つい最近、FtMトランジェンダー(身体は女性だが性自認は男性)のYouTub動画を見ていた。
彼の動画でたびたび出てくる「ナベシャツ」という言葉。
「もっと締め付け力のあるナベシャツで胸を潰したい」「なかなか胸が潰れなくて困っている」という奇怪な発言をしていた。
正直、FtMの世界についてそこまで詳しくない筆者からすると、「ナベシャツ?なにそれ?」という感じだった。
同じLGBTというカテゴリーに属していながら、初めて聞いた…
そして色々調べてみたのだが、ナベシャツとは、どうやらFtMトランスジェンダーのパスグッズとしてはマストアイテムらしい。
パスグッズとは、パス度を上げるためのグッズのこと。
パス度とは、「自分が認識している性自認が、外見上第三者から認識されているかどうかを表す度数」のことで、FtMの人なら第三者から「男性」として認識されればパス度が高いと言えるのだ。
パス度が高ければ高いほど、日常生活において支障をきたさない。「性別は?」と聞かれる機会も減るし、男子トイレにだって堂々と入れる。
胸が全くない人なら必要あまり必要ないかもしれないが、胸がある程度ある人にとっては、ナベシャツは必要不可欠。
ナベシャツには、タンクトップ型/サラシ型/Tシャツ型がある。
ナベシャツという名前が生まれたのは、どうやら1972年(昭和47年)のことのようだ。
こんな情報を発見した。
「元祖ナベシャツオカ」のナベシャツは、昭和47年、大阪南・北の水商売のオナベの方に依頼され考案し、誕生した商品です。当時はオナベの福音と云われ、今も根強い人気がある商品です。私がその名前を「ナベシャツ」と付けました。 平成5年に上岡龍太郎のテレビ番組「50人に聞きました」で取り上げられ、全国に広がりました。(お値段はその時のままです。)
今では、一般のFTM、トランスの方々に愛用されております。
【引用元:http://nabeshatu-yofukuoka.com/docs/】
FtMにとって大きな胸があることは苦行なのだろうか…
元々Aカップなど胸が小さい人ならあまり気にならないかもしれないが。
ただサラシのように胸を潰すことが前提になるので、慣れないと痛い&苦しいという現実が待っている、らしい。
(慣れれば問題ないみたい)
最近だとナベシャツの種類も豊富なので、デザインや機能性や素材などを加味し自分に一番合ったものを選べばいいと思う。
以下、紹介させていただく。
◆ナベシャツの種類、バリエーション
ナベシャツには大まかに分けて、「タンクトップ型」「さらし型」「Tシャツ型」の3種類が主流だ。
着脱方法もナベシャツによって変わりるが、「ホック式」「一体式」「チャック式」などがある。
(色々試した結果ホック式が一番楽という意見が多かった)
また、素材もそれぞれ。主流どころは「ポリエステル素材」「メッシュ素材」「綿素材」。
更にカラーバリエーションも豊富で、目立ちはしないがおばさんっぽさは否めない「肌色」から、スタイリッシュな「黒」や「白」、「赤」や「緑」なんかもある。
色に関しては何でもいいと思うのだが、仮に相手に見られてしまった時のことを考えて無難な色をチョイスしておいた方がいいだろう。
◆タンクトップ型
タンクトップ型は一番オーソドックスであり、一番人気が高い。
メリットとしては、「タンクトップ型は着慣れていると思うので抵抗が少ない」「万人向け」「カラーが豊富」「インナー扱いできるので安心」などなど。
デメリットには、「座ったり屈んだりが多いとチラ見せしてしまう恐れがある」「身体が豊満だと脇下のお肉がはみ出てしまう恐れがある」などが挙げられる。
◆さらし型
さらし型は、タンクトップ型の胴回りを切り取った形のナベシャツ。
画像のように半分タンクトップの形もあれば、完全さらしの形もある。
メリットとしては、「着脱が楽」「座ったり屈んだりした時のチラ見せリスクがない」など。
デメリットには、「ブラジャーを連想させてしまう」「たまに胸の圧迫と擦れで痛くなることがある」らしい。
◆Tシャツ型
Tシャツ型は、Tシャツそのものがナベシャツになったタイプ。
タンクトップ型やさらし型と比べると比較的値段が高めに設定されている。
メリットとしては、「ナベシャツっぽさがない」「ただTシャツを着ているようにしか見えない」「圧迫感が少ないので長時間着ることができる」「これ1枚で外出することも可能」などなど。
デメリットには、「カラーバリエーションが少ない」「タンクトップ型を着て重ね着した方がお洒落」などが挙げられる。
◆「胸を潰す」という発想がなかった
ナベシャツ。
女性にとって、胸は大きくしてなんぼだと思っていた。
よく、バストアップが話題に出るし、バストアップを謳う商品が後を絶たない。
「胸が小さくて悩んでいるんだよね」という人も結構いるはず。
だからこそ、「胸を潰してなくす」という発想が全然なかったし、「こんな商品もあるんだ(需要があるんだ)」と正直驚いた。
きっと今まで多くのFtMを救ってきたに違いない。
少し話が逸れるが、常に常識を疑い、価値観をアップデートしていきたい。
世の中には色々な人がいるのだなとつくづく実感する…