おっせかいが防いだある事件 何をヘラヘラ笑っているんだ。何が楽しいんだ。生きるってなんなんだ。もう、こんな世界は終わりにしたい。でも、自分一人が消えるのはなんか違う。誰でもいいから一緒に。 青年は、その定食屋に初めて入った。 誰かいるか、自分より弱いヤツ。食べ始めてしばらくすると、突然、前の席で一人で食べていたちょっと派手なオバサンが、青年に勢いよく話しかけてきた。 「若いんだから、もっとちゃんと食べなきゃだめよぉ。」 なんだ、このオバハン。 「あれ。やっぱり若い人はこんな油モンばっかり食べるんだよね。野菜もちゃんと食べなきゃ。これ、この煮物おいしいからあげる。ちゃんと食べなさいよ。若者!」 若い女性が店を出ていった。青年も後を追うように店を出た。外は雨が降っていた。少し空を見上げていると、あのオバハンも店の外に出てきた。 「あら、雨。あなた傘持ってないのね。じゃ、これあげるから。はい。あ、いいのいいの。うち近いからぱーっと走ればすぐだから。ビニール傘だから気にしなくていいのよ。じゃね。野菜もちゃんと食べるのよ」 気がつけば、手の中に傘があった。若い女性もオバハンも、もうどこにも見えなかった。…
ご成婚の日の青い空 令和天皇となった皇太子様と雅子様のご成婚の日は祝日となり、仕事は休みだった。我が家のマンションで、しっかり布団を干せる場所は屋上しかなかった。えっちらおっちら、布団を抱えて階段を上り、屋上に出ると、隣のお姉さんも洗濯物を干しにきていた。 「いいお天気になって良かったわね」 どちらからともなく、そんな話をした。風が気持ちよく、空が青かった。初めて経験する皇太子様のご成婚。ほぼ同世代の雅子様が誇らしく、新しい時代を感じた。初めて味わう、うきうきする気持ち。 清々しい、平成5年6月9日、テレビ中継を見た。それまでに何十回も見た、当時皇太子様だった平成天皇と美智子様のご成婚の映像とだぶる。 その時は、笑顔で手を振る雅子様は顔が少し引きつっているように見えた。どんな覚悟で、今、この場にいるのだろう。いつ、どのように決断したのだろう。時代が時代なら、シンデレラガールと呼ばれたのかもしれない。でも、今の時代は違うよなと思った。同世代だからわかった。 もうカフェでお茶は飲めない 帰国子女、ハーバード大卒、外務省キャリア。キャリアウーマン中のキャリアウーマンだ。バブル崩壊直後で少し浮かれた気分を失…
私は女だ。心も体も女だ。女子力とか女らしさとかは置いといて、女であると自覚している。 そして、半年ほど前に、男性と結婚した。 学生時代は全く恋愛に興味がなく、恋愛経験ゼロだったのだ。しかし、22歳にして初恋を経験し、「良い人だな」と思っていたら相手から告白され、そのまま結婚した。 恋愛に興味もなければ、「女子力」の類も持ち合わせていなかったので、当時は「こんな自分でも男性と付き合えるんだ」と、驚愕したのを覚えている。 こんな話を周りにすると、「ピュア~!キュンキュンする!」と言われるが、まあ、確かにそうかもしれない。 だが。男性相手に初恋を経験して、男性と結婚した今でも、自分の性的指向が未だに分からない。いわゆる、「Q:クエスチョニング」ってことみたいだ。 参考:LGBTQ+のQとは?【実はよく知らないクエスチョニング・クィア】 (「Q:クィア」っていう、性的少数者を包括して呼ぶ概念もあるらしい。) そんな私の、独り言。 そもそもどれくらい種類があるのか 良く知られてるのは「LGBT」の4つ。それに「X」や「A」もあると聞く。せっかくなので、TRPチャンネル#03 「LGBTQとは?」というサイトで確認…
LGBT当時者に問いたい。 『将来への不安はないか?』 『仕事への不安はないか?』 『孤独への不安はないか?』 『親友にカミングアウトできるか?』 『幸せか?』 『生まれ変わっても自分でありたいと思えるか?』 聞きたいことは山ほどある。 私が私を受け入れることができるようになったのは、ほんの数年前の話で、それまでは自分の運命を呪っていた。異性愛者にずっとなりたかったし、生まれ変わったら絶対自分になんかなりたくない、と思っていた。(今はそんな風には思っていない) さて、今回、24歳のバイセクシャル男性にインタビューを実施してみた。 彼はいつものほほんとしていて、今を楽しそうに生きている。将来は結婚したいと言っていたが、年下の彼氏ができたようで、「もう結婚とかどうでもよくなった」と言っていた。 今をリアルに生きる24歳のバイセクシャル男性。インタビューの一部をお送りする。 -インタビュー受けてくれてありがとう。まず、いつから自分のセクシャリティに気付いた? 『高校二年生だね。携帯を見ていて、男の世界に興味を持ち始めた。こういう世界もあるんだと知って、そして「意外といいじゃん」と思った。それまでは無意識で男性に惹かれ…
最近、いい傾向なのか分からないが、LGBTや同性愛をテーマにしたドラマや映画が増えてきた。 数年前の映画「怒り」や、最近だと「おっさんずラブ」など。 「おっさんずラブ」。 おっさんずラブ(2016)アマゾン Prime Video 私はこのドラマを最終話しか見ていないのだが、まぁ腐女子の反応が凄かった。Twitterを開くと腐女子がおっさん(イケメン)同士の恋愛に萌えている。 ※「おっさんずラブ」とは…まったくモテない33歳の春田創一は、会社の上司である黒澤武蔵と後輩(単発版では長谷川幸也、連続版では牧凌太)の2人の同性に告白される。困惑しながらもピュアな恋心を持つ男たちの存在がいつしか春田の心を大きく揺さぶることになる。(あらすじ,Wiki引用) そう。イケメンおっさん同士の恋愛がピュアピュアな感じで描かれていた。笑いあり、涙あり。 ■腐女子のツイート Twitterでこんなツイートが拡散されていた。 「ゲイの皆さんこんにちわ!私たち腐女子はゲイの皆さんにカミングアウトして欲しいんです。おっさんずラブでやってたように、職場や学校でやっちゃってください!大丈夫、腐女子はみんな貴方たちの味方です!」 ・・・…
僕は20代前半のゲイです。 既に異性愛者の友人にゲイであることをカミングアウトしていて、恋愛話をよくしています。その中で、異性愛者の友人から高確率で言われる言葉があります。 「ゲイも異性愛者も恋愛は一緒でしょ!そんなに気にするな!」 “そんなことはない!”と、毎度声を荒げそうになります。 ですが、異性愛者の人たちにとっては「人が人を好きになる」という点で一緒だと言いたいのだと思います。間違いではないけれど、異性愛者の人にLGBT、特にゲイの恋愛の難しさを知ってほしいと感じ、この記事を書いています。 そして少しでもLGBTへの理解に繋がればと願います。 (LGBT全体に当てはまる内容かもしれませんが、ゲイである僕自身の主観で話を進めます。) 学生時代は「同じゲイ」が周りにいるか分からない 学生時代は本当に辛かったです。 周りは異性に対しての恋愛話ばかりです。「自分は皆と一緒じゃない」という不安にかられ ゲイだとばれないように恋愛話は全て嘘を考えながら話すことになります。 …
私は女性なので、女性の一生しか分かりませんので、女性の一生を考えてみたいと思います。 女性は男性に比べて、置かれた環境により、幸せの質が物凄く変わる生き物です。女性の一生には男性からは想像も出来ないような壮絶な体験が付き物だからです。 それは、出産に関わる多くの事です。今日、一つのニュースが私の心を暗くしました。 「兄に強姦され中絶したインドネシアの15歳少女が6か月の禁固刑」 少女は一年間で兄(17歳)に8回強姦されており、15歳少女は妊娠六か月で中絶し、頭部の無い胎児の遺体が近隣で見つかったというもの。同国の法律では、人工中絶は刑事罰の対象だそうです。性暴力の被害にあって、辛い思いをし、身体を傷つける事になり、最後は逮捕されたー。問題の大きさを考えるべき時です。幼いうちに強いられた妊娠・出産は、命を落とすケースにもなり得ます。 望む、望まないに限らず、女性の身体には毎月勝手に生理が始まります。自分の意志に反して勝手に身体が子供を産む準備を始め、毎月のようにお腹が痛くなり、血が出て、自分で手当てをしなければならない。それは男性には想像がつかない事ではないでしょうか。 女性が最初に自分の彼として選…