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17. ミニモニ。ひなまつり!/辻希美・加護亜依・船木結・上國料萌衣
18. ラッキーチャチャチャ!/辻希美・加護亜依・船木結・上國料萌衣
続いては辻加護が所属していたミニモニ。の楽曲。背が低いことで知られる、カントリー・ガールズ&アンジュルムの船木結、アンジュルムの上國料萌衣とともに4人組での登場だ。現役メンバーの2人はもちろん辻加護と活動期間はかぶっていない。つんく♂がハロー!プロジェクトのプロデューサーを退いたことを含め、その間にハロープロジェクトのあり方はずいぶん変わったが、それでもこうしてグループの垣根を越えて同じステージに立てる。
ちなみに4人の衣裳についていたマスコットキャラクター”ミニモちゃん”のワッペンは、当時の衣裳からはずして付けたものだそうだ。
19. I WISH/辻希美・加護亜依・モーニング娘。'19
辻加護の名前を連想させるI(あい)WISH(のぞみ)は、ファンにとっても大切な曲だ。「人生ってすばらしい」「晴れの日があるからそのうち雨も降る」――事務所を離れ、ハロプロから疎遠になった時期にも加護ちゃん自身が力をもらった曲として挙げているのもこの楽曲だ。また、ハロプロの曲を歌ってはいけないと思いこんでいた彼女が許可をもらって歌えるようになったとき、彼女の参加するイベントやライブ、TV出演で積極的に歌ったハロプロの曲もこれである。
そんな思い入れの深い楽曲をいまこうしてモーニング娘。の現役メンバーとともに歌っている。途中、彼女が感極まり涙する場面があった。観ているこちらももらい泣きするほどのその場面はワイドショーなどでも取り上げられたが、あとから「現役時代にお世話になったマネージャーさんやスタッフさんがずらっと並んで見てくれていたのを見つけて涙が出た」と彼女は語っている。
そして涙で歌えなくなった瞬間、やさしく肩を抱く辻ちゃん。同じように目に涙を浮かべながら。加護ちゃんに比べると順風満帆のように思われがちな彼女だが、ここに来るまでにさまざまな思いがあったのは間違いない。相方を大切に思い、モーニング娘。を大切に思う心がまっすぐに伝わってきた。
20. Moonlight night ~月夜の晩だよ~/清野桃々姫
BEYOOOOONDSの清野桃々姫(ももひめ)によるソロパフォーマンス。今回のプレミアム公演にはOGの復活を観たくて参戦した人も多いだろうから、もしかしたらハロプロ内でも新グループのBEYOOOOONDSのことは知らないという観客がいてもおかしくない。しかも会場全体が感動に包まれた”I WISH”の直後である。そのプレッシャーの中で出てくることを思っただけで胸が熱くなる。
清野桃々姫が尊敬する人として挙げているのがモーニング娘。OGの鞘師里保。この”Moonlight night ~月夜の晩だよ~” はそんな鞘師がまだデビューしてすぐのころ、初参加のツアーで大先輩の高橋愛・新垣里沙と3人で歌った曲なのである。
12歳でデビューして間もない子が、10年選手の先輩、しかも実力派の高橋・新垣と3人でステージに立ち、まだあどけなさは残るものの難易度の高いパフォーマンスをやってのけた鞘師に、モーニング娘。のファンは衝撃を受けた。この曲での鞘師のパフォーマンスは現在でも語り継がれるほど、ハロプロファンの間では伝説になっている。
そんな曲を鞘師に憧れる清野桃々姫はソロの曲として選んだのだ。しかも、鞘師が復活するというステージで。
擬音語の表現が独特な不思議ちゃんとして知られる桃々姫だが、パフォーマンスに関しては超アグレッシブ。モーニング娘。の歴史が交差した”I WISH”からガラリと空気を変え、たった一人で堂々としたステージを創りあげた。鞘師はこのパフォーマンスを舞台袖で観ていたようで「良かったよ!」と声をかけてもらったと桃々姫は明かしている。鞘師の前でこの曲を歌うということは大きな挑戦だったはず。鞘師が来るからこそ、この曲を選んだのだろう。保守に走らない桃々姫のチャレンジ精神を高く評価したい。
ある曲をパフォーマンスするというのは、その曲の背景にある先輩が作りあげてきたストーリーを意識し、更新していくということだ。単なるカバーにとどまらないそういったストーリー性があるのはハロプロの大きな魅力といえるだろう。
21. ひとり占めしたかっただけなのに/かれいぱん(加賀楓・井上玲音・広瀬彩海)
ソロと同じく、くじ引きで選ばれた3人ユニット。このひなフェスでしか見られない今回限りのユニットはメンバーにとってもファンにとっても新鮮で希少価値のあるものだ。ユニット名はメンバー自身が決めることになっており、”かがかえで””いのうえれい””あやぱん(ひろせあやかのニックネーム)”の名前から取って”かれいぱん”になったようだ。
井上玲音(れい)と広瀬彩海(あやか)はハロプロ研修生になる以前からナイスガールトレイニー(つんく♂が社長を務めているTNX株式会社に所属するレッスン生)として活動していたメンバーで、二人とも高い歌唱力が評判だ。ハロプロ研修生として同じくらいの期間活動していた加賀楓は、評価の高いメンバーではあったが、歌唱力だけを取ればその2人には劣るところがあったのも事実である。かれいぱんが発表されたときにはその点が少し心配だった。だが”ひとり占めしたかっただけなのに”という℃-uteの楽曲を完成度高く仕上げてみせた。
かえでぃー(加賀楓)がぐっと力をつけ、3人でバランスのよいパフォーマンスを魅せてくれた。研修生活動が終了しデビューしてもなお成長し続けるメンバーの姿はとてもまぶしいものである。
22.地団駄ダンス/juice=juice
23.微炭酸/juice=juice
24.Borderline/juice=juice
高いパフォーマンスで知られるjuice=juice。今でこそ研修生ユニットは珍しくなくなったが、juice=juiceが結成された当時はスマイレージ以来の研修生ユニットで、少数精鋭のイメージが強かった。メンバーを増員した今もjuice=juiceのそのイメージは変わらず、メンバーの誰もが高い実力を誇る。この時点での末っ子メンバーである段原瑠々(るる)も臆することなくその歌唱力を生かして前に出てきており、すっかりなじんだ印象だ。
ちなみにこの夏、新メンバー2人が加入することが発表された。研修生から松永里愛(りあい)、北海道研修生から工藤由愛(ゆめ)の2人である。松永里愛は研修生実力診断テスト(自らが楽曲、衣裳、振り付けなどを決めて自己演出し観客や審査員による評価を受ける)の3年目の出演でベストパフォーマンス賞を受賞したメンバーだ。1年目の出演のときから光るものがあり、個人的に大注目していた。
わずか11歳にして”SONGS”というモーニング娘。プラチナ期を象徴する楽曲をチョイスし、落ち着いたパフォーマンスをし、目線まで決めていた。2年目も同じように選曲にもセンスがあり、衣裳やパフォーマンスすべてに外しがなく、やりすぎない・いきすぎないちょうどよいところを突いてくることに驚いた。16、7歳になればそういったことができるようになるメンバーは多いが、11、12歳でそれができるのは天性のセンスの良さとしか思えなかった。13歳で3年目の出演時に選んだ”ガタメキラ”は太陽とシスコムーンの曲で、大人の女の強さがありありと出ているのだが、それも遜色なくやってみせた。というか、13歳にしか出せないキュートさも部分的に入れ、ほんのわずかな瞬間で自己演出の仕方を切り替えるというテクニックに度肝を抜かれた。歌唱力も高いので安心して観られるが、本人はフェイクを相当練習したらしい。
工藤由愛もパフォーマンスに入るとがらりと雰囲気が変わるメンバーで、歌唱力も高い。メンバーを入れ替えながら存続していくjuice=juice。この2人がグループになじんだとき、また新たな姿を見せてくれるだろう。
25. 恋はアッチャアッチャ/アンジュルム
26. 泣けないぜ…共感詐欺アンジュルム
27. タデ食う虫もLike it!/アンジュルム
とにかく個性的なメンバーが揃っているアンジュルム。スマイレージから改名後、楽曲にも恵まれたことでファンも増加。芸能界でも蒼井優や菊池亜希子などそうそうたる人物がアンジュルムのファンだと公言している。この2人が編集長を務めたムック本、”アンジュルムック”は増刷を繰り返すほどの人気だ。
ハロプロ内でもとくに勢いのあるアンジュルム。個性を際立たせるグループなのもあって、メンバーのヘアメイクも冒険している。今回はリカコ(佐々木莉佳子)がIKKOさんのような髪型になっていた。モード感の強いリカコならではのヘアスタイルだが、果たしてこれが正解なのかどうか。ま、そういうところも含めてアイドルの枠にとどまらない魅力がアンジュルムにはある。
恋はアッチャアッチャはMVにも力が入っていて、サビのダンスがなんともクセになる曲だ。
28. 青春Night/モーニング娘。’19
29. The 摩天楼ショー/モーニング娘。'19
30. I surrender 愛されど愛/モーニング娘。'19
続いてはモーニング娘。'19の登場。かつてはハロープロジェクトといえばモーニング娘。でほかのユニットはあくまでも姉妹グループのようなイメージがあっただろう。でもここまで観てきて、そんな印象はもう微塵もないことに気が付いた。もちろんモーニング娘。のメンバーはハロープロジェクトを背負って立つメイングループとしての自覚と誇りを持っている。そのことは行動や言動の節々に感じられる。だが、ほかのグループの存在感はモーニング娘。に負けておらず、今やハロプロ下のすべてのグループが同列に競い合い、それぞれの個性を見せつけている。
その中でモーニング娘。の強みといえば、つんく♂提供の楽曲が多いという点がひとつ挙げられるだろう。つんく♂はすでにハロープロジェクトの総合プロデューサーを退いているが、モーニング娘。に限ってはサウンドプロデューサーという形でとどまっている。コンサートやMVなどの演出には携わらなくなったものの、楽曲を通じてメンバーにハロープロジェクトの真髄を伝えている。
総合プロデューサーがつんく♂ではなくなり、ハロープロジェクトもずいぶん変わったと感じることはある。だが失ってはいけないものが楽曲を通じてメンバーにもファンにも伝わっている。またメンバー自身が媒体となり、新メンバーへと伝えていくことでハロープロジェクトの歴史はつながっている。
<3>(最終回)へつづく