はじめに、私はCPA(公認会計士)等の資格はなく、ファイナンス専門家でもない一般人であり、この記事は私の米国生活の中で身近で起こった経験の記録ですので、あくまで参考にでもしてもらったらという気持ちで書いています。
日本からアメリカへ行って一旗揚げようと考える人は、一昔前に比べて随分と減っているようですが、その理由にアメリカでの機会の減少に加えて、治安の悪さ、教育費の高さ、医療費のバカ高さ、極端な貧富の差、食の貧しさ、公共インフラのボロさ、生活の不便さ等々現実のアメリカが日本でよく知られるようになったこともあると思います。
旅行で来る、駐在として来る、人生の一時期をアメリカで過ごすなど、いつか日本に戻るのであればまだいいのですが、これからアメリカで仕事を見つけて生活していこうなどという思い切った挑戦を考えている人には、前記の欠けていくアメリカの魅力に付け加えて、アメリカ現地での老後生活の大変さを良く知ってそれなりの心づもりをしたほうがいいのではとも思っています。
かなりネガティブな入りになってしまいましたが、今のアメリカでの仕事がとても風通しのいい事、特に自分の時間を持てるし休暇も取りやすい(有給連続一ヵ月を数週間前に申請してすんなり許可されます)、無駄に働かなきゃいけない圧力などない、ということで、書いている本人は、日本には戻り難い、というか戻ることができなくなってしまったと感じています。であればこそ、同じような環境にいる人と一緒にアメリカでの老後の生活も考えていきたいわけでして。
ドラマ・映画で描かれるアメリカ生活は、少なくとも「中の上」の経済階級の少数派の人達のそれであって、実際に自分がそして私たちが接している平均的なアメリカ人とはとても思えません。例えば一昔にはやった「グリー」のドラマにでてきた学校も生徒の家も平均以上です。
この比較的経済的に恵まれている人達が、いつか年をとって一人で生活するのが難しくなった時、ある程度の生活を楽しめる老後介護施設に入るとしたら一ヵ月いくらい払うことになるのでしょうか。
例えばカリフォルニアでは介護施設料が平均月に90万円、ニューヨークでは120万円近くかかるようです。
日本でいう、国からの介護補助金などはありません。
まだ働いている時に、プライベートの長期介護保険に入り、いつの日にか介護施設に入るようになって月々その保険金をもらい、施設料にあてる人もいます。保険料はプランによって違いますが年間約18万~38万円程かかります。60代になると保険料はとても高くなり、また保険加入に拒否される事も多くなります。実際の介護施設利用者の多くは、先ほどの月額を直接払っていると考えられます。
逆に言えば、一般的に、退職時には資産が2億円くらいは必要だと言われているのも理解できます。退職から介護施設に入るまでの間に一億、そして介護施設に入ってから一億円かかるといったところなのでしょうか。それだけ貯めるのが簡単ではないのはアメリカでも同じでしょう。大きな金額に聞こえるけれども、それでも贅沢な暮らしをしていたら、経済的には短命であることを想定しておかなければいけないのが厳しい現実なのでしょうか。
アメリカで、年金など月々の収入が$2,250(25万円)以下でかつ家を除いた資産が$2,000(22万円)以下である場合、公的な援助を受けられるのですが、入れる施設は低所得者向けのものになりますので、ある程度生活を楽しめる施設とは遠く異なる場所に住むことになるでしょう。
更に日系人として日本食が食べられる介護施設であればいくらかかるのでしょうか?
医者無し看護婦アリで月に$7,500(83万円)くらいかかるカリフォルニアにある日系介護施設を知っています。カリフォルニアでの平均と比べると良心的とは言えるのかどうか。ただ、医者が居ない小さな施設なので、それぞれの医者へ行くサービスが別途必要ですし、医療費は勿論別となりますし、その間保険料も払い続けることも必要となります。とすると結局月に$8,200(90万)くらい必要なことになります。
公的なケアマネージャーに、老人介護施設に入っているうちに資産が尽きてしまったらどうするのか?と聞いたら、その時には低所得者用の公的介護施設へ移ればいいし、移る時にはサポートしてくれるとのこと。
いつ寿命が来るのかなんて誰も正確に知ることは出来ないので、ある程度生活を楽しめる施設で元気に生活しているうちに資産が尽きてしまうこともあるでしょう。これは日米で起こることだと思いますが、尽きた後の生活の質の差はとても大きなものでしょうし、特に元気であればある程この差を感じることがきつくなるのではと思います。それは悲しいですよね。
では元気なうちにどうやって十分な資産を形成してくことができるのでしょうか?
うまくやればですが、それは勿論可能でしょう。資産形成という点ではアメリカの方が日本より可能性が大きいこともあります。これについては、また改めて書いてみます。