介護施設における面会の頻度
引用:みんなの介護
介護施設では御利用様との面会は想像以上に行なわれています。面会に来る方は…御家族、ご親戚、昔の友人、民生委員、ケアマネージャー、市町村職員、果ては弁護士まで…実に様々な人の出入りがあります。
一般的には面会というと家族と御利用者様が会うというイメージが強いかもしれません。
しかしある程度自立した生活ができるが施設に入られている御利用者様は、出前を取ったり通販で物を買ったりされています。閉鎖的なイメージが介護施設にはどうしても付きまといますが、案外最近の介護施設はオープンな雰囲気を出す施設が増えています。中にはカフェまで開く認知症に対応した施設も存在します。
その理由は、閉鎖的な空間に御利用者様を長く居させることは、介護度を上げてしまう要因になると世界的に認識されているからです。
介護施設における面会の意味とは?
まず面会は御利用者様にとって大変重要だといっておきます。よく最近の介護業界ではQOLを上げなければならないと盛んに言われています。
QOLとはクオリティオブライフ、つまり生活の質が大切であると現在の介護業界ではされています。安心安全は最早当たり前の時代であり、どれくらい快適に御利用者が施設で過し活動出来るかが重要視されています。
特にその中でも御家族の方が面会に来て、外出される際は御利用者様は大変喜ばれます。認知症の方も多くの場合は…御家族や友人や市町村の職員やケアマネージャーや孫…の誰かお1人は覚えて居られます。
つまり面会は過去や現在の御利用者様にとっての人間関係の一部であり、QOLの実現の為には外すことのできない要素なのです。
アンケートに協力した入居者は面会を「家族が自分を大切にしてくれているという実感が持てる」「家族が持ってきた好きな物を食べる事ができる時間」「『また来るね』の言葉が次回までの楽しみになる」と捉えていた。面会により、家族に対する満足感が向上することや家族と特別な時間を持てること、次回の面会が楽しみになること等が、面会による QOL の向上に繋がったと推察する。
介護施設において面会を禁止する場合はあるのか?
しかしそんな面会も制限あるいは禁止される場合があります。
2020年にコロナウイルスによる感染症が大流行することで介護施設での面会制限が注目されていますが、それ以前にも面会制限は介護施設では普通に行なわれています。理由は主に2つのウイルス性の感染症を防ぐためです。
インフルエンザウイルスとノロウイルスです。インフルエンザウイルスは予防接種をすることである程度防ぐことができますが、ノロウイルスに対する予防接種は現在存在しません。そのため大事をとって面会の制限、または面会する際には検温の実施や予防接種をしている確認をする施設も存在します。
ただ、看取り介護に入っている御利用者様への面会は特別の措置が取られることが一般的です。あくまで面会の禁止や制限は職員と御利用者様を感染症から守るために行なわれています。
「介護老人保健施設 旭ヶ丘」では、職員は感染対策を行い、インフルエンザの予防接種を受け、インフルエンザの蔓延予防に努めています。しかし、利用者様がインフルエンザを発症することがあります。発症の一因として、外部からインフルエンザウイルスが持ち込まれることです。面会により利用者様を感染させる可能性があります。高齢の利用者様は免疫力が低下されており、重症化につながる可能性があります。そのため、県からインフルエンザ注意レベルと発表された場合、面会制限をさせて頂きます。H31年1月10日に注意レベルを超えた発表がありましたので、H31年1月14日より面会制限させて頂きます。面会制限中は、身の回りのお世話(着替えなどの持ち込み・持ち帰り・受信同行)をされる方のみ面会可能ですが、その場合でも必ず、マスクの着用と手の消毒をお願いします。その他の方は、マスクを着用されていても面会はできません。また、利用者様への食べ物の差し入れも禁止とさせて頂きます。また、面会制限でない場合でも、冬期に施設へ面会にお越しになる際は、マスクの着用と手の消毒をお願いします。お子様や多数での面会の場合は事務所に声をかけて下さい。また、施設内でインフルエンザやノロウィルスの発症が確認された場合は、フロア毎に面会禁止とさせて頂きます。遠方からお越しの場合にもお断りしますので、事前に施設へご確認ください。着替えなどの入れ替えは事務所に声をかけて下さい。
コロナウイルスが感染拡大する中で介護施設における面会は可能か?
ではコロナウイルスが広がり潜在的な感染者がいる中で、介護施設での面会は可能かというと…答えは面会は多くの施設で制限もしくは禁止されています。なぜならコロナウイルスには有効な対策法が未だに見つかっていないからです。
インフルエンザウイルスは予防接種やアルコール除菌、ノロウィルスにはハイターという漂白剤で除菌やある程度症状が落ち着くと感染力が弱まるという対処方法があります。しかし、コロナウイルスには…予防接種も無ければ、感染力がいつ弱くなるのか、除菌方法は何か…ということが不明です。
つまり未知の感染症なのです。
介護医療業界で使われる感染症対策としてある「ウイルス自体を持ち込まない」という方法しか取れず、結果として面会の制限という現状になっているのです。特に今回は看取り介護の場合も面会が制限されるケースが多いのです。
厚生労働省による、介護施設・事業所で新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための資料にも、面会の制限が述べられています。
1 咳エチケットや手洗い等の徹底介護施設 ・事業所で新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために職員、利用者のみならず、委託業者等も含めて、マスクの着用を含む咳エチケットや手洗い、アルコール消毒を徹底しましょう。2 出勤前の職員/送迎前の利用者の体温計測利用者と接する介護職員のほか、事務職や送迎を行う職員、ボランティア等、すべての職員は各自出勤前に体温を計測し、発熱等の症状がある場合には出勤しないことを徹底しましょう。利用者の送迎前には本人・家族又は職員が本人の体温を計測し、発熱等の症状がある場合には利用をお断りしましょう。3 面会の制限面会は緊急やむを得ない場合を除き、制限するようにしましょう。面会がある場合は、面会者にも体温を計測してもらい、発熱がある場合は面会をお断りするようにしましょう。4 委託業者からの物品の受け渡しは玄関で委託業者等からの物品の受け渡し等は、玄関等施設の限られた場所で行いましょう。施設内に立ち入る場合は、体温を計測してもらい、発熱がある場合は入館をお断りするようにしましょう。高齢者、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患)を抱える方については、37.5℃以上の発熱が2日以上続いた場合/強いだるさや息苦しさがある場合には、「帰国者・接触者相談センター」に電話連絡し、指示を受けてください。※施設において、症状が継続している場合や、医療機関受診後、診断結果確定まで間が空く場合は…
- 感染の疑いがある利用者を原則個室に移す
- 感染の疑いがある利用者が部屋を出る場合はマスクをする
- 感染の疑いがある利用者とその他の利用者の介護等は、可能な限り担当職員を分ける
介護施設での面会制限による影響とは?
面会は介護施設の御利用者様にとっては一番の良い出来事の一つです。それが制限されるのです、悪影響しかありません。
しかしながら、コロナウイルスが施設内に入り込んだ場合は「密室」「密閉」「密集」の三密状態(感染拡大の三要素)であるので即座に集団感染となります。
引用:厚生労働省HP
そのため現在は面会制限により多くの施設で面会が困難な状況が続いています。
すると当然QOLが下がるので…認知症は進み、ストレスが溜まり、職員に当たってしまう、老人性のうつの発症など…あらゆる悪影響が考えられます。加えて御利用者様の御家族も不安な状況だと考えられます。
つまり面会の制限は御陵者本にも御家族にも悪影響しかありません。
コロナウイルス感染拡大下でも自分の親の様子を見たい!
最後にまとめとして、コロナウイルスの状況下で面会以外で親子が連絡する方法はないのか考えてみます。
まず一番身近な方法として電話連絡があります、意外と携帯電話を持っている御利用者様は多いです。
次に手紙も一つの手段です、どうせ新聞や必要な書類は施設に運ばれていくのですから一筆したためるのも良いといえます。写真も添えればより喜ばれます。そしてテレビ電話が現代の私達にはあるのです、使わない理由はありません。
直接会うのがもちろん一番良いですが、介護現場も医療現場と同じく命を預かる現場です。介護職員は貝料理を食べません、何故だか分かりますか?ノロウイルスに感染する可能性があるからです。
インフルエンザが流行るシーズンではひたすら施設内を加湿し、施設内の消毒回数は普段の倍になり、職員の検温も義務付けられます。
どうか今だけは自分の親の為にも他の施設御利用者のためにも今は面会は控え、他の選択肢をとりこの辛い時期を乗り越えるべきです。