J-POPと洋楽の盛り上げ方
誰しもJ-POPも洋楽にもお気に入り曲が一曲はあるだろう。
そしてJ-POPと洋楽、曲の雰囲気が何か違うと気づいているはずだ。
良く言われる話で、J-Popにはサビという概念がある。サビなしのJ-POPなんて、、、と感じる人も多いのではないだろうか。そしてこのサビこそが両者の印象を分かつ決定打になるのだ。
実は洋楽にサビの概念はなく、代わりに ”chorus(コーラス)” がある。
これはサビとも言えるし、むしろBメロに近い感覚である場合が多い。では、サビがないから洋楽は物足りない!となるか?そうはならないだろう、皆耳に残るお気に入りの洋楽を持っているはずだ。
何が言いたいかというと、J-POPはサビを際立たせるドラマティックな構成で作られる、一方で洋楽は曲全体の一貫した心地よさノリに重きを置くという事だ。この違いを典型的日本と海外のヒットソングを比べて見ていこう。
その①〜コードワーク
まず決定的な違いの一つに、コードワークがある。コードワークとは簡単に言ってしまえば伴奏の雰囲気の事だ。あれ、曲調が変わったぞ?と思ったらそれはコードワークが変わっている事がほとんどだ。例えばこの曲
あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
うーん、いい曲だ。。。この曲で0:57~のBメロから雰囲気が変わった事に気づくと思うが、ここでAメロとコードワークが大きく変わっているのである。それはそれは大きく変わる。これはサビに入る前振り、曲を一旦落としサビを際立たせる為の演出だ。サビであの ”来た来た!” と言う感覚を覚えるのは、このBメロのコードワークによる所が大きい。
次にこの曲、コードワークが少し似てる曲を選んでみた。恐らくこの曲を耳にした事がある方も多いだろう。
Maroon 5 - Girls Like You ft. Cardi B (Official Music Video)
24億回再生って。。。すごい。この曲の0:39~始まる部分が ”chorus” だ。あいみょんのサビと比べて割とさっぱりした印象だ。この曲Bメロがなく、Aメロからそのまま “chorus” に入るので曲として起伏が少なく、すぐに一番が終わってしまう。そしてこの曲驚くべきはコードワークが初めから終わりまで、ずっと同じなのである。曲を通しコードを4つしか使っていない。このような一貫したコードワークにメロを乗せるのは洋楽独自の特徴の一つと言える。
その②〜リズムパターン
そしてリズムパターンの違いも大きい。J-POPと洋楽には曲を通してのリズムの取り方にも大きな違いがある。
Official髭男dism - Pretender[Official Video]
この曲をカラオケで歌おうとして、サビで声が出ず悲しく哀愁を感じた人も多いと思うが(自分もだ)、この曲はサビとそれ以外でリズムパターンが違う。特に1:29~は、ドラムで煽って煽ってサビの直前で止まり、そこに ”グッバイ” 。サビを際立たせる演出として最適解ではないか。このようにBメロでリズムパターンを変える演出はあらゆるJ-POPで聞けるとお気づきだろう。
今度は先ほどのサビと、リズムパターンの似た洋楽を聴いてみよう。オシャレなPVが特徴のこの曲、何となく1:04〜先ほどの曲とリズムが似ているように感じる。
The Chainsmokers - Paris (Lyric Video)
今回の ”chorus” は0:35~や、1:23~だが、この直前でリズムパターンが変わる事は決してない。”chorus” が終わったところでドラムが緩急をつける為に止まるような演出はあるが、”chorus” を盛り上げる為のリズムの演出はないと言っていいだろう。
このように洋楽の場合は歌に対するドラムの起伏はなだらかで、むしろ1番の終わりなどで緩急をつける曲が多い。これはダンスミュージックの盛り上げ方と同じで、あえてリズムを止める事で聞き手を飽きさせないよう工夫しているのである。最近の洋楽はダンスミュージックとポップスが融合したような曲が主流で、この手法をあらゆるヒットソングで聞く事ができる。
まとめ
以上をまとめると
J-POP
- サビがメイン
- サビを際立たせるためのコードワーク
- Bメロのドラムパターン変化によるサビへの煽り
洋楽
- 曲全体の一貫したノリがメイン
- Aメロとサビのつなぎ、起伏はなだらか
- ドラムパターンを大きく変えず、ドラム抜き差しによる緩急
となる。このように曲に対する考え方が根本から違う事がお分かりいただけただろうか。もちろん、洋楽にもJ-popのようなドラマティックなサビメイン構成の曲もある。
〝Don't Look Back In Anger〟oasis LIVE 和訳付き with Lyrics
そして逆に邦楽にも洋楽のような作りの曲はある。
赤とんぼ、海などの童謡や、昭和歌謡のいくつかには洋楽に似た曲の展開を感じる。
しかし最近のJ-popとなると、やはりサビが主役。カラオケ文化の日本に置いては必須なのであろうか。是非こういった視点で一度自分のお気に入り曲を聞き比べてみて欲しい。