2018年末、日本海の日本側EEZ上で、韓国海軍の駆逐艦クァンゲト・デワン(広開土大王)が日本の海上自衛隊の哨戒機P-1に火器管制レーダーを照射するという事件が発生しました。
ですがその後の経過で、韓国側はレーダー照射を認められない事態に陥っていることが明らかになり、日本側が最初に求めた再発防止への対策は一向に進んでいません。
一体、日韓秘密軍事情報保護協定は機能していると言えるのでしょうか?
正にこの事件は、今後の極東アジア情勢の変化を象徴する重要な出来事の一つとなるでしょう。
というのは、今回の事件の本質は、韓国が同盟の軸足を米国から中国に移したことの現れだからです。
ほとんどの韓国人、そして在日米軍のトップを含むアメリカ人も、この事件を「日韓の問題」としか捉えていないようです。
韓国が日本への反発をテコに、アメリカを中心とした自由主義陣営から、中華覇権に軸足を移動させてしまったと言うと驚かれる人もいます。
しかし、今回の事件での韓国側の言い分を読み解いていくと、反日感情を共有する中国の経済と軍事的な覇権体制の下に自らの未来を位置づけしていく韓国の姿勢が見えてきます。
韓国海軍による自衛隊哨戒機P-1へのレーダー照射は、2013年1月30日の中国海軍レーダー照射事件(人民解放軍所属のフリゲート艦「連雲港」が、海上自衛隊の「ゆうだち」に向けて火器管制レーダーを照射した事件)の模倣であり、日米と海洋上で対決姿勢を強める中国への韓国からのエールとも言えるものです。
もともと韓国と中国は、過去を持ちだして現在の自分たちの不正を正当化するという、日本に対する負のロジックと恨みの感情を共有しています。恨みの感情は中国も韓国も自らが克服しなければいけないものなのにもかかわらず、それを増幅するような負のロジックを自国の教育にまで浸透させているのには不幸を感じます。
日本はこのような不幸に妥協する必要はありません。むしろ彼らの不正に対して対峙していくのが正しい姿です。
この記事では、今回の事件の経過とともに、日本・韓国それぞれの主張をまとめてみます。
その経緯から、韓国は日本と信頼関係を築こうとは考えていないということが浮かび上がります。
よって、信頼関係に基づく日韓秘密軍事情報保護協定が、正直機能しているとは思えません。
今後、日韓当局の間で協議が続くのでしょうが、日本がいくら事実を突きつけても平行線に終わるでしょう。
日本に必要なのは、対峙していく覚悟と戦略だという事が明らかになります。
事件の経過と解説
レーダー照射事件勃発
事件のあった翌日の12月21日、防衛省が開いた記者会見の席で、岩屋毅防衛大臣は日本の排他的経済水域内において、韓国海軍駆逐艦クァンゲト・デワンから、日本自衛隊P-1哨戒機がレーダー照射を受けた事件の内容を明らかにし、「レーダー照射は、不測の事態を招きかねない極めて危険な行為だ」、「今回のような事案が発生したことは遺憾だ」と述べました。
日本が非常に危険な行為であるレーダー照射への説明を要求したのに対し、韓国は指摘されたことに憤慨し、レーダー照射することの違反性や危険性はどうでも良いことのような態度を示します。
【参照】
時事通信 韓国艦、海自機にレーダー照射=無通告、岩屋防衛相が非難-「通常作戦中」と反論 2018年12月21日 Web魚拓
防衛庁 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について 2018年12月21日
- 時事ドットコム 漁船捜索でレーダー照射=当局「日本は過剰反応」-韓国紙 2018年12月22日 Web魚拓
北朝鮮の漁船が遭難していたから
防衛省の記者会見があった翌日、韓国はクァンゲト・デワンがレーダーを照射したのは遭難中の北朝鮮の船舶を捜索するためだったと発表します。
🇰🇷 遭難した北朝鮮の船舶を捜索するため、航海用レーダー、射撃統制レーダー(MW-08)、追跡レーダー(STIR-180)を稼働していた。また、射撃統制レーダー(MW-08)は対空用ではなく、対艦用のモードで運用していたのだ。
🇯🇵 いや火器管制レーダー(FCレーダー、STIR-180)は普通捜索に使用しません。火器管制レーダー(FCレーダー、STIR-180)の使用はそもそも、海上で不慮の遭遇をした場合に「控えるべき動作」として火器管制レーダーの照射を定めているCUES(海上衝突回避規範)違反です。CUESには韓国も合意していますよね?
🇰🇷 正常な作戦行動の範囲内だ。韓国軍は人道的な救助活動をしていたのに、自衛隊機に邪魔された。我々はその監視のために、追跡レーダー(STIR)に付着する光学カメラを作動させたのだ。追跡レーダー(STIR-180)の電波放射はしていない。
🇯🇵 FCレーダー照射は複数回で一定時間続いていましたのを確認しています。これは、偶然とは考えられません。
🇰🇷 むしろ日本機の方が異例の低空飛行をして我々を威嚇した!
🇯🇵 哨戒機は十分な高度と距離を保って飛行していました。威嚇するような動作は取っていません。哨戒機から韓国海軍の駆逐艦に問い合わせをしたのに、返答しなかったのはなぜですか?
🇰🇷 それは…ノイズがひどくて聞き取れなかっただけだ。
🇯🇵 緊急周波数を含む3つの回線で英語で3回呼びかけましたけど、何故応答しなかったのですか?
🇰🇷 海警艦『コリアコースト(Korea coast)』を呼んでいるのだと思ったのだ。
【解説】
韓国の言い分は、
北朝鮮漁船捜索のために全てのレーダーを利用した。そして、日本機が威嚇するように低空飛行をしたので、その監視のためにFCレーダーに付属する光学カメラを使用した。だがFCレーダーを照射したわけではない。
となります。
ここで韓国発のニュースでレーダーの呼び方に混乱があるので、まずクァンゲト・デワン駆逐艦に付いているレーダーを整理します。
MW-08・・・捕捉追尾用の三次元レーダー。空中目標の高度も同時に測定できる。基本的には低空を飛ぶ目標への対空用だが、対水上モードもあり主砲の射撃管制も可能。稼働中は360度回転しながら全方位に電波を照射する。周波数はCバンド。
STIR-180・・・火器管制レーダー。対空ミサイルの誘導と主砲の射撃管制を行う。他のレーダーの情報を得てから目標に指向するので、稼働中でも常時回転は行わない。周波数はXバンドおよびKバンド。
SPS-49・・・対空捜索用の二次元レーダー。高い高度を飛ぶ空中目標への遠距離警戒用。稼働中は常時回転する。周波数はLバンド。
SPS-95K・・・対水上捜索レーダー。稼働中は常時回転する。周波数はCバンド。
(引用元 JSF 軍事ブロガー レーダー照射事件で真っ向から食い違う日韓の主張)
韓国側は何故かSTIR-180を追尾レーダーと呼び、MW-08を射撃統制レーダーと呼んでいます。
ですが、STIR-180が主に対空ミサイルの誘導と主砲の射撃管制を行い、日本側はSTIR-180を火器管制レーダー(FCレーダー)と呼んでいるものです。
韓国側はこの時点で、射撃統制レーダー(MW-08)を対艦用のモードで、北朝鮮船の探索のために稼働していたと言っています。
また、火器管制レーダー(STIR-180、FCレーダー、韓国側が追尾レーダーと呼んでいるもの)も北朝鮮船舶捜索のために使っていたと言っています。さらに、哨戒機監視のために、FCレーダーに付随する光学カメラを向けたとまで言っています。ですが、それまで捜索に使用していたFCレーダーの照射は無かったと。
後に防衛庁が公開した映像で、世界中に明らかになるのですが、その日の視界は良好であり、また波の高さの1メートル程度でした。また、全てのレーダーを利用して捜索していたという北朝鮮漁船は、韓国駆逐艦のすぐ近くに漂流していました。
勿論、日本側は最初から視界良好であり、波も穏やかで、北朝鮮漁船が韓国駆逐艦のすぐ近くにいたことは分かっていました。
その日本相手に、火器管制レーダー、射撃統制レーダーを使って北朝鮮船舶を探索していたというような言い訳を何故当初していたのでしょうか?これらのレーダー照射が、たまたま哨戒機に当たったとでもいいたかったのでしょうか?
後の公式映像の中では、レーダーの種類を曖昧に探索レーダーのみを探索に使用していたと言い換えます。これはSPS-95Kのことを言いたいのでしょう。
つまり、最初に言っていた火器管制レーダーと射撃統制レーダーを使って北朝鮮船舶を探索していたという事を翻します。
これは、防衛庁が火器管制レーダーの照射は、韓国も採択しているCUESにおいて船舶又は航空機に遭遇した場合には控えるべき動作として挙げられていることを指摘したからでしょう。
また、雑音がひどくて哨戒機からの更新がよく聞き取れなかったなど、韓国政府の対応には日本との信頼関係を築いていこうという姿勢が最初から見られません。
防衛省により2018年12月28日公開の動画より(後述)。最初に火器管制レーダーの照射を捉えた時の画面。手前が警備救難艦サンボンギョ、奥が駆逐艦クァンゲト・デワン。日本は、視界は良好で、天気は晴れ、さざなみがある程度で、北朝鮮漁船が救難艦の近くにある状況が最初から分かっていました。にも関わらず、韓国は全てのレーダーを全て使用していたと言っていました。当初は、防衛庁から、CUESに違反していたことを指摘され、後には探索レーダーのみを使用していたと翻します。
【参照】
聯合ニュース 日本哨戒機接近し撮影用光学カメラ稼働 ビーム放射はせず=韓国軍 2018年12月23日 Web魚拓
中央日報 韓国軍「日本哨戒機に追跡目的レーダー運用せず」 2018年12月24日 Web魚拓
- 防衛庁 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について 2018年12月22日 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について 2018年12月25日
当局者間の協議で
🇰🇷 日本側が事実を確認せず、一方的に事件の公表に至ったことは受け入れられない。
🇯🇵 火器管制レーダー特有の電波を一定時間、複数回受けたことを確認しています。また、日本の哨戒機は韓国の駆逐艦から一定の高度と距離をとって飛行しており、危険な低空飛行などは行なっていないことを確認しています。緊急周波数を含む3つの回線で英語で3回呼びかけたことを確認しています。つまり公表したことは全て事実と確認済みです。日本は韓国に、二度とこのような危険な行動が起こらないよう、適切な措置を講じることを求めます。
🇯🇵 防衛能力に関することなので我々も全てを公表できるわけではありませんし、表立ってやり合ってると終わりませんから、当局同士で協議しませんか?
【経過】
泥仕合を避けて、2018年12月27日に当局で協議がもたれたことが分かりました。
日本側はこの場で韓国側が内々にでも謝罪すれば矛を収めるつもりだったと言われていますが、残念なことにそうはなりませんでした。
日本側は証拠として指紋”ともいえる周波数特性に照らしあわせたFCレーダー照射の動かぬデータを持っていることを韓国側に伝えたのですが、韓国側は生のデータを要求します。
日本側はお互いが周波数特性のデーターを交換して白黒つけようとしますが、韓国側が拒否します。
韓国側の誠意を確認でないまま、話し合いは平行線のまま終わったようです。
【参照】
AbemaTV レーダー照射問題、元駐日韓国大使館公使「韓国軍は正常に反応したいのに、青瓦台がそれを許さない」 2019/01/14 Web魚拓
防衛省の動画公開(2018年12月28日)で明らかに
🇯🇵 国防上の機密が含まれますので一部P音が入ってますけど、哨戒機が撮影した映像をYoutubeで公表します(2018年12月28日)。韓国側ででじっくり検討して下さい。
🇰🇷 この映像ではFCレーダー照射の証拠にならない。レーダーの波形情報がなければ証拠にならない。日本側の一方的な主張に基づいた映像で、こんなものでごまかせると思ったら大きな間違いだ。我々が事実を公表するから待っていろ。
🇯🇵 同盟国である軍事のプロがこの動画の意味を理解できないとは。いや、理解できた上で、レーダー照射を認めないために、日本の軍事機密の公開を求めるのですね。信頼は破綻しますよ?
【解説】
日本はP-1哨戒機が撮影した映像の公開に踏み切り、以下の点が世界に公になります。
火器管制レーダー照射時、クァンゲト・デワン(広開土大王)はそもそも北朝鮮の船舶を捜索中ではなかった(北朝鮮漁船はすでに目視が可能な距離であった)
駆逐艦だけではなく、韓国海上警察の警備救難艦サンボンギョも存在していた
当時の視界良好で、波は低くかった
自衛隊哨戒機は通常の哨戒活動を行っていた
自衛隊哨戒機は低空飛行も含めて、脅かすような飛行はとっていなかった
FCレーダー照射を受けた後、自衛隊哨戒機は回避行動を行った
韓国駆逐艦に緊急周波数を含む3つの回線を使って、FCレーダー照射の意図を問いただしたが、反応は無かった
クァンゲト・デワンの情報とサンボンギョに関してWARS(遭難救助船)に関する情報は無かった
韓国駆逐艦も警備救難艦も国旗を掲げていなかった
視界良好で波は低く、そもそも北朝鮮漁船は警備救難艦サンボンギョのすぐ近くにあったということで、全てのレーダーを使って北朝鮮漁船を捜索していたという最初の言い分も、全く理解できない事が判明します。
防衛庁公開の動画より。北朝鮮漁船は、サンボンギョの近くに漂流していることを確認。また、天気は良く、波も低い。全てのレーダーを使って北朝鮮漁船を探索していたという韓国の言い分は通じない。
そして重要な事は、この映像で自衛隊機は韓国駆逐艦からのFCレーダーの波形、衝撃音を完全に収集した状況を映像で伝えたことです。
この映像公開に対して、韓国は、映像がFCレーダー照射の証拠になっていないし、日本の軍事機密であるレーダーの波形情報を公に示さなければ証拠にならないと主張してきます。
これは、韓国は当事者である日本を相手に交渉していないと宣言していることと同じです。
まず、日本側としては、情報を収集した様子を見せた
そして、韓国も日本が情報を収集したことを知った
韓国は、軍事機密情報なので日本が波形情報を公開するのが難しいのも知っている
日本が情報を持っているのを知っているのに、公開するのが難しいことにつけこんで、レーダーの波形情報を出さなければ証拠にならないと言ってきた
つまり韓国は、証拠があるのを理解しながら、それを第三者に公開できなければ証拠とは言えないと。自分と当事者である日本との間の理解のもと、その信頼関係を再構築することは考えておらず、第三者に向かって自分が悪くないと言い張っているのですね。
もし仮に、その第三者が韓国側の意見を聞いて、証拠が出されていないから韓国は悪くないとしたら、韓国は自分達が日本より上の立場になったとでも考えるのでしょうか?
自分は第三者に悪くないといわれたから、これまで通り日本との関係は続けられると考えるのでしょうか?
韓国側の言い分では、二国間の信頼関係はどのように作られ維持されるのかを理解出来ていないと言っているようなものです。
これで、二国間協定である日韓秘密軍事情報保護協定は機能するのでしょうか?
防衛庁公開の動画より。VHF緊急周波数(121.5MHz)、国際VHF(156.8MHz)、さらにUHF緊急周波数(243.0MHz)を使い、レーダー照射の目的を聞いていますが、韓国艦からの応答はありません。日韓秘密軍事情報保護協定の行く末を暗示しているかのようです。
【参照】
中央日報 韓国国防部、日本の映像公開に「客観的な証拠とはみられない」 2018年12月28日 Web魚拓
逆に謝罪を求め始める韓国
年が明けて2019年。韓国は日本が火器管制レーダー照射事件に言及すること自体に苛立ちを表しはじめ、日本の哨戒機が異例の低空飛行を行い、韓国の駆逐艦に脅威を与えたことについて謝罪するように求め始めます。
1月4日、韓国が“独自”映像を公開します。
🇰🇷 我々との協議の途中にも関わらず、日本が一方的に事実を歪曲した映像を世界に公開したことを憂慮し、我々が事実を公表する。日本はこれに懲りて火器管制レーダーの照射を受けたなどという事実の歪曲をやめ、哨戒機の危険な近接飛行について韓国に謝罪するように。
🇯🇵 …(しばし唖然)。 韓国側の動画のはずなのに、なぜ日本が公表した映像が使用されているんでしょうか?4分26秒のうち、韓国側が撮影した映像は10秒しかありませんね…。サムネイルが自衛隊が配布しているフリー素材を使用したコラージュ画像であることにも驚きを隠せません。あと勇壮なBGMは、証拠動画には全く不必要かつ有害です。客観性・事実性を自ら否定しにいく理由が理解ができない…これを政府が製作して公開するんですね。
🇰🇷 日本の哨戒機の危険飛行は甲板に振動が伝わるほどだった。乗組員は脅威を覚えた。韓国は威嚇されたのだ!
🇯🇵 海上自衛隊では、警戒監視及び情報収集中に、韓国のみならず外国軍艦等を確認した場合には、今回と同じような飛行を行い、写真を撮影しています。2018年4月以降、今回写真撮影を行った韓国駆逐艦(「クァンゲト・デワン」)に対しても、今回と同じように3回の撮影(4月27日、4月28日、8月23日)を行っていますが、その際、韓国側から問題提起を受けたことはありません。威嚇的な飛行であったというのなら、客観的な証拠を提示して下さい。
🇰🇷 脅威を受けた者が、脅威と感じれば、それは脅威なのだ!
🇯🇵 それでは証拠にならないことが、わかりませんか?
【解説】
1月4日に公開された“独自”画像によって、韓国は
日本の哨戒機は、何故人道主義的な救助作戦の現場で低空威嚇飛行をしたのですか?
日本は国際を順守したと主張しているでしょうが、果たして事実でしょうか?
クァンゲト・デワン艦は、日本の哨戒機に向けて火器管制レーダー(STIR)を照射しませんでした。
日本の哨戒機の通信内容は明確に聞こえませんでした。
と主張し、1)に関して日本に謝罪を求めます。
1、「日本の哨戒機は、何故人道主義的な救助作戦の現場で低空威嚇飛行をしたのですか?」について
522m先にある約38mのP-1は、10cm先にある7.3mmの物体と同じ大きさに見えます。つまり理論上、「豆粒大」にしか見えなかったはずです引用 乗り物ニュース 韓国艦のレーダー照射、本当に海自P-1哨戒機は「脅威」だったのか? 検証する 2019年1月9日 Web魚拓
そもそもP-1は戦闘機ではありませんから急旋回・急降下・急上昇などの予想しにくい動きができるような能力は持っていませんし、日本側が公開した映像からも、日本機が韓国艦艇から十分な距離と高度をとって行動していたことは明らかです。ここに韓国が匂わせる「威嚇」的な低空飛行はありません。
また、防衛省の映像から、哨戒機の行動に攻撃的な要素はなく、情報収集に徹していたことは明らかなのです。
そして、まず、韓国艦で危険を感じたのなら、何故同盟国の日本の哨戒機に連絡してこなかったのでしょうか?
世界基準でも危険とみなされていない飛行をしていた同盟国の哨戒機に関して、後になって、威嚇飛行をした、その説明しろと言い、そしていきなり謝罪を求めてくるのは、信頼関係を築いていく姿勢ではありません。何故ここまで高圧的な態度を平然と動画で公表できるのか不思議なくらいです。
日本側の動画のタイトルは「韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について」であり、韓国側の動画のタイトルが「日本は人道主義的な救助作戦の妨害行為を謝罪し、事実の歪曲を直ちに中断せよ!」です。
英語だと日本側のタイトルが「Regarding the incident of an ROK naval vessel directing its FC radar at an MSDF patrol aircraft」 で、韓国側が「Urging Japan to Apologize for Patrol Operations in the Rescue Operations Area」。
ここでも客観的な事実に基づき事件を解決していこうとする日本と、第三者に向かってのプロパガンダに落ちている韓国との強烈な対比が読み取れますね。
*この記事では、日本代表にはです・ます調を使い、韓国代表には使わないで対話していますが、それは韓国の動画で明らかになった居丈高な態度を示しています。
2、「日本は国際を順守したと主張しているでしょうが、果たして事実でしょうか?」について
2に関しては、防衛庁が発表した映像で国際法に則って飛行していた事への反論したかったのでしょう。韓国側の映像で言っていますが、軍用機には適用されないのにも関わらず、その範囲で自衛隊機は行動していたのです。防衛省の発表にあるように、「火器管制レーダー照射に関する重要な論点を希薄化させるためのもの」と考えられます。
4、「日本の哨戒機の通信内容は明確に聞こえませんでした。」について
韓国が聞こえが悪いと分かっていたといことは、少なくとも韓国に聞こえていたということを証明しています。何故日本の哨戒機に連絡して、趣旨を確認することを行わなかったのでしょうか?聞こえていて無視したのは何故でしょう?
当日の現場海域は、晴天で雲も少なく、通信環境は極めて良好でした。また、海自P-1哨戒機は、韓国駆逐艦に呼びかけた同じ通信機器(この通信機器は飛行前、飛行中及び飛行後に正常に作動していたことを確認済み)を用いて、埼玉県の陸上局と通信を行っていたほか、現場から約240km離れた位置を飛行していた航空自衛隊の練習機が、この韓国駆逐艦に対する同機の呼びかけを聞き取っていたことも確認しています。
引用、韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について 2019年1月21日
さて、3に関してですが、自衛隊哨戒機が現場近くを飛行していた事を、レーダー照射がなかった理由にあげています。しかし自衛隊機は照射を受けているのを確認し、その後退避行動をしています。そして離隔中に韓国艦艇にレーダー照射の意図を問い合わせています。
また、事件当初は全てのレーダーを使っていたと言っていたのですが、この動画では、探索レーダーしか使っていなかったと述べています。言い分に一貫性がなく信頼性がありません。
ここで、この動画に不思議なコメントが入っています。曰く、
韓国艦側が自衛隊哨戒機を追い払いたかったという意思の現れでしょう。同じ動画で韓国側は人道主義的な救助と何度も言っています。しかし、
現場は日本の排他的経済水域にも関わらず、日本には救難艦に関する情報すら入っていませんでした。何故、人道主義的な救助を、何も連絡しないで行っていたのか?
救助の旨を連絡をとってきた哨戒機にさへ知らせなかったのはなぜか。
救助活動は駆逐艦ではなく、警備救難艦サンボンギョが行っていたのではないのか?漁船らしき船は、警備救難艦サンボンギョの非常に近くに漂流していることから分かります。そこで駆逐艦は何をしていたのか?
本当に救援活動を行っていたのなら同盟国の哨戒機に援助を求めてもおかしくないのではないでしょうか?
【解説のまとめ】
韓国政府が公開した動画の作成の仕方、そして内容からも、韓国は、動画を証拠として検証するものでなく、宣伝として公開したことがよく分かります。。
韓国側が、検証できる新しい事実を持っていないことの確認ができただけです。
その上で、韓国が後からのこじつけで、いきなり謝罪を求めてくるという、およそ正常な関係を築ける相手ではないということを実証する動画となってます。それを自ら省みること無く、8カ国後で世界中に配信しているのは正常な状態とは思えません。
国と国とのやり取りとは思えないような、韓国が辻褄のあわない言い訳をしているのは残念で、韓国政府が負のロジックに冒されてしまっていることを証明しているようです。
また、日本の証拠として実証していける動画と、韓国の宣伝動画との差に、互いの姿勢が良くコントラストされています。
この時点でアメリカからの仲裁はありませんが、日本とアメリカは情報を共有していますし、事実を把握しています。アメリカが静観していることの意味を韓国はどう理解しているのでしょう?
【参照】
- 防衛庁 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について 2019年1月21日
韓国さらに迷走
🇰🇷 日本が国際世論を有利にしようとしている。国際社会に事実を捻じ曲げた主張を訴え、政治問題にしようとする日本に深い憂慮を表明する。対抗するために韓国は、先日公開した反論動画を中国語・フランス語・スペイン語・ロシア語版、アラビア語版も公開してやる。日本これ以上の問題の言及はやめ、韓国に謝罪するように。
🇯🇵 いったい誰と協議しているのですか?
【解説】
当事者は日本なのに、韓国は何故か世界中に自らの主張を拡散し始め、自ら退路を断っていくようです。
これまで日本は韓国のそのような態度を正すことよりも、日米韓の同盟関係の安定を優先してきました。
ですがその間韓国は自ら省みることのなかったのか、負のロジックはついに韓国を席巻してしまったようです。
負のロジックでは、日本、しいてはアメリカと信頼関係を築いていくための努力よりも、日本に対抗することが重要なのでしょう。そして、それは同じロジックを持つ中国へのアピールでもあるのでしょう。それはまるで自ら育てたモンスターに自分の身を与えているかのようです。
しかしモンスターは彼ら自身に責任のある問題です。
自らが作り出した負の歴史認識と感情が、韓国を誤った方向へ引き摺っていこうとしているのを私達は目撃しているのです。
最後の楔
1月10日、文在寅韓国大統領の年頭会見に注目が集まりました。
🇰🇷 韓国代表文在寅大統領
これは韓国政府が作り出した問題ではありません。過去の不幸だった長い歴史のために生まれた問題です。日本政府はこの問題に対して、もっと謙虚な姿勢をとってほしい。この問題を日本の政治家や指導者が政治的に争点化し、論争の種にして拡散していることは賢明な態度ではない。
🇯🇵 未来志向を持ち出して協力を要請しながら、うまくいかなくなると過去を理由に相手を責めるのは賢明な態度でしょうか?韓国のいう歴史問題とは、人類の不幸な歴史が証明してきた負のロジックの産物で、韓国が克服しなければいけない問題です。日本は負のロジックが持つ不正義に立ち向かいます。
【解説】
文大統領の年頭会見ではレーダー照射事件どころか日韓関係への言及もなく、NHKの記者からの質問へ旧朝鮮半島出身労働者問題への応答だけでした。
その内容は、負のロジックによる感情が生み出した韓国国内で向きあわなければいけない問題でありながら、何故か日本政府の対応を批判するものでした。
この文大統領の発言が、おそらく日韓関係をつないでいた最後の紐帯を切り離す、最後の楔となるでしょう。
4日後の1月14日にはこの問題の早期決着を目指し第三国(シンガポール)で将官級の実務者協議が開催されましたが、逆にいうと、すでに日韓関係の悪化は、第三国でないと協議すらできないレベルに達しているということになります。
🇯🇵 日本が探知したレーダー波の情報と、韓国駆逐艦が装備する火器管制レーダーの詳細な性能の情報の双方を突き合わせた上で総合的な判断を行いましょう。
🇰🇷 無礼だ!
🇯🇵 これでは、話し合いになりませんね。
日本側からは、引田防衛省統合幕僚監部運用部長、石川防衛省防衛政策局次長、他、韓国側からは、ブ韓国合同参謀本部軍事支援本部長、イ韓国国防部国際政策官、他が参加します。
日本側は、まずはレーダーの電波情報を交換して事実を明らかにし、韓国からの謝罪と再発防止策の確約を引き出したい考えでしたが、12月27日に続いて平行線で終わりました。
防衛省は、本年1月14日の実務者協議において、相互主義に基づき、解析結果のもととなる探知したレーダー波のデータやレーダー波を音に変換したデータなど事実確認に資する証拠と、韓国駆逐艦の火器管制レーダーの性能や同レーダーの使用記録などを、情報管理を徹底した上で突き合わせ、共同で検証していくことを提案しましたが、受け入れられませんでした。なお、昨年12月27日の実務者協議でも、同趣旨の提案をしています。また、本年1月14日の実務者協議では、事実確認に資する証拠の一つとして、探知したレーダー波を音に変換したデータを持参し、その場で韓国側に聴取してもらうことを提案しましたが、韓国側はその提案も拒否しました。
引用 防衛省 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について 2019年1月14日
事実関係を明らかにする方法を、韓国は、声高に日本の要求が無礼だと言っているようです。韓国のレーダー照射が決定的になる事が、韓国にとっては無礼になるようです。
その後、韓国側は海洋警察が使っていたレーダーを日本側が誤認識しているという誤魔化しまで言ってきます。もちろん、防衛庁側は海洋警察が使っているレーダーとは違うことを知っています。
火器管制レーダーの照射をうやむやにしてしまうと、今後、日本海の哨戒任務で、海上自衛隊は緊張状態を強いられることになります。
人類の戦争の歴史では、小さなミスが戦争の端緒につながってきました。
日本としては原因究明と再発防止は安全保障問題です。
また、日本で言う無礼とは、韓国国防省が自らばら撒いた動画で世界中の多くの人のが知ることとなった韓国側の一方的な態度のことです。
【参照】
ロイター 韓国大統領、徴用工の判決尊重 日本は政治問題化すべきでない 1月10日 ウエブ魚拓
防衛省 日韓実務者協議の実施のお知らせ 2019年1月14日
産経デジタル 韓国、駆逐艦レーダー情報開示を拒否 「非常に無礼な要求」と日本を非難 2019年1月15日 ウエブ魚拓
NHK 防衛省 「日本が無理な要求」との韓国発表に抗議 2019年1月16日 ウエブ魚拓
読売オンライン 「海洋警察がレーダー」…日本側の「誤認」主張 ウエブ魚拓
対峙へ
日本側はレーダー照射を受けた時に記録した情報を音声に変換したものを公開します。
🇯🇵 もし貴方方がプロで誠意のあるのなら、この音声に変えた記録が、日本がレーダー照射の確たる証拠とを持っているという事が分かるでしょう。間違いないよう、当時P-1哨戒機で聞いていた、韓国の探知レーダー波を音に変換したデータを、保全措置を講じた上で公開しています。
🇰🇷 いや、探知日時や方位、電波の特性などを全く確認できないし、これじゃ証拠にもならない。
🇯🇵 信頼に基づく当事者間での事実解明がこれ以上無理なことがよく分かりました。これ以上の協議を打ち切ります。
🇰🇷 (あれ、もしかして、あきらめてくれた?)遺憾である。客観的な検証に積極的に応じることを求める
🇯🇵 日本は初めの協議から、情報共有による客観的な検証を求めてきたのに、韓国側が拒否してきたました。私達は、事実究明のために次のレベルに進みます。
【解説】
日本側は信頼に基づく二国間実務者協議協議を行ってきましたが、韓国側は最初から第三者からの判断だけを考えてきました。
防衛庁側が公開した音声情報は、韓国側が聞けばそれがレーダー照射の証拠となっていることが分かるはずです。
ですが、第三者にとっては、これだけでは韓国駆逐艦から出されたレーダー照射なのか、良くわからないことも確かです。
問題は、第三者にとってレーダー照射が決定的となる証拠でなければ韓国側が事件を認めないという完全な対決姿勢を示したことです。
韓国側は、情報の交換による二国間実務者協議での事実の究明を無礼だと言って拒否してきた上に、機密情報を含むために一般公開できる情報が制限されることにつけ込んでいるわけです。
以上より、韓国側との二国間実務者協議は無駄と防衛庁は判断したわけです。
以降は事実解明のため、日本は実務者協議で提案した情報交換を、政府間において韓国に求めることになります。そして、事実究明、話し合いの延長の延長として、国家の意思として要求が拒否された場合は制裁を行うことになります。
残念ながら、韓国側は日本の真意を分かっていないようですが。
韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務局長も「すでにこの件で日本は国内政治の面で勝利したとも考えられる」として「安倍晋三首相とすれば、反韓感情を十分に助長したという側面があり、(対立の局面を)これ以上引きずる理由もない」と分析した。シン事務局長はその上で「韓国が(日本の主張を)肯定しないことが明らかな状況で、最後に長文の資料と根拠を提示して幕引きを図るものとみられる」と話した。
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国防部の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官は会見で「日本側が根拠資料も提示せずに、いわゆる電波の接触音だけを公開した後に、事実関係を検証するための両国間の協議を打ち切ると表明したことに対し、深い遺憾を表明する」と述べた。
なんとも哀れな現状分析としか言えません。安倍首相は関係ないでしょう。負のロジックにより、日本の誠意ある対応が見えないためでしょうか?
日本は、第三者にとっても明確に判断できる証拠を得て、事実究明と再発防止のために、次の段階に進んでいくわけです。防衛省は最終見解でハッキリと書いているではないですか。
韓国側に、相互主義に基づく客観的かつ中立的な事実認定に応じる姿勢が見られないため、レーダー照射の有無について、これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられることから、本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします。
引用 防衛庁 韓国レーダー照射事案に関する最終見解について 2018年12月21日
これは、韓国軍という軍事組織への信頼が破綻しているということを指しています。これを述べた後に、
その上で、日韓・日米韓の防衛協力は、北朝鮮の核・ミサイル問題を始め、東アジア地域における安定的な安全保障環境を維持するために極めて重要であり、不可欠であるとの認識に変わりはありません。本公表が、同種事案の再発防止につながることを期待するとともに、引き続き、日韓・日米韓の防衛協力の継続へ向けて真摯に努力していく考えです。
引用 防衛庁 韓国レーダー照射事案に関する最終見解について 2018年12月21日
と述べています。
韓国はすでに中国へと軸足をうごかしていることも明白です。 この締めくくりの文で言っていることは
日韓・日米韓の防衛協力を続けられるための改善を図るための措置を手を抜かないで求めていきます。
よりくだいて言うと
日本は安全保障のために、今の韓国の姿勢は許さないし、レーダー照射の韓国に事実を認めさせます。また、日本の排他的経済水域内で何をしていたかも明らかにしていきます。
ということと私には解釈できるのですが、いかがでしょう。
【参照】
防衛省 韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について 2019年1月21日
中央日報 韓国軍当局「実体のない機械音で協議中断した日本、今後の検証に応じよ」 2019年1月22日 Web魚拓
産経 韓国レーダー照射、水掛け論に区切り 再発防止、なお課題 2019年1月21日 Web魚拓
今後の日本への提言
過去を理由に不正を行う危険
今回の事件での韓国側の言い分は、日本との対話を目指すものではありませんでした。国際社会に自分達の立場を訴えているだけのもので、日本との信頼関係を築こうとする姿勢がありません。
ついに韓国政府、軍のトップまで、日本への不正は正当化されると考えて行動するようになってしまったのです。
過去の歴史的な問題を理由にして、相手に不正を行うことは許されることでしょうか? 歴史はこの危険性を証明しています。
第一次世界大戦の賠償問題に喘いでいたドイツに対して、何故イギリスはナチスの台頭を許してしまったのか。
キリストを磔にすることを求めたのがユダヤ人であったことを理由にして、キリスト教徒はユダヤ人への迫害を正当化していなかったか。
何故、ユダヤ人への迫害が起こったのか?
コソボ、ルワンダにおいて、民族浄化が何故行われたのか?
今現在、ミャンマーで何故民族浄化が行われているのか?
これらの不幸は、過去の問題を理由に、相手への不正を正当化する負のロジックが暴走して起こっているのです。
過去の歴史的問題を理由に、不正を正当化することを許すことはできません。
日本政府は、今回の事件の要因の一つでもあり、また日本人差別につながりかねない韓国での反日教育をすぐにでもやめるよう、韓国に要求するべきです。
危険な反日教育を看過しているのは余りに無責任で危険です。
日本に必要なこと
日本は、日本と信頼関係を築こうとは考えていない相手に自分達の立場を伝えようと努力しています。
しかし韓国は、明らかなる負のロジックにより、戦争につながるような危険行為を説明することもなく、全のデタラメを突きつけてくるというのが現実でした。
何時その負の感情で国が暴走するかも知れず、日本は、韓国との間に将来起こりうる不幸を防ぐために、正面から対峙するための戦略を持つ時期が来たと思われてなりません。
韓国の自由主義陣営からの離脱
レーダー照射は日本の自衛隊に対して行われたことですが、その後の韓国の対応と言い訳は、アメリカを試し、その実軸足を中国へ移したことを表明し、現在の世界秩序に挑戦する中国へエールを送っているということに他なりません。
今回の事件で、ついに韓国政府、軍のトップまで、日本に対しては不正も正当化されるという負のロジックで考え、行動していることが端的に表面化しました。
日本の自衛隊と在日アメリカ軍が情報を密にシェアしていることは知られています。その上で韓国側が取り繕った言い訳を続けている理由は何故でしょう?
韓国が「歴史問題」という負のロジックに対し、アメリカがどう反応するかを試しているのです。当然、この危険なロジックを共有する中国政府も、アメリカの対応に注目しています。
アメリカを試している、つまり韓国はアメリカから中国へ密かに軸足を移したということなのです。
韓国が軸足を移した中国も日本への負のロジックを持っています。中華覇権の復活の戦略を持つ中国が、過去に中華世界を貶めた欧米へ負のロジックを何時向けるのか。日本への不正を黙認することは、現世界秩序への不正を認めることにつながるでしょう。
様々な謎
この事件では、韓国艦船の行動そのものも極めて不透明です。
火器管制レーダーを照射したクァンゲト・デワンは駆逐艦ですが、韓国1艦隊所属の艦船の中では最大級の船です。当然のことながら上級将校も乗っていたでしょう。
また、事件当時同じ海域で行動を共にしていた韓国警備救難艦サンボンギョは、排水量5,000トンでクァンゲト・デワン(排水量3,900トン )よりも大きな艦艇です。
北朝鮮の漁船を救助していたといいますが、本当にそのためにこのような大型の救難艦と、さらに上級将校も乗る最大級の軍艦が必要だったのでしょうか?
日本の排他的経済水域にも関わらず、日本側に北朝鮮船舶からの救難情報はありませんでした。にもかかわらず、韓国がどうやって察知したのでしょう。
韓国艦船が、国旗も掲げず、日本の排他的経済水域で一体何をしていたのでしょうか?
韓国が狙っている日本海
忘れてはならないことは、事件の舞台が日本海ということです。
2018年11月20日には、韓国の海洋警察の警備艦が、日本のEEZ内にも関わらず、日本の漁船に操業中止を命令しています。
韓国は「日本海」の呼称を否定し、韓国の東側の海を表す「東海」に書き換える活動を行なってきましたが、最近は日本海に対する野心を隠さなくなってきました。
豊富な水産資源もですが、海底に大量に眠るメタンハイドレードの採掘も始まりました。日本が近い将来に資源国に変貌すること、韓国がそれを得られないというのは、韓国にとって我慢ならないことです。
また韓国海軍は2020年よりミサイル発射型の潜水艦を装備します。その運用のためにも水深の深い日本海が必要なのです。
ここに、韓国は日本海から日本を追い出し、日本海を自国の内海としたいという意思が見られす。
日本海での哨戒活動中に韓国の艦艇から火器管制レーダーを照射されれば、日本の哨戒機は回避せざるを得ません。それを繰り返すことで、日本を日本海から追い出す心算りまであるのでしょうか。
最後に
今回の実務者協議は打ち切られました。
「日韓・日米韓の防衛協力の継続へ向けて真摯に努力」することにおいて、その「継続」のため、韓国と対峙していく戦略の必要性が増々明らかになっていくでしょう。
韓国は、自国が戦勝国ではなく、日本が戦犯国ではなく自由主義陣営の中心の一つであるという現実に耐えられなくなりつつあります。
その帰結として韓国は、負のロジックと半日感情を共有する中国の覇権に軸足を移しています。
また、韓国は第二次世界大戦後に成立した「戦後秩序」に対する挑戦を始めました。徴用工訴訟問題、慰安婦財団の解散も、レーダー照射事件と同じ文脈で解釈できるでしょう。
日米は、韓国はすでに中国に軸足を移していること、政治家・軍のトップですら歴史問題で日本に対する不正を正当化することが可能だという負のロジックを持ち、戦後秩序の変更に挑戦しつつあるということを直視しなければならないでしょう。
人類の不幸な歴史の教訓を無視した負のロジックに、日本は正義を持って対峙する必要があります。
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まずその一歩は、過去の問題を理由に、現在の不正を正当化する負のロジックを許せば、限度のきかない憎悪の増幅になっていくという人類の不幸な歴史を鑑みて、現在行われている中国、韓国での反日教育をやめさせること。
負のロジックを持ち込んだ反日教育は、迫害、ホロコーストにつながりかねず、日本がそのような悪と戦う姿勢を世界に示すことは、ずっと以前から始めていなければならないことでした。
多くの韓国の人にも自らの意思で負のロジックから脱却し、国を正常な方向へ持っていってほしいです。
アメリカとの対決に踏み出した中国、アメリカとの対峙から中国と共闘するロシア、未だ核の放棄に応じない北朝鮮に加えて、中国覇権に自らの未来を託す韓国に囲まれ、日本は覚悟を決めた国家運営を迫られることになったのです。