2023年2月1日、ハロー!プロジェクトの12人組グループBEYOOOOONDSのコンサート映像を収録した『もういっちょどんと来い!BE HAPPY!』のBlu-ray Discが発売された。
Amazon.co.jpより
が、しかし正直なところ、そんなに爆発的には売れていない。大きな話題となっていないのが現状である。なぜだ!
非常にもったいない。この円盤は最新のBEYOOOOONDSの姿を楽しむには最強といってもいい良作なのに。
というわけで、回し者でもなんでもないが、販売を促進すべくこの記事を書くことにした。
その前に、この円盤の売り上げが思ったよりも伸びていない理由として思い当たる節を挙げてみる。
『もういっちょどんと来い!BE HAPPY!』は2022年の夏に行われたBEYOOOOONDSコンサートツアーのタイトルであるが、春には『どんと来い!BE HAPPY!』という名のツアーが実施されていた。そしてその千秋楽が待望の日本武道館だったのもあって、チケットは落選祭り。『どんと来い!BE HAPPY!』のDVD・BDも、BEYOOOOONDS初の日本武道館公演を収録したこともあって売り上げが伸びたようだ。
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『もういっちょどんと来い!』は、ツアータイトルからも分かるように春ツアー『どんと来い!』をよりブラッシュアップしたもので、基本的な構成は『どんと来い!』とそんなに変わりがない。
だから『どんと来い!』の円盤や配信を購入した人にとっては、目新しさに欠けると感じ購買意欲をそそられないのかもしれない。
さらに『どんと来い!』の円盤はDVD₍税込4950円₎・BD₍税込6600円₎がラインナップされていたのに対し、『もういっちょどんと来い!』のほうはBD₍税込9900円₎のみである。ちょっと気になるから手を出すには敷居の高い価格設定になってしまったのも一因かもしれない。
ただし価格設定に関しては、購入すればその価値があることを十分に感じられるはずなので後述したい。
新規もファンも『もういっちょどんと来い!BE HAPPY!』円盤を買うべき理由
<その1>最新のBEYOOOOONDSがわかる!
この円盤には、『どんと来い!』で初披露されたライブ曲「虎視タンタ・ターン」「オンリーロンリー」「涙のカスタネット」も収録されている。これらのライブパフォーマンス映像が楽しめるのは『どんと来い!』もしくは、この『もういっちょどんと来い!』のどちらかしかない。
さらに、この『もういっちょどんと来い!』はBlu-ray2枚組となっており、ディスク2枚目にはユニット曲の新曲「待ち合わせはJR梅田駅で」「循環」「Get Back!~ビニール傘の大冒険~」が収録。この3曲が収録されたライブ円盤は、現在のところこの『もういっちょどんと来い!』のみだ。春には新曲の発売を予定しているBEYOOOOONDSだが、現時点での最新のラインナップは『もういっちょどんと来い!BE HAPPY!』にギュっと濃縮されている。
<その2>武道館公演じゃないからこその旨味がある!
『もういっちょどんと来い!』を推したい理由の1つが、公演会場が中野サンプラザであるということも挙げられる。『どんと来い!』円盤では武道館公演が収録されており、大きな会場ならではの高揚感が味わえるが、逆に言うと『もういっちょどんと来い!』のようなホールコンサート映像のほうがパフォーマンスそのものは見やすかったりする。ステージも360°ではなく一方向なので振付や構成の全体像が捉えやすいというか。よりシンプルな感じがいいのだ。
また、BEYOOOOONDSのライブには寸劇のシーンが多いが、武道館のような広すぎるステージでの演劇公演が難しいように、芝居のやり取りはホールまでの規模のほうが説得力があるように思う。
武道館公演だとカメラワークや編集なども広い空間ごと切り取ったような映像になるので感動もひとしおだが、まずはBEYOOOOONDSのパフォーマンスを観てみたい、という人なんかはホールコンサートの映像を強くおすすめしたい。
<その3>ブラッシュアップされた寸劇が見どころ!
基本的な構成は同じと書いたが、『どんと来い!』と『もういっちょどんと来い!』では寸劇もブラッシュアップされた。『どんと来い!』でカットされたという「ディレクターズカット版」というのが差し込まれており、これがまた面白い。内容は実にくだらないのだが、それを迫真の演技でやってのけるのがBEYOOOOONDS。演出家の野沢トオルさんをはじめ制作陣の意図とBEYOOOOONDSのキャラクター性・表現力が見事にマッチしているのを感じられる。個人的には「あはは あはは」「まって~」のところが大好きである。
<その4>新鮮なカメラワークが楽しめる!
ディスク2枚目には、9月末にZepp Hanedaで行われた最新アルバムの発売記念イベントが収録されている。イベントといっても全11曲を披露する立派なライブで、パフォーマンスを楽しむのにもってこいの円盤だ。
この11曲の中にはディスク1枚目の『もういっちょどんと来い!』公演で披露されている楽曲も数多くあるが、「同じ曲だしな~」と侮るなかれ。同じ曲でもカメラワークが全然違うのだ。こちらは舞台袖からのアングルもあるのが大きなポイントで、踊っているメンバーを斜め後ろからも観ることができる。普段のライブ映像ではなかなかないアングルだから貴重だし、実際に自分が舞台袖にいて見ているような、よりリアルなライブ感を楽しめるのが醍醐味だ。多人数グループの楽曲は、歌割りなどの兼ね合いである程度カメラワークが固定されがちなので、新しいアングルでの映像が入ることで「ここはこんな振付だったんだ!」とか、「ここでメンバー同士が顔を見合わせてるんだ」など、新しい発見がたくさんある。もちろん見せ場のソロは確実に抑えてくれているから信頼できる。
ユニット曲の新曲「待ち合わせはJR梅田駅で」「循環」「Get Back!~ビニール傘の大冒険~」 が初収録されていることに加え、このカメラワークで観られるという点においてディスク2枚目にも相当な価値があると思う。というわけでこの価格設定は納得!
<その5>『どんと来い!』ツアーの集大成といえる出来映え!
春ツアー『どんと来い!』はコロナ禍により一度おじゃんになったBEYOOOOONDS初のコンサートツアーの再計画だったのもあって、ファンの期待も大きく、メンバーの気合いもすごかった。まだ場数を踏んでいないはずの初日の時点で完成されており、もうすでに100点をたたき出してきたことに「これ以上のもの」は存在しないのでは?と思ってしまうほどだった。ただ1つ気になった点を挙げるとすると、『どんと来い!』ではやや体力配分しているのが感じられた。手を抜いている感はまったくなかったし、もちろん1つのステージを完遂するのに必要なことなのだけど、完璧に計算し尽くされている印象を与え、非の打ち所がないショーを見ているという感覚だった。あまりにもプロ集団なのでアイドルのステージを観に来た感覚はなく、その完成度に感嘆しつつも、アイドルのステージにどこか非完全な部分ーがむしゃらさや人間的な何かを求めている自分にも気付いた。
あくまでも主観的な感想だが、『もういっちょどんと来い!』では、『どんと来い!』での完成度はそのままに、メンバーがより自由に楽しんでいる様子が見て取れたのが大きい。カメラ目線も多く、表情も硬すぎない。演出の意図や「型」のようなものは守りつつも、伸びやかで熱いパフォーマンスに拍車がかかっていた。割って入る余地のなさを感じた『どんと来い!』よりも、観客も一体となって渦に巻き込まれる、一方的ではないパフォーマンスになっていたように思う。
そんな感じで 『BEYOOOOOND1St CONCERT TOUR 〜もういっちょどんと来い! BE HAPPY!〜』のおすすめポイントを列挙してみたが、魅力は伝わっただろうか?
ライブ映像だけでも楽しめるが、特に2枚目のアルバム発売記念イベントを視聴するにあたっては、あらかじめアルバムで音源を聴いておくとより楽しい。音源とライブ(生歌)とで多少ニュアンスが異なる点も聴きどころだ。アルバムは初回限定盤だと2nd以降のシングルのdance shot映像や、ライブでも大好評のakane振付「虎視タンタ・ターン」の撮りおろしMVも収録されているのでおすすめだ。
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活動5年目に入り、春には4枚目のシングル「 求めよ…運命の旅人算/夢さえ描けない夜空には 」発売も予定しているBEYOOOOONDS。まずは現在までの軌跡を最高傑作の『もういっちょどんと来い!』円盤でしっかりとおさらいしておきたい。