この写真はインドネシアの首都ジャカルタで撮影したものなのですがこの電車、どこかで見覚えはありませんか?
特に東京にお住まいだったかもしくは通勤されていた方ならピンとくる方が多いかも知れません。それもそのはず、この車両はもともと東京メトロ千代田線で活躍していた車両だったからです!
今回紹介するのはそんなジャカルタの「動く鉄道博物館」です。筆者はこれが目当てでジャカルタに行くことを決断しました(笑)。
ジャカルタの動く鉄道博物館-Kereta Commuter
Kereta Commuter Line(略称はKRL)、つまりジャカルタ市内及び郊外へと延びる通勤列車こそ今回紹介するジャカルタの動く鉄道博物館になります。
動く鉄道博物館とは言ってももちろんおんぼろなディーゼル車や蒸気機関車などが走っているということでは決してありません。強いて言うなら通勤列車専門の博物館と言った方が正しいかも知れませんが異国の地で日本でおなじみの列車に出くわすとは驚きですよね。
日本車天国ジャカルタ、何故?
日本車とは言ってもトヨタ自動車や日産自動車などの話ではありません。
ここでいう日本車とは日本で活躍した鉄道車両の方を指しています。実はジャカルタの通勤列車はほぼ全て日本から譲渡された車両で運行されており、譲渡元はJR東日本から東京メトロ(営団時代から関係あり)、東急電鉄などと幅広いです。近年では埼京線や武蔵野線で車両の入れ替えが活発だったこともあってJR東日本の車両の譲渡の方がより目立つ傾向にあります。
それにしても何故ジャカルタは日本車天国になったのでしょうか?
実はKereta Commuter自体、日本とても関わりの深い事業で、その関係は1970年に円借款を利用した旅客輸送改善事業から始まりました。
それから時間がたった1997年のアジア通貨危機で新車を導入できなくなりつつも増え続ける人口に追いつかない車両数から中古車両をさらに導入することになりました(以前から日本から中古車両は渡っていたが当時は韓国や欧米からも渡っていた)。その際にジャカルタに渡ったのが旧営団地下鉄と東葉高速鉄道の車両でした。
以後、インドネシア国産車を主軸にしようという試みもあったものの故障が相次いだことから再び日本から中古車両を導入することになり、今は車両の置き換えが急ピッチで進んでいるJR東日本武蔵野線の205系が大量にジャカルタに渡っています。こうしていつしかジャカルタは動く通勤列車博物館になりました。
Kereta Commmuterの乗り方

さて、乗り方ですがKereta Commuterでは紙の切符はなく、写真のようなカードを使うことになります。
最初は運賃と一緒にデポジット(15000ルピア?)を払います。
日本のPASMOなどのように入れた分だけ使えるというわけではなく、一回ごとに目的地までの運賃を入金する仕組みなのでそこがやや面倒なところです。なお、デポジットですが帰国などで使わなkなった場合などに回収することができます。基本は自動券売機(英語表示ありますのでご心配なく)で行いますが券売機がない駅も多く、そのような場合は窓口でも行えます。また、券売機のある駅でも窓口に行っている人は意外に多いです。
Pondok Jati~Jati Negara~Jakarta Kota~Juanda
このルートですが本来ならJakrta Kotaは経由しない予定でしたが見事にJati Negara駅で乗り継ぎ列車を間違えたのでJakarta Kotaで乗り継ぐ羽目になりました(笑)。(KRLの路線図)かなり大回りする羽目にはなりましたがおかげさまで懐かしい車両たちに再会できたのでよしとしましょう(笑)
筆者の乗り鉄はPondok Jati駅から始まり、最初に乗車したのはなんと日本では既に過去の栄光になっているJR東日本の203系でした。
この車両はもともと常磐線各駅停車と直通先の千代田線で活躍していた車両ですがまさかジャカルタで再会しようとは夢にも思わなかったものです。ちなみに冒頭の写真はその直通先の千代田線の7000系で、同じくPondok Jati駅で撮影しました。
Jati Negara駅でManggarai経由Jakarta Kota行でインドネシア最大のモスクがあるJuanda駅を目指していたのですが撮影に夢中になっている間に写真に写っている元武蔵野線の205系の接続列車を見事に逃がしました(笑)。
これで次の列車まで1時間半待つ羽目になりました。この区間は意外に本数が比較的に少ないそうなのですがそれ以上にどのJalur(発車番線)から発車するのかが分かりにくかったのが悩みのタネでしたが、その後さらにやらかします。
この後Jakarta Kota行としてホームに滑り込んできたのは元千代田線の7000系でした。
安心しきって乗ってみればこれがなんとPondok Jatiを通っていたのです。そう、行き先に惑わされて経由の違う列車に乗ってしまったのです。仕方がないので終点でManggarai方面行の列車に乗り継ぐことにしました。
Jakarta Kota駅に到着しいてみるとまずは容赦のない段差が待ち受けていました。なるほど、それで反対側に停車している列車(元東西線の05系)にもみられるように手すりのようなものがついているのですね。
Manggarai方面Bogor行の205系にあたりました。これでようやく目的地のJuandaにたどり着けます(笑)。ちなみに写真の右側にはカフェやファストフード店などが軒を連ねているのでそこで小腹を満たすのもありです。
Jakrta KotaからManggarai方面へはしばらく高架区間になりますが、なかなかカオスな車窓も見受けられました。
Jakarta Kotaからはわずか2駅ではありましたが昼下がりにPondok Jatiを出発してJuandaには夕方の到着と思わぬ長旅になってしまいました(笑)。