先日、BSで放送された劇団☆新感線の時代劇『髑髏城の七人 Season花』、ご覧になられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は私、ミュージカルにはまっていた20代の頃は劇団☆新感線の斬新なお芝居は敬遠してしまい、30代にして初めて観たときはなんとも鋭く胸を突く哀しい物語だったため、その後はまた新感線の舞台から遠のいておりました。
しかし、『髑髏城の七人Season花』は「さすが!いのうえ歌舞伎!」と叫んでしまうほど非常にかっこよくて面白くてはまってしまったのです!
こちらでは、劇団☆新感線の時代劇『髑髏城の七人 Season花』を控えめにネタバレをこぼしつつご紹介いたします。
劇団☆新感線
当初、小劇場演劇の『第四世代』でつかこうへいの“コピー劇団”として人気を博し演劇ブームの一翼を担いました。そのレパートリーは現代演劇から時代劇と幅広く、斬新な演出は老若男女問わずファン層の厚い劇団なのです。
いのうえ歌舞伎シリーズ
いのうえ歌舞伎とは、シリーズのひとつで神話や史話などを題材に用いた、劇団いわく『ケレン味を効かせた時代活劇』です。
その言葉どおり、時代劇にしてはかなり奇抜で照明を効果的に使い、歌舞伎ならではの見得(みえ)を切る演出は関西から東京に進出した当初からの大人気シリーズです。
『髑髏城の七人 Season花 どくろじょうのしちにん~シーズンはな』
『髑髏城の七人』は1990年初演。以来、7年ごとに演出を変えて上演されており、『花』『鳥』『風』『月(上弦の月、下弦の月)』と銘打ったこの期は『極』と合わせ6作品のロングラン公演として話題になりました。
『髑髏城の七人 Season花』は、通称・花髑髏(はなどくろ)とも言われ、シーズン中で唯一、満月の下、静かで美しい群生花がみごとでお芝居の象徴的な存在になっています。時代劇ではありますが、メリハリのある喜怒哀楽と奇想天外なストーリー展開、そして映画さながらの大掛かりな舞台装置で演出された歴史演劇スペクタル作品。『ゲキ×シネ』のひとつとして、映画でも上演されました。
ストーリー
舞台は、織田信長が謀反に遭ってから8年後の1590年。関東髑髏党により、村々は襲われ関東は壊滅状態にありました。
そんななか、髑髏党の手にかかっている村に傷を負った少女・沙霧も追われていた。
すると、通りかかった関八州荒武者隊という風変わりな荒武者たちや風来坊の捨之介が助けて、まだ髑髏党の手がおよんでいない無界の里へと向かいます。
そこで、思わぬ再会に驚き喜ぶ捨之介と蘭兵衛、少女をかくまうと引き受けた気っぷのよい極楽太夫に宿場で居合わせた怪しい浪人の狸穴二郎衛門らと出会い楽しいひと時を過ごします。
しかし、少女を追ってきた髑髏党とそれを率いる天魔王が現れるのですが、その面を取ると捨之介と蘭兵衛は絶句、三人はある志を持っていた間柄でした。
ある夜、蘭兵衛は捨之介が止めるのをしり目に、天魔王の居城である髑髏城に一人で向かいますが…。
散りばめられたパロディ!
でも、話が進むにつれて「はて…?」どこかで見たような場面やギャグに笑わせられます。この『髑髏城の七人Season花』には、パロディが散りばめられているのでした。
『TIM(T・I・M)』の一発ギャグ
『マトリックス』のスローモーション
『マトリックス』が上映された当初、かなり流行ったスローモーションが登場します。最初は、特に注視することもなく流してしまうかもしれませんが、あまりにわざとらしいので見ているうちにこれはパロディだとわかりますよ。
『スター・ウォーズ』のダース・ベイダー
これも最初はわからないかもしれませんが、『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーが登場します。ダース・ベイダーは、全身を暗黒の闇の色で包み込みダークヒーローとも言える存在。そして、あの音…これはダース・ベイダーでしょ!と思わせるシーンがありますので楽しんで下さい。
『リチャード三世』の特徴
リチャード三世は、シェイクスピアの代表作のひとつですが、さまざまなパロディを見せられているとこれもそうではないかと思ってしまいます。私がパロディと感じたのは、リチャード三世の身体的特徴で、リチャード三世自体も悪役ですしそうではないかと思えてならないのです。
パロディではなく、「それを用いた演出です。」とストレートに言われてしまえばそれまでなのですが…私の勘違いでパロディではなかったらごめんなさい。
『ヒーロー戦隊』もののセリフ
『ヒーロー戦隊もの(スーパー戦隊)』のセリフは、旧後楽園ゆうえんち(東京ドームシティアトラクションズ)のヒーローショーが行われるときのCMで使われた有名なキャッチコピーで、そのCMを見た人でなければサラっと流してしまうかもしれません。それは、物語終盤で贋鉄斎のセリフです。
ヒーロー戦隊のレッドが、「後楽園ゆうえんちで僕と握手!」と言うのですが、このキャッチコピーがセリフに織り込まれているのです。贋鉄斎がセリフを言うときの振りもそのように見えました。パロディだったと確信できるよう、ぜひご覧になって確認して下さい!
まとめ
いかがでしたか?
パロディを前面に押し出してしまったので、このお芝居のよさが伝わったかが心配ではありますが、とても面白く痛快な『髑髏城の七人 Season花』です。ぜひ、DVDで楽しんで感想をいただけたら嬉しいです。
すでにご覧になられた方も、他のバージョンをご覧になられた方も、ぜひぜひ感想やパロディがあるのかなども聞かせていただけたらと思います。
私が気がつかなかっただけで、ほかにもきっとパロっているところがあるはず。(ロミオとジュリエットのロミオのセリフを言ったシーンがあったような…もう一度を見返してみようっと!)