こんにちは、ろこそです。ただ今アメリカでロックダウンになりずーっとお家タイムです。なので今日は皆さんからよく聞かれがちなバレエの質問に幾つかお答えしようと思います。
私の労働形態はフリーランスなので一つのカンパニーに所属してバレリーナ、というのとはまたちょっと違うんですが、お呼びがかかった所へどこでも行くので、逆に様々な職場体験をする事が可能です。
今回はそのフリーランスとしてのダンサーでも指折りに衝撃的だったシリーズをご紹介します・・・。
①バレエって結局何がキツイ?
これはダンサー皆さん意見は様々だと思いますが、まずどう見ても身体的にキツイのはともかく(同時に勿論楽しいんですが)まず、物凄くお金がかかります。日本だと特にですね。なぜかと言うと日本はダンサーになったとしてもカンパニーから給料が十分出ないから、もう教師などをして稼ぐしかない場合が多いからです。
ヨーロッパや北米などのように芸術家に助成金や年金が出る場合や、企業がパトロンになってくれるような機会がまだ圧倒的に少なく、文化に投資する、という社会の形態がまだ浸透していません。
なので、日本からバレエを始める場合、どうしても運よく先生のツテで海外のスクールに奨励生として入れてもらうか、大抵の場合国内のコンクールを受けてそこから留学するしかありません。コンクールに入選するまでも、正直莫大なお金です。
近年の海外での日本人の活躍は喜ばしい面だけではなく、実際こうした国内の体制の弱さが原因です。そして海外でどこかに就職出来たとして、安定する人は極僅か。。。そして金銭面だけでなく競争的な世界、精神面でもそれをやり続ける、という事が何より大変なのです・・・。社会がもう少し全体的に芸術で潤そう、という流れになってくれる事を、いつも何よりもダンサー達は願っています。
②今までで衝撃的だった事は?
衝撃的というとキリがないのですが、バレエの世界はダンサーもディレクターもやはり色んな意味でクレイジーな人が多いです。
これはヨーロッパでしたが、あるカンパニーにオーディションのアポイントメントを電話で取りじゃあその日にね、と言われいざ当日列車に乗って6時間かけて現地に着き、カンパニーに行ったところ、ドアが開いてない。急いで電話してオフィスの人に聞くも今はディレクターが急用で居ない、ときっぱり言われその場で半泣きで放心状態。。。
これ実際は残念ながらよく聞く話です。芸術家だからーなんてみんな言いますけどとんでもないですよね。
ダンサーって比較的こういう理不尽な目に遭う率は多いですがこうやって体も心もタフになってくのかな、と思います。ただダンサーだって人間。それで精神的に病んでしまう事もあるんですからやめて欲しいですよね・・・。
③ぶっちゃけいじめとか人間関係とかはどうなの?
これは芸術なら永遠のテーマだと思います。。。自己表現は競争が付き物とは私は思いませんが、人間ていうのは競っていないと居られない、臆病な生き物でもあります。。。ただ競争心というのはある意味向上心とは別で持っている方がいい時もある。
いじめとか人間関係どうなの?という質問ですが、ではお答えします。“人による”。
月並みな答えですいません。でもやっぱりどの世界にもクレイジーな人はクレイジーだし、心が天使みたいな人はどこにも居るものです。
私も正直今まで本当に信じられないくらい色んな目に遭いましたし、人がされてるのも勿論見ました。煌びやかな世界に圧倒されて、病んでしまってるんでしょうね。お酒の悪酔いみたいな。
で、正直今も日本が特に酷い。日本でも素晴らしいダンサーや指導者の方も居ます。ただ結局まともな就職先、昇華できる場所が足りないため余計にそうなるのだと思います。心の貧困は毒ですね。ですが先ほども記述しました通り、ダンサーも人間、そして勿論お客様も人間。。。やはりそういう事ばかりしていれば同じものを引き寄せるし、当然バレます。
私はこの仕事をしていると思うのですが、ダンサーだけがダンスを知っていると思っちゃいけないな、と思います。お客様でもダンサー以上に、誠実にバレエや芸術を愛している人がいて、そういう人の気持ちをやってる側が安易に潰してはならないなあとたまに色んな方と話していて思うのです。なので、好きな気持ちは健全でなければ意味がありませんので。。。笑
皆さんも一見煌びやかなバレエの世界、こういった現実、裏事情でまた違った角度でダンサーやそこで頑張る人たちを応援する目線で見守って下さったら幸いです。
おまけ:コロナでアメリカのフリーランス、ダンサーなど今どうしてる??
幾つか私の状況についてこちらも質問頂いたのでお答えします。
私の現在いる場所はニューヨークですが、会社や企業などもロックダウンの声明が出てからほぼ全てが停止 or リモートワークになり、家で仕事をしている方はまだ良いのですが、それでもすでに失業率は上がる一方、失業保険の申請はアメリカ全体で今664万件にも登っているそうで、今後も増えると予測されています。
私もカンパニーや講師をしていたスタジオは3週間ほど前に締まり自宅待機になってからはバーチャルクラスに切り替え、スカイプやズームなどで簡易的なクラスを継続している状態です。
私もこのコロナによってほぼ失業扱いになったため、フリーランスが受けれる保証やFundなど色々情報を調べたのですが、納税の仕方やフリーランスの形態によって受けれる保証に種類があり、現在もダンサー仲間などで正しい情報共有を試みている状態です。
内容としては意外に簡単で、質問は主にどんな仕事か?それはどのくらいの頻度か?その企業から保証は出るか?いつからコロナの損害を受けたか?どのくらいの損害を受けたか?などをウェブサイトから答えて行きます。
ニュースでも話題になっている国から保証されるものもあるのですが、まず市民である事、去年一昨年の納税の証明など、私はアーティストビザによる労働者のため今のところ適応されませんでした。周りでは既に何人かの方が振り込まれたと聞きましたが、このロックダウンで一気に皆んな失業通知(一部はレイオフなので再開次第戻るかもしれませんが)のためどのFundのウェブサイトもサーバーが重くなりアクセスできなかったりフリーズしている状況です。。。
あとレントの高さで有名なニューヨークですが、一部は大家さんがディスカウントして半額になったり、二、三ヶ月は払わなくて良い、なんていう所もあるそうです。
これも今州や国で審議されているそうですが、コロナの医療形態にしろ保証にしろ、全てが一気に決まったため既にパンク状態です。アジア人への差別や恐喝のニュースも多くまた緊張が増しますが、とにかく安全に越そうと務めている市民の方が多く、同時にそれに心を勇気付けられてもいます。まだまだ日本も世界も緊張が続きますが、情報の錯綜に惑わされずに、お互い助け合って越せる事を祈っております。