LGBTと終活、死、お墓。今日はまたまた重いテーマで書いていこうと思う。私は、実際、まだ若い。死のことなど、考えても仕方がないとは思う。ただ、50歳~65歳のゲイのおじさんと話すと、よく思うことがある。「この人は先のことを考えているのかな?」と。異性愛者に比べて、LGBTは"今この瞬間"を楽しむ傾向があり、先のことなど考えていない人が結構多い。そのせいか、40歳~ぐらいから"こじれてしまった"ゲイをよく見る。彼らは、「地雷」と呼ばれてる。また、何となく将来について考え、何となく莫大な不安を抱えているゲイの若者もいる。Twitterなどで、「ゲイ 老後」と調べると、絶望を嘆いているゲイの若者が結構いるのだ。前回の話に繋がるが、2018年現在、日本ではまだ同性結婚ができない。パートナーがいたとしても、法律では守られていないので、一緒のお墓に入ることすら難しい。お墓。2016年放送の、史上最強に震えた『怒り』という映画がある。この映画には、リアルすぎるゲイのカップルが登場し、"愛しているからこそ許せなかった"という展開を様々なカットで迎えていく。この映画の中で、いまだに忘れられないシーンがある。というか、この映画自体、本当に衝撃的で、ゲイからしたら重く辛い映画である。将来の不安を抱えつつ、やりきれない気持ちを発散するために男漁りに走る優馬(妻夫木聡役)が、ハッテン場で出会った直人(綾野剛役)に恋をする。優馬が直人に対し、「一緒の墓に入るか?」と問いかけるシーンがあった。直人は真顔で「いいよ」と答え、数秒後、「一緒の墓に入るのは難しいけど、隣だったらいいよな」と直人が言うのだ。この場面を見て、ゲイカップルが一緒のお墓に入ることなんて出来るのだろうか?と思った当事者も少なくないはずです。なんとも言えないしみじみとした切なさを感じた。この映画の後、ゲイがカップルで入れるお墓なんてあるのか?と思い色々調べてみた。そしたら、あったのだ。東京都江戸川区にある「證大寺(しょうだいじ)」は、法的に夫婦とみなされないことが壁となり、一緒のお墓に入ることができない同性カップルのために、「ふたりの、ふたりだけのお墓」と銘打った永代供養墓「安堵(&)」というお墓を販売をしている。ギリシャ神殿の柱を思わせる円柱型のお墓は、多くの人を驚かせたに違いない。【出典元:http://www.joen.jp/lp_and/s_and/#and】「安堵(&)」には、「性別・間柄・国籍・宗派を問わないパートナーと二人だけで入れる」とされている。つまりLGBTに限らず、"事情がある"二人にもお勧めなお墓なのだ。。證大寺住職の井上城治さんは「戸籍関係に縛られた墓の形を変えたいと思った」と語っている。證大寺では、同性カップルが入れる新しいお墓「安堵(&)」を考案しただけでなく、僧侶などを集めてLGBT研修を実施したり、座談会を開催したりとずっと前向きに取り組んできたらしい。證大寺は、老いを見据えたLGBTならではの終活相談にも応えられるよう、今でも研修や勉強会などを実施している。 LGBT差別偏見云々よりも、同性カップルでも入れるお墓があるんだ、ということに本当に救われた。同じような思いを抱いた人は多くいると思う。LGBTと終活、死、お墓は切っても切り離せない関係。LGBTの生き方や幸せのあり方は人それぞれで、正解はない。ただ正解もなく、老後のロールモデルもないために、それが皆の不安を掻き立てているのは事実。だからといって、優馬のように、やりきれない気持ちを発散するために男漁りに走ったりするのはどうなのだろうか。自分もそうしてきたが、ただただ虚しい気持ちになるだけなのだ。大事なのはしっかり向き合うこと、そしてしっかり考えることだと思う。日本で同性結婚はまだ認められていない。しかし、同性パートナーシップ制度がいくつかの自治体で採用され始めたりと、LGBTに関して前向きな施策が徐々に進んできているようには感じる。LGBTとして、周囲のストレート(異性愛者)と同じように、歳をとるまでずっと幸せに暮らす未来予想図を描ける時代に来ているのかもしれない。仮にLGBT差別偏見がなくならないとしても、幸せに生きることができればそれだけで自分はいい。