LGBTと聞いて、なにを思うだろうか。
最近、この単語を聞く機会は一気に増えた。テレビやニュースで当たり前のように聞く度に驚く自分がいる。
LGBTとはレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取った言葉で、セクシャルマイノリティの総称を指す。
今や13人に1人はいると言われている。
私も当事者の1人。中学生ぐらいまではバイセクシャルだったが、今はほぼゲイとして生きている。
ただ、何十年と生きてきた中で、誰かにカミングアウトされた経験は1回しかない。
それも、本気のカミングアウトではなく、ノリの延長というか、カミングアウトとは言えない感じの告白だ。
私自身、誰かにまともにカミングアウトした経験は2.3回しかない
母親にもカミングアウトしたのだが、当然驚いていたし、最初は認めたくなかった様子だった。
思うに、世間では、「LGBTって最近よく聞きますよね。身の回りに沢山いるらしいですからね~」「私そういうのに偏見ないからいつでもカミングアウトしてきて~」といった雰囲気ではあるが、当事者からすると『やっぱり言えないな』というのが本音。
だって言うメリットよりデメリットの方が大きくない?
それに、どれだけ世間が"理解を示している風"を装ったところで、こちらにはあまり響いてこない。
これはあくまで1人の当時者の個人的な意見として聞いて欲しいのだが、そもそも、異性愛者とLGBTは(日本では)共存できない気さえする。
そこにはいつでも大きな壁と距離がある。池上彰のテレビで、某芸能人2~3人が「LGBTって100人に1人ぐらいいるんでしょ?」と言っていたのを聞いて驚愕した。「あぁ、やっぱりそんなもんだよね」と。
差別偏見は絶対生まれると思っている。LGBT活動家が「差別偏見撲滅!」とか言って必死に活動しているけど、どこか冷めた目で見ている自分がいる。「もし差別偏見が本当になくなったら貴方はLGBT活動家としてもう食べていけなくない?」と思う。
女性同士がディズニーで結婚式(とは言っても同性婚は法で認められていないので、パートナーシップを取得しただけ)を挙げた時も、冷めた目で見ている自分がいた。
「そんなことして本当に意味あるの?」とどうしても思ってしまう。それだけセクシャリティのことで悩んできたし、苦しい思いをしてきたからかもしれない。どうしても諦めから入ってしまうのだ。
そんな私は、実はLGBT系の支援サイトを運営していたのだが、もう全然更新していない。
そのサイトでは「綺麗なこと」しか書けなかったし、私が心の奥底で思っていたことが吐き出せなかった。
誰かに共感して欲しいとか、この考えが認められて欲しいとかは思っていない。ただ、どこかで吐き出し、残しておきたかった。
そこで123ishに出会った。なので、"ここでしか書けないこと"や"ここでしか読めないこと"を書き残していきたい。
さて、LGBT活動家(通称:LGBTアクティビスト)は全体の数%しかいないと思っている。
ほとんどのLGBTは、特に声を上げることなく、日常生活に溶け込んでいる。
一部のLGBTアクティビストは差別偏見を大義名分に掲げ、LGBTコンサル企業を立ち上げたり、本を出したり、講演をしたりと忙しいらしい。
実際、よく講演活動をしているLGBTアクティビストに会ったこともある。
それに反して、多くのLGBTは「じっとしている」。カミングアウトをすることもなく、ただただ、普通に生活している。
別にLGBTに対する差別偏見があろうがなかろうが、どっちでもいい、と傍観的に思っている人が多いのである。それと、色々な意味で諦めている人も。
まず、そこまで他人に構ってられる余裕がない。自分のことで精一杯である。
LGBT系の支援サイトで「綺麗」な言葉をただただ並べた自分の記事を見て、こう思った。
『こんな綺麗なことばかりじゃないのに』『自分のことですら余裕がないのに』『こんな発信活動意味あるのか?』
実際、多少なりとも意味はあると思う。その記事を読んでくれた人が、少しでも救われる可能性だってある。
しかし私は、「LGBT差別偏見撲滅を謳い、記事にして発信するほど余裕はない」と思ってしまったし、「正直、自分や身内が幸せならそれでいいのかも」とある日思ってしまった。
それに、顔の見えない誰かに向かって「LGBTは身の回りにいるんですよ!偏見を持っちゃだめですよ!」と文字で訴えることの労力は大きかった。
要は、私自身、結構冷めているのである。
そういう意味ではLGBT全体の権利獲得に向けて一直線に頑張っているLGBT活動家を見ると、「凄いな」とも思う。
その一方で、「またなんかやってるよ」と冷めた自分がいるのも事実。実際、『LGBTハイエナ』なんかもいるので。。
結局、同じLGBTという仲間(?)内ですらこんな感じで派閥があるわけで、これがリアルだと思う。
このどうしようもないぐらいに生々しいリアルを、大手メディアやLGBT活動家は排除しがちだ。彼らのSNSを見るとLGBTに関して"いいこと"ばかり書いている。LGBTにクリーンなイメージを持たせる作戦はある意味成功していると思うが、当事者は全てを知っているのだ。
実際は、もっとドロドロで生々しいことばかりだろ、と言いたい。
色々な意味で騙されないで欲しい。私はドロドロに、生々しく、リアルに生きていく。