ミュージカルや演劇など、舞台に欠かせないのが「演出家」ですね。
「演出家」は、映画やドラマでいえば監督やディレクターであり、オーケストラでいえば指揮者のような存在といえるでしょう。
俳優のいろいろな仮面を引き出すのも、ストーリーの何に重点を置くのかも、演出家のさじ加減ひとつ、まさに舞台の魔術師なのです!
ここでは、ミュージカルや演劇で定評のある「演出家」についてご紹介いたします。
演出家の魔法
同じ戯曲や脚本を使っても、演出家によって全く違う舞台になります。
故蜷川幸雄と野田秀樹の「パンドラの鐘」や、故蜷川幸雄と故浅利慶太の「ヴェニスの商人」にしても同じ作品を演出しながら、こうも変わるのかと見せつけられたものです。
ぜひ、そういた観方も楽しんでいただけたらと思います。
野田秀樹
野田秀樹は、東大在学中に劇団夢の遊眠社を結成、(1992年に解散)。その後、1年間のロンドン留学を経て、1993年に演劇企画制作会社野田地図(NODA MAP)を設立しました。その後の活躍と受賞履歴には目を見張るベテランの演出家です。
演劇のほか、歌舞伎や日本各地の伝統芸能にまで幅を広げて、世界各地で公演を行うなど目覚ましく活動しています。
シンプル、かつ抽象的な演劇は大変個性的で初めて観る方には、非常に斬新な舞台として映るでしょう。
残念ながら、現時点で舞台の公演は予定されていません。しかし、4月5日から2017年に公演された歌舞伎が、シネマ歌舞伎「野田版 桜の森の満開の下」として全国上映になります。(現代劇「贋作 桜の森の満開の下」をベースにした作品です。)
宮本亜門
宮本亜門は、新橋演舞場の向かいにある「茶房 絵李花」という喫茶店が実家で、子供のころはしょっちゅう楽屋お邪魔していたとか。中学生以降は、母親が松竹歌劇団のダンサーだった影響で、銀座近辺の劇場や映画館に足しげく通っていたという、生まれながらの演出家です。
ダンサーや振付家を経て、1987年に演出家デビュー作のミュージカル「アイ・ガット・マーマン」が大ヒット。約160席という小劇場でスタートしたにも関わらず、翌年には文化庁芸術祭賞を受賞して、その後は全国を公演してまわる傑作になりました。
現在は、ミュージカルだけでなくオペラや歌舞伎など多岐にわたって才能を発揮。日本人離れした演出には華やかさに打ち震えるでしょう。
10月に、オペラ「蝶々夫人」全3幕の公演を予定しています。
三谷幸喜
三谷幸喜は、大学在学中に劇団東京サンシャインボーイズを結成(1994年に30年間の充電期間に突入)、舞台に加えてドラマ「古畑任三郎」が一世を風靡します。
発売と同時にチケットが完売してしまう演劇となり、三谷幸喜自身の個性的なキャラも加わって大人気の演出家になりました。
現在は、シリアスものから喜劇まで幅広い演出と、舞台や映画監督としてもその異才ぶりを発揮。色鉛筆を俳優として、野田秀樹が淡い色や濃い色などブルー系の演出で舞台を彩るなら、三谷幸喜は36色のセットで舞台を演出して、それぞれの個性で舞台を彩るでしょう。
6月に、「六月大歌舞伎」にて歌舞伎(演目名未定・題材は「風雲児たち」)、9月に「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」の公演を予定しています。
宮藤官九郎
宮藤官九郎は、俳優であり演出家の松尾スズキ主宰の劇団大人計画に作家として所属しています。1995年には、阿部サダヲをはじめとするメンバーでグループ魂を結成。パンクバンドとしてNHK紅白歌合戦にも出場するなど、マルチな才能を発揮する演出家です。
2000年に、脚本を担当したドラマ「池袋ウエストゲートパーク」が高視聴率を獲得。以来、日本アカデミー賞 最優秀脚本賞など数々の賞を受賞して快進撃を続けています。
朝ドラ「あまちゃん」や、現在放送中の大河ドラマ「東京オリムピック噺」でお茶の間の注目度も高い演出家の一人です。
そのことからもわかりますが、個性的な役柄を用いながらも回りくどくなくはっきり伝わる演出。観る者にわかりやすい印象を与えますので誰が見ても楽しめるでしょう。
残念ながら、現時点で舞台の公演は予定されていません。新作が発表されるまでは、大河ドラマやDVDなどで楽しみたいと思います。
長塚圭史
長塚圭史(ながつかけいし)は、演劇プロデュースユニット阿佐ヶ谷スパイダースを結成。2004年の演劇「はたらくおとこ」や演劇「ピローマン」の演出を手掛けて、第4回朝日舞台芸術賞と芸術選奨新人賞を受賞しました。20代から、受賞歴を重ねている演出家です。
現在は、朝ドラ「あさが来た」やドラマ「99.9 -刑事専門弁護士- SEASON
II」に俳優として出演したのが記憶に新しいところ。観る者が、想像力をかき立てられ、舞台にないものが見えてくるエンターテイメントを直視することになるでしょう。
3月に、こまつ座による演劇「イーハトーボの劇列車」、9月には、舞台「桜姫」演出は吉田鋼太郎ですが長塚圭史作の「アジアの女」、2020年8月には大人も子どもも一緒に楽しめる作品・第二弾として演劇「新作」(題未定?)を予定しています。
中屋敷法仁
中屋敷法仁(なかやしきのりひと)は、小学校の時に親から勧められた地域の演劇鑑賞会で無名塾の演劇「リチャード三世」観たことがきっかけで演劇に魅了され無類の演劇好きになります。その後、「贋作マクベス」を発表して、全国高等学校演劇大会最優秀創作脚本賞を受賞。青山学院大学在学中には演劇集団柿食う客を結成して脚本家、演出家として活躍、平田オリザのもとでも学んだ期待の演出家です。
現在は、舞台ではなくテレビアニメやゲームなどの脚本も手掛けるなど幅を広げています。
人間が人間ではない…徹底したフィクション、2.5次元の舞台を創作するという独特で奇抜で妖しげな作風です。その異才ぶりからは、底知れないポテンシャルを感じるでしょう。
まとめ
ベテランからの若い演出家まで、なんの隔たりも感じさせることなく、表現することの素晴らしさと大切さを教えてくれます。
もう観ることができない舞台も、DVDやブルーレイになっていることがありますよ。
あなたも一緒に、演出家の魔法にかけられてみませんか。