レズビアンの友人と「カミングアウトした際にこんな対応をして欲しいよね」という話をした。カミングアウトして成功する場合もあれば、もちろん失敗する場合もある。距離が近づく場合もあれば、それっきり縁が切れる場合も。それを理解した上で「こんな風に接して欲しいよね」ということでいくつかご紹介する。もちろん「こんな風にしてくれ!」と強制するものではない…私たちの"願い"として書き残しておきたい。◆前提として…まず前提として、レズビアンに限らず、LGBT当事者が誰かにカミングアウトをする際、相手を慎重に選んでいることが多い。誰にでもオープンにするという人も稀にいるが、ほとんどの人は相手を慎重に選び、「この人なら大丈夫かな」という判断の下カミングアウトをしている。そしてほとんどのLGBT当事者が、いじめや差別や偏見を経験してきている。相手にカミングアウトすることで、拒絶されたり、嫌われたりするというリスクも当然考慮しているのだ。それでも自分のことを伝えるために、もっと深い関係性を築くために、勇気を振り絞ってカミングアウトをしている…と思っていただきたい。(自分が楽になりたいというエゴの押し付けでもあるが…)■今まで通りに接して欲しい共感して欲しいわけでも、同情して欲しいわけでもない。今まで通り接してくれるのが一番ありがたいことだ。例えセクシャルマイノリティであろうが、一人の人間なのである。今まで通り接してくれるだけでどれだけありがたいか。なかには急に距離を置き始める人もいるため、傍にいてくれるだけで感謝したい。■他人には話さないて欲しい(アウティングをしないで欲しい)他の誰でもない"あなた"を選んでカミングアウトするのは、理由がある。もっと深い関係を築きたい、仲がいいからこそ本当の姿を知って欲しい、全てをさらけ出して付き合いたい、などなど…その意図を汲み取って欲しいとは思うが、あまり言うと「ただのエゴの押し付け」になりかねないので難しいところ。とにかく、誰彼構わずカミングアウトをしている訳ではないのだ。よって、アウティングはしないでもらいたい。アウティングされると相当へこむのだ…※アウティングとは他人の秘密を暴露すること。他人のセクシュアリティーを暴露する場合に多く用いられる。【引用元:https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0-193825】知られたくない人にまで知られてしまうのは、恐怖でしかない。実際、一橋大学では、アウティングをきっかけにして自殺者まで出ている。アウティングは本当に恐ろしいことなのだ。 ■未知の対象で怖ければ、しっかりとそれを伝えて欲しい人間は何も知らないことに対して恐怖を抱くものである。今まで身の回りにLGBT当事者なんていないと思っていたのに、いきなり「私、LGBTです」なんてカミングアウトされたら驚くのは当たり前だ。「そんなの全然気にしないよ」と言って全く気にしない人も稀にいるが、全くの未知の存在に警戒心を覚える人もいるだろう。私だって、もし身の回りにいる、完全に異性愛者だと思っていた人から「実は…」とカミングアウトされたら、その予想外の出来事に「どうしよう」と戸惑うと思う。だからこそ、そのモヤモヤや疑問に思っていること、また、未知の対象でまだ怖いという気持ちがあるならそれをしっかり伝えて欲しいと思う。よく「友達がLGBTだった時の対処法」と題した記事を読むと、「LGBTを恐れてはいけない」「相手を傷つけるのでLGBTを怖いと言ってはいけない」などと書いてあるのだが、怖いものは怖いのだ。人間なので当然。怖い理由の多くは、まだ「何も知らない」状態だからだと思う。怖い理由や思っていることをしっかり相手に伝え、誤解を解いていくプロセスが重要だと感じる。怖い思いに無理やりフタをしたとしても、いつかフタを打ち破り恐怖の念が溢れてくる。怖いものは怖い。ということを伝えて欲しい。きっとより良い関係が築けると思っている。◆カミングアウトは信頼の証。その人の個性を大事にしてあげて欲しい仲のいい友達が急にLGBTに変身してしまった訳ではない。その人はその人のままだ。LGBTであることは何も悪いことではなく、一つの個性なので、それを分かってもらえたら嬉しい。本来は、誰かが否定する権利もないのだと思う。 そして先に記してきたが、カミングアウトは信頼の証であり、"あなた"だからこそカミングアウトしたのである。その気持ちを汲み取ってもらえたら嬉しい。今までよりもより良い関係を築いていければ、どれだけ救われるだろうか。