上の写真はCOVID-19の感染が本格化する前にインドネシア領バタム島で撮影した道路標識ですがなにか見覚えのあるものがないでしょうか?「Nagoya」です!目を疑いましたが実際にこれを撮影したときには既に「ナゴヤ」市内にいました。
今は旅ができないご時世ですがオンライン飲み会などのうんちく話でこの「ナゴヤ」の話をネタに使ってみてはいかがでしょう、ということは置いておいてせっかくですのでインドネシア領ナゴヤについて知ってもらうこととしましょう。
シンガポールやマレー半島とは目と鼻の先
ナゴヤを擁するインドネシア領リアウ諸島バタム島はシンガポール海峡を挟んでシンガポール及びマレー半島南岸(ジョホールバルなど)との対岸に位置しています。それは船舶でわずか1~2時間なので目と鼻の先です。(故にインドネシア国内では類を見ない民族事情がありますがそれは後ほど詳しく説明します)
しかし目と鼻の先とは言っても往復3000円以上は余裕でかかるのでバタム島からジャカルタまで飛行機に乗った方がまだ安いことも珍しくないです。
上の地図はバタム島内でナゴヤをズームアップしたものになります。ナゴヤはバタム島の西側に位置しており、今のところ島内最大都市です。しかし、島内東側のバタムセンターの都市発展が著しく、シンガポールやジョホールバルからの船舶の運行本数でいえばバタムセンターの方が多くなっています。
ちょっとユニークな民族事情
インドネシアもマレーシアやシンガポールなどと同様に東南アジア有数の多民族国家なだけあって島が違えば民族事情も違うというお国柄があります。中でもバタム島については位置関係故にちょっとユニークです。
バタム島を含むリアウ諸島は主にマレー系(シンガポール訛りのマレー語を話す)、中華系、インド系の住民が多い構成で、これはマレーシアやシンガポールと殆ど変わりません。強いて言えばそこにさらにジャワ島方面などから来たインドネシア系が多く加わっているところでしょうが、これは独立以後のトランスミグラシ政策(都市部に集中した人口を他島に分散させる)に由来するものが大きいでしょう。
それにしても本来なら旧マラヤ連邦(マレーシア+シンガポール)に入りたかったのではと思えますが結果としてインドネシアに組み込まれたのは歴史に理由があります。
旧マラヤ連邦は英国を宗主国としていたのに対して、バタム島を含むインドネシアはオランダを宗主国としており、独立後もその枠組みを維持するような形でした。なお、両者ともに第2次大戦中は日本が統治していました。
そもそも何故「ナゴヤ」に?
結論から述べるとこれは依然として謎です。地元住民に最も支持されている説は旧日本軍の駐留部隊に由来するというものです。当時、確かに日本が占領下に置いた場所では地名が日本語化されたところも確かに多かったです。
例えば対岸のシンガポールは日本統治下では昭南島という地名になっていたのは有名です。バタム島の駐留部隊は名古屋出身ではなかったようですがそのような過程で「ナゴヤ」という地名を与えたとすればある程度納得できる気がしないでもないです。
もうひとつの説は名古屋と縁のあったシンガポールの不動産屋さんが命名したというものですが説得力にはかなり乏しい上にそもそも住民が頭を横にふります(笑)。
ナゴヤのランドマークと隠れ名物?
写真にあるナゴヤヒルショッピングモールはナゴヤのいわばランドマークのような存在です。表記のされ方もなんとも東洋をイメージしている感じが伝わってきます。
そんなナゴヤヒルショッピングモールにはナゴヤの隠れ名物?となるスイーツではあるものの見た目ほど甘くない迷菓子?があります。
Kue Lapis
Kue Lapisと呼ばれるレイヤーケーキはオランダ統治時代に由来するようです。オランダベーカリーという名前の店を見つけるほどでしたからね。
それにしても写真を見ると特に右側が毒々しい甘さを秘めていそうな外見ですが実はあまり甘くはないです。どれくらい甘くないかというともう少々砂糖を付け加えてあげたいくらい甘くないです。ですから甘党には物足りないのは確実ですが甘いものがあまり好きではない方にはおすすめできます。
買ってから2週間前後もつのでお土産にもいいでしょう。
そして右の緑色のラピスですが、これはパンダンケーキとも呼ばれ、パンダンという植物を原料にした食紅のようなものを使用したものになります。これが実は対岸のシンガポールでも支持を得ており、後日チャンギ国際空港でキャセイパシフィック航空のラウンジを利用したらなんと....
なんと写真左側の皿に緑色の美しいパンダンケーキがあるではないですか!やはり見た目ほど甘くはなかったですが案外おいしいです。モカのような甘口コーヒーにとてもよく合います。
まとめ
今回はバタム島にある「ナゴヤ」について主に概要を中心に紹介しました。筆者は町歩きもしましたがそれは次回写真をたっぷり交えてじっくり紹介したいと思います。
今は旅できるご時世でない(2020年4月2日現在)のでバーチャル町歩きとして楽しんでいただけたらと思います。
それにしても本当に何故「ナゴヤ」という名前になったのでしょうね....。