この夏、来日公演が決定したミュージカル・ロンドン版『The King and I(王様と私)』!この2月には日比谷と大阪で最新ロンドン公演の映像もプレミア上映されます。
2015年のトニー賞ミュージカル部門では、渡辺謙が全編英語の舞台に初挑戦して、日本人史上二人目の快挙となるトニー賞のノミネートされて大変話題になりました。
渡辺謙といえば、昨年もNHKの大河ドラマ『西郷どん』で島津斉彬を演じて話題になるなど世界に名だたる俳優の一人ですね。
今回は、『王様と私』の魅力と、邦画「Shall we ダンス?」や「ドレミのうた」との関係についてご紹介いたします。
邦画「Shall we ダンス?」は『王様と私』の代表曲『Shall we dance?』に由来する?
『王様と私』は、小説『アンナとシャム王』を基にして、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン2世のゴールデンコンビが製作したミュージカルで映画化もされた名作です。
その代表曲である『Shall we dance?』は、1996年に公開された周防正行監督の映画『Shall we ダンス?』の主題歌として大貫妙子がカバーしました。また、物語でも先生がダンスを始めたきっかけは『王様と私』であるというエピソードも盛り込まれています。
この作品は、日本中を笑いの渦で巻きこみ日本アカデミー賞を独占受賞したうえ、世界19カ国で上演、さらにはリチャード・ギア主演でハリウッドにリメイク版されるなど「Shall we ダンス?」大旋風を巻き起こしました。
日本人のたどたどしさに思わず吹きしてしまう邦画「Shall we ダンス?」
主人公の役所広司演じる普通の会社員が、電車の窓からふと見上げたビルの窓辺で、美女・草刈民代が外を眺めている…というところから始まるハートフルコメディーです。当初、プリマバレリーナだった草刈民代の踊りは、それは優雅で美しく凛々しい限りでした。
日本人が西洋のダンスをするというたどたどしさに思わず吹き出してしまう面白さ、また、脇を固める竹中直人と渡辺えり(旧芸名:渡辺 えり子)が非常に強い個性を発揮、爆笑してしまうような場面もあります。そして、これ作品きっかけにして周防正行と草刈民代は結婚、この意外なカップルの誕生も話題になりました。
世界の巨匠ビリー・ワイルダーも『この映画は大好きだ…』とコメントを寄せています。大変おすすめの映画ですので、ぜひDVDなどでご覧下さい。
『Shall we dance?』と『ドレミのうた』は姉妹だった?!
小学校の教科書に載っていたことでも有名な『ドレミのうた』ですが、『Shall we dance?』と共通点があることをご存知でしょうか。実は、どちらもロジャース&ハマースタインの作品で、まさに姉妹ともいえるのです。
ブロードウェイで1960年に上演されていたミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』をペギー葉山が観劇します。あまりの感動から代表曲である『ドレミのうた』を即自ら訳詞して日本に持ち帰ったところ、レコード化やNHK「みんなのうた」で放送されて、日本でもあっという間に広まったのでした。
ジュリー・アンドリュース主演の映画『サウンド・オブ・ミュージック』は、歴史に残る珠玉の名作として知られていますが、意外にも映画での上映は日本でこの歌が発表された後の1965年になります。先日、DVDとブルーレイが発売された製作50周年記念の吹替版では、平原綾香がマリア役を務めることで話題になっていますね。
『サウンド・オブ・ミュージック』はハマースタインの遺作でもある
『サウンド・オブ・ミュージック』といえば、もう一つ欠かせない曲があります。それは『マイ・フェイバリット・シングス』(私のお気に入り)です。JR東海の『そうだ京都、行こう』というCMといえば、誰でも一度は聴いたことがあるでしょう。その流れるようなワルツの切ない曲調には聴き惚れてしまいますね。
そして、『サウンド・オブ・ミュージック』のために追加で作った『エーデルワイス』を絶筆とし、ハマースタインはこの世を去りました。
最高のミュージカル、ロンドン版『The King and I(王様と私)』
渡辺謙はトニー賞ノミネート、ケリー・オハラはトニー賞受賞者という素晴らしいキャストで贈る作品です。何度も再演されているこの作品ですが、特にこの2015年版は現代的テーマを打ち出しているため、再演されているなかでも輝かしい作品であると叫ばれています。
舞台は、日本でいうところの江戸時代末期、王様のモデルはシャム(現代のタイ王国)の王様・モンクット王、“私”である家庭教師のアンナはイギリス人。文化的な背景が大きく違うなかで、お互いに感謝と尊敬の念をこめた心をもって相互理解を深めていくという素晴らしい演出がなされているのです。