介護職員のバーンアウトとは?
介護職員といえば切っても切り離せない問題が『バーンアウト』です。
バーンアウトとは日本語では『燃え尽き症候群』と訳され、対人支援職で働いている人には起こりやすい精神的状態です。
うつ病等とは違い、精神的な疾患ではないのです。
しかし日々人への支援に携わる業務は、目に見える形で成果が現れにくいので…日々の業務に疲れ果て職務を放棄してしまう状況を指します。
看護職や医者や教師や他の支援職とは違い、介護職には非常に多いのが現状です。
なぜ介護職員のバーンアウトは多いのか?
結論として、どれだけ介護を頑張っても実を結ばないケースが多いからです。
介護職のサービスまたは支援対象は高齢者の方々です。
高齢者の方は表現は悪いのですが、どちらかというと「支援を頑張れば頑張るほど元気になる」とはいかないのが現実です。
介護職の目的は死が迫る方々へのサービスであり、如何に人生の最後を楽しく過ごして頂くかということが最大の目的になります。
しかしながら、多くの場合は…生きがいや幸せを人生の最後で感じながら一生を終えることは難しいのが実際です。
いくら努力しても報われない仕事をするのは辛いものです。
介護職員の離職率とバーンアウトの関係性
バーンアウトいわゆる燃えつき症候群が介護職員に発生すると、職員の多くは退職するか他の施設へ移ってしまいます。
介護職員が10年以上同じ施設で働いているケースは非常に珍しいといえるでしょう。
短くて3~4年、長くて7~9年、管理職に就いた場合は10年といったところです。
しかし、その管理職は激務です。自殺されてしまう方や過労の為に病気を患う方も少なくありません。
そう考えるとバーンアウトは自己防衛本能ともいえるのかもしれません。管理職になった後もバーンアウトの危険性は高いのです。
介護職員がバーンアウトして転職する場合
介護職員がバーンアウトして離職した場合、多くの場合少しの休養を経て他施設での介護を再開する場合が多いです。
その一方で、他の医療資格や福祉資格を取得し介護現場を離れて、他の医療福祉の事務職として働く人も一定数居ます。
その他にあえて、対人関係の少ない職種に就く人やボランティアとして介護福祉の現場に関わる人達も存在します。
実際各県の福祉人材センターでは「介護現場から障害福祉の事務職への転職の増加が近年目立っている」と人材センターの職員の方も述べていました。
介護職員がバーンアウトしたが離職できない場合
神奈川県相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害されるなどした事件から3年を迎えた7月26日、殺人罪などで起訴されている植松聖被告人(29)とやりとりをしてきた静岡県立大学短期大学部の佐々木隆志教授(社会福祉学)が、福祉施設の職員の待遇改善などを求める厚労相宛の要望書を提出した。
佐々木教授は「福祉サービスの労働者はぎりぎりで生活をしているため、何かあればバーンアウトしてしまう。労働環境を改善しないかぎり、質の高いサービスは難しい」とした。
介護職員がバーンアウトしつつガス抜きできずに介護の仕事を継続した場合、多くの場合は虐待に繋がり、非常に危険な状態です。
多くの介護現場では配置転換の申し出や離職の希望を出した場合、保留されます。
私自身も結婚の為に引っ越しをするので離職しようとした際には、5ヶ月ほど退職までに時間が掛りました。
かつ、引き止められつつ夜勤の連続のシフトが組まれてしまい苦労しました。
幸いなことに私の勤務した施設の利用者の方は穏やかな方が多く、利用者の方に支えられながら退職に至りました。
しかしながら介護職員の離職は非常に難しいといえ、虐待事案の一因になっている可能性が高いのが実際です。
終わりに:止まらない介護職員の離職への日本の対策
現在、一年で約20万人の介護職員が職場を離職しています。
この人数は1年で入職する介護職員全体の約20%だそうです。
リーマンショックなどの不景気の煽りを受けて一時的に介護職員は増加したといわれています。
また同時に65歳以上で退職された方々の労働の受け皿にもなっています。
しかし応募者は「夜勤はできない」「日勤のみでお願いします」「子育てや親の介護があるので出勤できません」などのナイナイ尽くしが現状です。
一方で辞めて行くのは働き盛りの20歳~40歳の若者で、正に主戦力となるべき人材です。
それで介護職の離職は止まるのでしょうか?あくまで貸付金です、いつか返さなければならないお金なのです。
加えて、一時的に介護職員を増やしたとして…その人達が辞めない保障はあるのでしょうか?
まだまだ介護現場の崩壊は続くのではないでしょうか?