日目から鼻の穴の形を整えるためのシリコン製装具”レティナ”を装着。
術後８日目、退院。自宅での術後ケアとしてしばらくテープの貼り替えはしてやる必要がありましたが、術前にもテープ矯正をしていたのでやることはそんなに変わりありませんでした。
ただ、レティナがすぐに外れてしまうので上からテープで留めるのですが、それもすぐに外れてきたり、つける際に暴れたり、レティナが詰まって呼吸がしづらくなったりとその扱いには苦戦しました。あんまりしっかり装着できていなかったので、ユウは今も鼻ぺちゃです。
術後約１年
おまけ：入院にあたって準備したもの
- ユウの服３日分（病院で洗濯するけど、いちおう予備も入れて３日分。）、よだれかけ、ガーゼ、ミトン、薄手のおくるみ、バスタオル３枚、フェイスタオル３枚、衣類用洗剤
- ミルク１缶、哺乳瓶２セット、消毒剤、１００均のタッパー（哺乳瓶のつけおき消毒に使用）、水切りざる（哺乳瓶を乾かす際に使用）、哺乳瓶ブラシ、食器用洗剤、ビニール手袋、水筒
- オムツ１袋９０枚入り、ビニール袋、おしりふき８０枚×３パック
- 小さなおもちゃ３つ
- 抑制筒×２
- 母子手帳、育児日記、ペン、クリアファイル
- かけ湯用の洗面器、ベビーせっけん、ベビー用ハンガー３つ
- 付き添い者の服３日分、シャンプー、リンス、歯ブラシ、ティッシュ、コロコロ
- レジ袋数枚
あと、
- １００均で組み立て式のファイルBOXを２つ
- 扉にかけるフック２つ
を買っていったのですが、これらがとても重宝しました！病院でもらう資料や記録表、育児日記などをBOXに立てて収納すれば省スペースですし、フックに荷物を引っ掛ければテーブルにおかなくてすみます。
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