2019年3月30日と31日、千葉幕張メッセにてHello! Projectひなフェス2019 20th Anniversary!! が行われた。
ハロー!プロジェクトに所属するメンバーが大勢出演する大規模なコンサートで、計4回公演のそれぞれで違った仕様の演出が楽しめる。とくに30日の昼公演は20th Anniversary!!プレミアムと題され、ゲストに辻希美・加護亜依・新垣里沙・道重さゆみ・鞘師里保の5人が出演することが発表され、ハロヲタ(※ハロプロファンの総称)たちは期待で大いに湧いた。
ひなフェス2019 20th Anniversary!!プレミアム回はdTVチャンネルでも生配信されたので、会場に足を運べなくとも鑑賞できたという人が多いだろう。なお、この回のDVD/BDは8月14日にリリースされることが決まっている。DVD/BD発売の知らせを受け、改めて当時の様子を回想してみようと思い、この記事を書いている。
3月30日、土曜日。
時はお昼の12時である。
やたらとイケボな開演アナウンスを経てコンサートがはじまる。
1. ロボキッス/W(ダブルユー)
驚いた。なんとオープニングからW(ダブルユー)の登場。
”辻加護”で一躍有名になった2人だが、加護ちゃんの喫煙その他のお騒がせ事件、辻ちゃんのできちゃった結婚で2人組としての活動が途絶えたことは世間的にも知られている話だろう。そんな2人が13年の時を越えて一緒に歌っている。感無量以外の何でもなく、会場は大歓声に包まれた。
後から加護ちゃんが語っていたのだが、このときにスタンバイするためにセンターステージに向かうときだけが2人きりの時間だったらしい。楽屋も別で、常にマネージャーさんなど誰かがそばにいたため辻加護が二人きりで過ごす瞬間は無かったけれども、このときだけは。
「リーダーの辻希美と」「サブリーダーの加護亜依」「2人合わせて…Wで~す」
2人のピースを合わせるとWになるんですよぉ~。そんなことを当時まだ子どもだった2人が音楽番組ではしゃぎながら言っていた気がする。でも長い間見られなかったWの形。その時間を埋めるように、2人は四方に挨拶をして回る。
「来たね」「…来たね。」
2人の瞳がうるんでいる。どれだけ長い時間だっただろう。どれだけ待っていただろう。観ているほうも思わず涙ぐむ。
いつかまた見られると信じていた。信じていてよかった。
※ステージ写真はこちら
2. Missラブ探偵/W(ダブルユー)
続いてはWの中でも人気の高い曲、”Missラブ探偵”である。忘れていたが、辻ちゃんはこのとき産後数カ月。普通ならまだまだ身体のだるさや不安定さがあってもおかしくない。産後というのをまったく感じさせないのはさすがだ。
そして加護ちゃん。実は加護ちゃんは昨年、”Hello! Project 2018 summer”という夏のハロコン(※ハロー!プロジェクトメンバーが総出演するコンサート)でハロプロ復帰を果たしている。
そのときに辻ちゃんはちょうど妊娠中で共演はかなわなかったのだが、加護ちゃん自体は12年ぶりにハロプロの舞台で歌い、ほかのOG達とともに共演もしている。その際、加護ちゃんに似ているとよく言われていた元スマイレージ/アンジュルムの福田花音と二人でWの楽曲を披露したのだが、かにょんこと福田花音のほうが昔の加護ちゃんに似ているのではと思うほど、大人になった加護ちゃんは痩せ細り、少し痛々しいほどだった。加護ちゃんファンはたいてい”多少はぽっちゃりしているくらいが可愛い”という価値観を持っているものだ。その声は本人の耳にも届いていたようで、”もう少しふっくらして女性らしい身体つきになりたい”とSNSなどで漏らしており、身体を内側から引き締めながら痩せすぎないトレーニングを積み重ねていたことが分かっている。
その成果だそう、2019年に登場した加護ちゃんのビジュアルはまさに最高潮。美しく引き締まった身体、ヘアアレンジは猫っ毛を生かしてトップにボリュームを持たせたスタイル。「加護ちゃん、仕上げてきたな!」というのが率直な感想であった。
3. Crying/ハロプロ研修生
ハロプロ研修生より7名のメンバーが今回のひなフェスに参加。つんく♂作詞作曲の”Crying”は等身大の女の子の歌詞であるが、どこか哀愁ただよう展開になっている。しかしゴリゴリにリズムを取りながら歌うので、歌い上げるというよりは全力パフォーマンスだ。このあたりはつんく♂プロデュースから離れてもまだまだつんく♂イズム、ハロプロイズムが引き継がれている。
7名のメンバーの中には為永幸音(しおん)、金光留々、窪田七海、出頭杏奈というAbemaTV組(AbemaTVでのオーディション企画をきっかけに研修生になった期)が出演している。それぞれ魅力があるが個人的には金光留々に注目している。彼女が舞台子役として活躍している映像を見るとその才能に期待せずにはいられないからだ。
4. 都営大江戸線の六本木駅で抱きしめて/CHICA#TETSU
5. GIRL ZONE/雨ノ森川海
6. 眼鏡の男の子/BEYOOOOONDS
続いて、CHICA#TETSU、雨ノ森川海、そしてその2グループに新メンバー3人を足したBEYOOOOONDSとしてのパフォーマンス。ハロー!プロジェクト内では最も新しいグループだ。
印象的だったのは雨ノ森川海での岡村美波(みなみ)のドスのきいた声と表情。普段はぶりっこキャラに近いほど、可愛い髪型、可愛い表情で愛嬌を振りまいている彼女だが、仕掛けてくる鋭い表情からは燃える闘志の持ち主であることが確認できた。清野桃々姫(ももひめ)だって、プリンちゃん♡なんてブリブリの系統のままいくのかと思っていたがすっかり”カッコいい”をモノにしてきた。そう、ブリブリの曲だってできるけど、媚びないパフォーマンスもできるのがハロプロなのである。だからハロプロが好きなんだ!
7.ふわり、恋時計/つばきファクトリー
8.春恋歌/つばきファクトリー
9.三回目のデート神話/つばきファクトリー
つばきファクトリーはハロー!プロジェクトの中でも清楚で儚げな印象があるようだ。他のアイドルグループからつばきに流れてファンになったという声も聞くので、いわゆるアイドルらしいイメージが強いのかもしれない。
だが今回の衣裳やメイクはなかなか個性的だった。お揃いではなく一人ひとりに合わせた花柄の衣裳。”きしもん”こと岸本ゆめのの強めアイメイクは普段から変わった古着好きを公言する個性派にばっちりハマっている。加えて浅倉樹々のパッと目をひく華やかさ。この2人の存在感は大きい。
新沼希空(きそら)は以前ライブ中に表情が暗い時期があり「辞めてしまうのでは!?」など心配もしたが、すっかり持ち直しまた輝きを取り戻している。デビューからもう4年。ついこの間結成されたばかりのような気がするが、それだけ時が経っていればいろんなことがあるだろう。はじめは新鮮に感じていたことでも辛くなることがあるかもしれない。でもまだまだフレッシュで若々しいのだから、どうか腐らずに頑張ってほしい。
それにしてもおみず(小野瑞歩)の可愛さよ…。派手顔でもなく美人ともてはやされるタイプでもないが、難のない顔である。とくにライブになるとどんなに動いても全く崩れないので見ていて気持ちが良い。
10.革命チックKISS/カントリー・ガールズ
11.妄想リハーサル/カントリー・ガールズ
12.浮気なハニーパイ/カントリー・ガールズ
活動縮小中のカントリー・ガールズの登場!単独ライブなどがない以上、こうして合同コンサートでカントリーが集まった姿を見られるのはファンにとって至福のひととき。
ただ、ももち(嗣永桃子)が卒業して5人になったはずのカントリーが今や4人である。つい先日、”やなみん”こと梁川奈々美の卒業があったからだ。やなみんが加入する前からグループのカラーがしっかりあったJuice=Juiceにとっては、正直やなみんの卒業は大きな違和感にはつながらないだろう。でもカントリー・ガールズはやなみんが居なくてはいけなかった。2期メンバーといえどカントリーの雰囲気にはぴったりとなじみ、独特の雰囲気をかもし出す彼女はカントリーだったからこそ個性が生かされた。カントリーの5人は誰が欠けてもいけなかった。
たった4人でステージに立ちパフォーマンスをする姿は、大切なピースを失ったジグソーパズルのようだった。それでも皆、その隙間を感じさせまいと気丈にカントリーを守っている。やなみんがいなくてもカントリーらしさが続くように、全員がカントリーを守ろうとしているのだ。
ところで”浮気なハニーパイ”はカントリー娘。の曲である。カントリー娘。のメンバーとは一新されているはずのカントリー・ガールズだが、まるでオリジナル曲かのように歌っていることに感心した。すっかり自分たちのものにしている。
髪を切った船木結(むすぶ)はかつての広末涼子を思わせる。清涼感。
13. Oh No 懊悩/こぶしファクトリー
14. ハルウララ/こぶしファクトリー
15. チョット愚鈍に!猪突猛進/こぶしファクトリー
メンバーの脱退が相次ぎ、5人になったこぶしファクトリー。5人でデビューを飾ったJuice=Juiceもメンバーを増員している現在ハロプロの中では少人数グループになってしまったが、こぶしの場合はそれが良い方向に出ていると思う。
℃-uteの5人体制がそれぞれの魅力をひき立たせ、誰も埋もれさせないバランスになっていたのと同様、こぶしファクトリーも5人になってから個々がひき立っている。結成された当初は”はまちゃんズ”なんて揶揄されていた部分があったものの、もうはまちゃん(浜浦彩乃)以外のメンバーも同等に力をつけていてこぶしは誰がセンターに立ってもおかしくないバランスだ。ただ、はまちゃん以外の子がセンターに立ってもおかしくないが、はまちゃんが隅にいるのはおかしい、そういう意味ではまちゃんはセンター。とメンバーの広瀬彩海(あやか)が言っている。鋭い洞察力だと思うし、とてもしっくり来る表現だ。
”チョット愚鈍に!猪突猛進”はキャッチーで勢いもある。こぶしらしさが前面に出ている楽曲だ。
16. 桜ナイトフィーバー/ハロプロオールキャスト
KANの楽曲、”桜ナイトフィーバー”でハロプロメンバー全員が登場。まだセットリスト楽曲数の半分には満たないが、印象的には前半を締めくくったという感じだった。
モニター越しに目を惹いたのはアンジュルムの新メンバー、伊勢鈴蘭(れいら)。素人からの加入だが歌唱力に光るものを持ち、さっそく即戦力として活躍している一方で、まだまだ隙のある表情が返って魅力的。そんなに気を許していいのか!?そんな表情見てしまっていいのか!?と罪悪感にかられるほど、計算されない色っぽさにあふれている。
それにしても、KANをはじめ事務所の先輩の楽曲をこうして違和感なく自分たちのカラーに染めて歌えるのも、同じ音楽事務所に所属しているがゆえだろう。ハロープロジェクトの魅力は何よりもその音楽性にあるのだ。