介護はいつ誰が必要になるかわかりません。
誰しもが必ず歳を重ね、弱っていきますが、それは今のことでなく、いつかのことと思いがちです。
少しづつ状態の落ちていく人に対しては、本人も家族も介護を意識し、準備が出来ますが、別居している親の状態の低下になかなか気が付けなかったり、転倒などの事故で急に介護が必要になった時どうすればいいのかを知っている方はあまり多くありません。
そこで、急な介護が必要になた時、どうすればいいのか、また日々を過ごす中でどのような準備が出来るのかを実際にあったお話を例にして確認していきましょう。
1 まずはケアマネージャーと相談を!
介護が必要な状態になっても、すぐに支援が受けられるわけではありません。
私が担当していた方で、ケアマネージャーに相談したことで劇的に状況を改善出来た経験があります。
この方は、親の状態が急に低下していき、自分のことがほとんど出来なくなってきている中、どこに相談したらいいのか分からず、ベッド、車イス、歩行器など必要と思ったものを全て購入しました。さらに親が寝たきりの状態に近くなった為、仕事も辞める寸前までいったのですが、たまたま関わった民生委員からサービスに繋がり、なんとか生活を立て直すことが出来ました。
もっと早く行政やケアマネージャーなどと相談が出来ていれば、高額な介護用品も購入という形ではなく、レンタルすることも出来ました。
そしてこの方は、支援を受け始めた当初は、要介護5と1番重い介護度でしたが、相談の過程で受診をし、内服薬を見直したことでどんどん改善していき、3ヶ月後には区分変更で要介護1まで改善することが出来ました。
もう少しで親子共倒れになりかねない状況から、支援に繋がったことで、大きく改善された例です。
行政の介護保険担当課でも介護保険の説明を受けることは出来ますが、実際にサービスを受けるにはケアマネージャーとの契約、相談になってきますので、本人の状態、環境から具体的な支援の決定などはケアマネさんと相談していきましょう。
2 介護サービスの種類を知っておこう
いざという時に、介護サービスにはどのような種類のサービスがあって、どんな時に支援をしてもらえるということを、大まかにでも知っておくととても助かります。
介護のサービスは大きく分けると、在宅支援と施設への入所支援の2つに分けられます。
主な在宅サービスの種類
- 通所支援(通所介護、通所リハビリなど)
- 訪問支援(ホームヘルパーなど)
- 宿泊支援(ショートステイなど)
主な入所施設の種類
- 特別養護老人ホームや老人保健施設
- グループホーム
- その他にも有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅など
将来家族に介護が必要になった時のことを考えて、どんな支援をしたいか、または出来るのか、など考えておくことが重要です。
比較的若い方や元気な方は、介護施設の利用に抵抗がある方が多く、通うための口実を必要とします。
特に男性の場合、仕事に行くような感覚でリハビリへ通うなどという理由があると、入浴や遊びに行くという理由よりもスムーズに支援に入ることが出来ます。
反対に女性の場合は、みんなで集まり、わいわい楽しくお話などをした方が多いので、利用していただいた時に、いかに楽しく過ごしていただくかが重要になります。
介護保険を使って受けられるサービス
在宅で生活することが出来る方の場合は、上記の通所、訪問、宿泊サービスを利用しながら、リハビリや入浴などその方の目的に合わせたサービスを受けることが出来ます。その他にも自宅で安心して生活ができるように、福祉用具をレンタルしたり、購入の補助や住宅改修等を受けることが出来ます。
入所の場合も、老人保健施設や特別養護老人ホームの様に介護保険を使うことで比較的安く入所がでいます。
ですが有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅の様に保険外部分の料金が高くかかる施設もありますので、自分の状況に合わせて、よくケアマネージャーと相談することが大切です。
3 今できることは何か
急な支援が必要になった場合、今まで普通に過ごしてきた生活が一変し、思うようにいかない毎日が始まります。
いつまで続くか分からない状況に、頭はパニックになり、どうしていいのか分からずに塞ぎこんでしまう方もいます。
自宅で転倒して動けない、なんにでも介助が必要で、どうにもならないからなんとかして欲しい。
入院している病院からすぐに退院してくださいと言われたなど、急に状況が変わり、どうにもならずに相談に見える方がたくさんいます。
急に状況が変わった時に絶対にしてはいけないことは、1人もしくは家族だけで抱え込んでしまうことです。
そんなことをしても、お互いにとっていいことなどありません。
ずっと元気でいられるに越したことはありませんが、いつ自分の周りで介護が必要になっても、今から意識して準備をしておけば、いざという時に慌てずに対応することが出来ます。
今すぐに困っている場合ではないと、どうしても後回しになってしまいがちですが、その準備が介護を受ける本人や支援をする家族などを助けることになります。
知らなかったが為に大変な状況で介護を続けている方がたくさんいる反面、介護保険をうまく活用し、自分の生活もきちんと維持しながら介護をしている方もいます。
過剰な準備は必要ありませんが、いつか来るその日への準備をしっかり行い、スムーズに介護保険の利用に結び付けられるように心がけましょう。