僕は20代前半のゲイです。
既に異性愛者の友人にゲイであることをカミングアウトしていて、恋愛話をよくしています。
その中で、異性愛者の友人から高確率で言われる言葉があります。
「ゲイも異性愛者も恋愛は一緒でしょ!そんなに気にするな!」
“そんなことはない!”と、毎度声を荒げそうになります。
ですが、異性愛者の人たちにとっては「人が人を好きになる」という点で一緒だと言いたいのだと思います。
間違いではないけれど、異性愛者の人にLGBT、特にゲイの恋愛の難しさを知ってほしいと感じ、この記事を書いています。
そして少しでもLGBTへの理解に繋がればと願います。
(LGBT全体に当てはまる内容かもしれませんが、ゲイである僕自身の主観で話を進めます。)
学生時代は「同じゲイ」が周りにいるか分からない
学生時代は本当に辛かったです。
周りは異性に対しての恋愛話ばかりです。
「自分は皆と一緒じゃない」という不安にかられ
ゲイだとばれないように恋愛話は全て嘘を考えながら話すことになります。
そして、同じ学校の男子を好きになったとしても、自分と同じゲイとは限らない。
もし相手が同じゲイだとしても、相手も自分と同様にゲイであることを隠して生きています。
確かめる術が学生の子どもには無いのです。
そして同じ男性に告白することは、同時に「自分はゲイだ」とカミングアウトすることになります。
僕の学生時代はLGBTという言葉が世間で認識されておらず、テレビに出ている”オカマタレント”という異色なイメージが強かったので、とても気軽にカミングアウトできる環境ではなかったです。
「好きな人に好きと伝える」という行為が、ゲイというだけでハードルを高く感じて、恋愛とはかけ離れた学生時代を過ごしました。
ゲイ専用マッチングアプリでは真剣な出会い探しは難しい
世間一般でマッチングアプリは、“真剣な出会いを求める方のためのアプリ”という認識が強いと思います。
ですが、それがゲイ専用になると少し違います。
顔無しでパンツ一丁の写真だけの人や、会ったらすぐホテルへ移動しようとする人など、僕の肌感覚ではありますが真剣な出会いとは裏腹なヤリモクユーザーが約7割です。
「大人になってから恋愛するぞ!」と意気込んでアプリを登録しても、真剣な出会いを求め、かつ自分と気が合いそうなタイプの人を探すのは、ゲイのマッチングアプリでは難しいのです。
ですが相手もゲイであることが前提にあるので、学生時代と比べると、ゲイとしての出会いの場が用意されていることが有り難いですけどね。
もちろん、アプリユーザーの中にも真剣な出会いを求めている人がいます。
元々日常生活では出会いづらいゲイ同士、もし気が合えば友だちになれる人もいるので、恋愛目的よりも“ゲイ仲間作り”として活用しているゲイもいます。
僕も何十回と出会いを重ねて、恋人は見つかっていませんが数少ないゲイの友人ができました。
大人になってやっと孤独から解放された気がしています。
日本でゲイは”結婚する”という将来を描きづらい
これこそゲイの恋愛を難しくしている大きな原因だと言っても過言ではありません。
同性同士の結婚は、日本では法律上認められていません。(2020年4月現在)
そして、この悩みを友人に話すとよく言われる言葉があります。
「結婚なんてしなくても、大事なのは愛し合っているかどうかだよ!」
僕もそう思いたいのですが、現実的に綺麗事では片づけられない点があります。
どれだけ愛し合っていても、法律上の同性カップルは“他人”という扱いになります。
パートナー同士の遺産相続や配偶者控除などは同性カップルには認められません。
同性婚の代わりに、パートナーシップ制度という結婚と相当の権利を与えられる制度が一部の都市で設けられていますが
あくまで”結婚と相当の権利”なので、豊富な法的支援を受けられないのです。
先ほど、マッチングアプリにヤリモクユーザーが多いと書きましたが、この将来を描きづらいことが大いに関係しています。
彼氏を作っても日本では結婚ができず法的支援がないことから、パートナーを作る理由を見いだせないため一夜限りの関係を求めるゲイが増えてしまうのです。
そして、この現状が招いた悲しい事例があります。
とある男性同士のパートナーが亡くなった際に起こった出来事です。
死別後に互いに財産を残せるよう養子縁組する約束をしていましたが、手続き前の2016年3月にパートナーの方が心臓発作で急死しました。パートナーの親族の女性(妹)は、同居する二人の関係を理解していたように見えましたが、死亡後に態度が一変し、葬儀で家族席に座ることや火葬への立ち会いを拒否しました。夫婦のように長年連れ添ったことに対しても「何の意味もない」と一蹴、親族女性の代理人弁護士は「あなたには何の権利もない」と言い放ちました。出典:OUT Japan LGBT関連ニュース
同性カップルというだけでトラブルが発生し、愛するパートナーの葬祭に立ち会えなかったのです。
このような状態が続いては、将来に希望を持てずに過ごすゲイがいて当然です。
まとめ
今は学校でもLGBTについて取り上げられたり、同性婚訴訟やパートナーシップ制度を導入した自治体が増えました。
最近では台湾でアジア諸国初の同性婚制定がされ、昔と比べたら同性愛者が過ごしやすい世界へ変化しています。
日本も「人が人を愛する」恋愛をLGBT自然にできるような世の中になってほしいです。
もし、身近にLGBTの知り合いや友人がいたら、寄り添って話を聞いてあげてください。
僕達LGBTは、普通に人を好きになりたいだけなのです。