唐突ですが皆さんイランについてどのようなイメージを持っていますか?
ニュース越しに見るイランは「核合意」「経済制裁」「アメリカなどとの激しい対立」などといったキーワードがよく並びますよね。ところが同じ質問を旅通にしてみると全く異なる返事が返ってきます。それもポジティブな内容で。
一体イランとは何者なのでしょうか(笑)。実は筆者も以前に訪れたことがあるので政治抜きでイランがどんな国だったかシェアしたいと思います。
ひとつネタバレしますと日本人にはいいことが多分たくさんあります(笑)。
イランは実は観光大国?
イスファハーンの青がまぶしいイマームモスクをはじめ、イランには国土の広さだけ名所があります。
筆者はテヘランからイスファハーンまでのいわばゴールデンルートの範囲でしたがその途中にイスラム教シーア派(厳密にはその主流である12イマーム派)の聖地であるコム(Qom)や昔ながらの町並みの美しいバラの名産地カーシャーンなど、名所は目白押しです。
また、イランの国土は多様性に満ちており、南はペルシャ湾沿いの砂漠から首都テヘランの背に雪をかぶったアルボルズ山脈があり、それをさらに超えて北上すると緑豊かなカスピ海沿岸地域に入ります。モスクや史跡はもちろん、自然もまた表情豊かなだけに見所に溢れています。
余談ですがシーラーズのペルセポリスに行けなかったのが未練です(笑)。
どうにかしてほしいテヘランのワールドクラスの渋滞(笑)
ワールドクラスとは言っても渋滞が世界一のジャカルタに比べればまだマシな方なのでしょう。
しかし、テヘランの人口は東京の半分以下にも関わらず(ジャカルタほどでないにしても)東京を優に超える慢性的な渋滞地獄というのは勘弁してほしいものです。
テヘランの渋滞のこわいところはいつどこで起きるのかが、読みにくいことです。ある日は歩行者にも抜かされるほど渋滞していたところが、翌日の同じ時間帯に通ると何事もなかったかのようにスムーズに走れたなんてことがあるからです。こういうこともあっていつ出発するのかを考えるだけで頭痛のタネです(笑)。
ごはんがとにかく美味しい!
旅しているときにどんなに美しいものをみてもごはんがまずければ地獄です。しかしご安心ください、イランのごはんは美味しいです。(あと紅茶も美味しいです)
イランのド定番ごはんの中にクビデキャバーブというものがあります。
キャバーブは皆さんもお馴染みのケバブです。ケバブとは言ってもピタなどに挟んで食べるのではなく、基本は団子状にした羊肉をトマトなどと一緒に串焼きにし、ナンやご飯などと一緒に食べます。ナンもナンで種類は色々ありますが朝いちばんに近所のナン屋さんで並んで買う焼き立てアツアツのナンがとにかくたまりません。
なお、羊肉と聞いて高いのではと思われるかも知れませんが実はイランで最も安い肉は羊肉です。肉類を安い方から並べていくと羊肉、牛肉、鶏肉と、なんと鶏肉が一番高価になっています。ちなみに豚肉は国民の殆どがイスラム教徒であることからそもそも流通することはありません。
それと、サフラン(ご飯を黄色くするのに使うスパイス)やピスタチオの生産量はワールドトップクラスです。特にピスタチオについては日本ではやや高価ですがイランでは1㎏以上どっさり買っても1000円超えないのです!
何はともあれ、細かく説明するともうきりがありません!とにかくごはんが美味しいということを覚えていただければ大丈夫です。
ちなみにイランで美食の都と呼ばれているところはトルコとの国境に近いタブリーズです。
残念すぎるインターネット事情(笑)
イランはインターネットの利用制限があることについては有名ですがVPNアプリを使えば簡単にすり抜けられるのでそこは問題ではありません。(現にイランにいる友人とは使えないはずのフェイスブックでコミュニケーションをしていますので...)むしろ何が残念かというととにかく遅いのです。
どれくらい遅いかというと日本なら日常生活に支障が出るのではないかと感じるほどの遅さです(笑)。このような有様なのでいつしか無意識にインターネット断捨離をしていましたね。今思えばVPN付きのレンタルWiFiを予め借りていたらサクサクインターネットを使えていたかもしれませんが...。
ということでノマドワーカーにはイランは少々キツイかも知れません。
超がつくほど親日
イランの方々はなんだかんだでド級の親日家です。
最初は見慣れない東アジアの顔つきをみると「チーニー(中国人)」と言われることもありますが「マン ジャポニー(私は日本人です)」というと一気に「よくぞはるばるここへいらっしゃった」と態度が豹変します(笑)。
そしてたちまち世間話に歯止めがかからなくなるのですが、定番の話題はこともあろうに「おしん」です。(確かに革命後すぐのルーホッラー・ホメイニの時代に大ヒットしましたからね...。)
それだけにとどまらず、道に迷っているとみられると、たちまち人だかりができて道を教えてもらうだけのはずが、いつしかお祭り騒ぎのような様相を呈していたり、何故かザクロジュース(実はイランも名産地です)を奢ってもらっちゃったりと、謎ではあるけれども親切な展開が待っているのもイランならではの「お・も・て・な・し」です。
余談ですがテヘランを中心に妙に日本語が流暢な人と出くわす機会が多いです。
これはイラン革命以前は日系企業が多く進出していたこと、革命後も多くのイラン人が日本へ出稼ぎに行ったなどの要因があります。
革命前ほどではありませんが今でも日系企業が少なからずイランに拠点を持っていますし、NHKのテヘラン支局もあります。
まとめ
渋滞とインターネットをどうにかしてほしいところですが、何かと愛嬌のある国です。名所たっぷり、ごはんも美味しい、そして何より人が親切、おもてなしの精神に満ちた国と言えるのではないでしょうか。
新型コロナウィルスのパンデミックが落ち着いて国境が開いたら、まずは未練だったシーラーズに行ってペルセポリスの遺跡をみたり、タブリーズで食い倒れをしたいです(笑)