Hello! Project(以下ハロプロ)はコロナ禍でも積極的にコンサートを開催している。
感染症対策を行いながらのコンサートは一体どのようなものなのか。
そこには様々な工夫があった。
ハロプロは2020年夏からコンサートを再開
まず、ハロプロは昨年の夏から「 〜The Ballad〜 」というタイトルのハロコン(ハロプロに所属するメンバーが大勢出演するコンサート)を再開した。これはハロプロの楽曲を封印し、全て他アーティストのバラード曲のカバーをソロで披露するものだった。
新しい形のハロコンをスタートさせたハロプロ
「 〜The Ballad〜 」 は50人以上のハロプロメンバー全員が出演していた従来のハロコンとは違い、全体をチーム分けして、チーム単位で会場を回った。メンバーはソロでバラードのカバー曲を披露する。原曲は山口百恵から西野カナまで幅広い。
この形式でコンサートを行うことが発表されたときは、「ハロプロにも豊富にオリジナル楽曲があるのになぜ他のアーティストのカバーをするのか」というファンからの反発もあった。
もちろんハロプロにもバラ―ドナンバーはあるが、数は限られてくる。また、リズムを強めに刻むものが多く、バラードであってもどこか“乗れる”楽曲が多い。
ファンにとっては初の「着席での鑑賞」「声援禁止」となるため、しっとりと聴かせられる楽曲のみにするためにカバーという手段を選択したのだろう。
2021年からはさらにリニューアルしたハロコンへ
この「 ~The Ballad~ 」を踏まえ、2021年から始まったのが「 ~STEP BY STEP~ 」という新しい形のハロコンだ。
封印していたダンスを解禁し、カバーではなくハロプロの楽曲を披露する。また、少人数ではあるもののソロではなく何人かのユニットで披露をする。
アップテンポな曲もできるようになったのは「 ~The Ballad~ 」を経てファンの鑑賞スタイル(着席・声援禁止・マスク着用など)がしっかり定着したことが大きいと思われる。
「Hello! Project 2021 Winter ~STEP BY STEP~」の様子
さて私が出向いたのは1/24にオリックス劇場で行われた「 ~STEP BY STEP~ 」大阪・昼公演だ。
あいにくの雨。
まず会場に到着するとこのように人がちらほら。
通常であれば入場列・グッズ列とものすごい人だかりなのだが、その列は見当たらない。開演の1時間15分前から客席をブロック分けして集合時間が区切られており、少しずつ入場するシステムになっている。また会場でのグッズ販売はなく、コンサートグッズを購入したければ通販サイトを利用する。
すでに夜公演の入場時間が貼り出されていた。
入場にあたっては、「大阪コロナ追跡システム」への登録が必須となる。
QRコードを読み取り、登録を行うと返信が来る。その返信の画面を入場の際に係員に提示する。
大きなポスターが何箇所かに貼られていた
不具合などによりうまく登録できなかった場合は緊急連絡先の用紙に氏名・電話番号・座席番号を記入する。
なお、入場の際は本来であればチケットを係員に手渡してちぎってもらうのだが、「 ~The Ballad~ 」以降はこのもぎりはなくなっている。係員がスタンバイしている台の上にチケットを置いて、目視で確認してもらうシステムだ。チケットは回収されることなく手元に残る。
会場内にはハロプロを思わせるようなポスターは一切ない。
公演タイトルすら貼り出されておらず記念写真なども撮る余地がないのでどこかにファンが溜まるということもない
。
貼り紙は感染症対策の注意喚起のみ
観客は会場の約半分ほどだろうか。国の指針に基づいて制限しており、密にならないよう配慮されている。
舞台上にはセットは存在せず、素舞台のままである。また通常のハロプロのコンサートでは当然のように設置されているスクリーンモニターもない。入れる観客数が少ない上にチケット代も通常の6~7割の価格に抑えているため、経費削減が行われている。派手な音響・照明効果はなく、(これは気のせいかもしれないが)声援にかき消される心配がないからか音量も控えめだったように感じた。
華美な演出はないが、パフォーマンスを届けるということに徹している印象だった。
「Hello! Project 2021 Winter ~STEP BY STEP~」 大阪オリックス劇場・1/24(日)昼のセットリスト
この日の参加メンバーはユニット③とユニット⑥。
そしてハロプロ研修生ユニットとして 米村姫良々・石栗奏美・窪田七海・斉藤円香が参加した。
01. YEAH YEAH YEAH / 全員
02. スキちゃん / ハロプロ研修生ユニット
03. そこらのやつとは同じにされたくない / 前田・山﨑・清野・平井
04. がんばれないよ / 金澤・植村・段原・工藤
05. たんぽぽ / 植村・工藤・清野
06. シングルベッド / 金澤・前田・平井
07. 悲しきヘブン / 段原・山﨑(バックダンサー工藤・前田・平井)
08. ナミダイロノケツイ / 石田・野中・牧野・森戸・北川・山岸・浅倉・小野・秋山
09. 意識高い乙女のジレンマ / 山岸・浅倉・小野・秋山
10. 青春Night / 石田・野中・牧野・森戸・北川
11. C\C(シンデレラ\コンプレックス) / 野中・牧野・山岸・秋山
12. 渡良瀬橋 / 石田・森戸・小野
13 モーニングコーヒー / 北川・浅倉
14. I Need You ~夜空の観覧車~ / 金澤・植村・段原・工藤・前田・山﨑・清野・平井
15. VERY BEAUTY / 石田・野中・牧野・森戸・北川・山岸・浅倉・小野・秋山
16. 文化祭実行委員長の恋 / 前田・山﨑・清野・平井
17. 三回目のデート神話 / 山岸・浅倉・小野・秋山
18. Va-Va-Voom / 金澤・植村・段原・工藤
20. 歩いてる / 金澤・植村・段原・工藤・前田・山﨑・清野・平井
21. 笑顔に涙~THANK YOU! DEAR MY FRIENDS~ / 全員
02. スキちゃん / ハロプロ研修生ユニット
03. そこらのやつとは同じにされたくない / 前田・山﨑・清野・平井
04. がんばれないよ / 金澤・植村・段原・工藤
05. たんぽぽ / 植村・工藤・清野
06. シングルベッド / 金澤・前田・平井
07. 悲しきヘブン / 段原・山﨑(バックダンサー工藤・前田・平井)
08. ナミダイロノケツイ / 石田・野中・牧野・森戸・北川・山岸・浅倉・小野・秋山
09. 意識高い乙女のジレンマ / 山岸・浅倉・小野・秋山
10. 青春Night / 石田・野中・牧野・森戸・北川
11. C\C(シンデレラ\コンプレックス) / 野中・牧野・山岸・秋山
12. 渡良瀬橋 / 石田・森戸・小野
13 モーニングコーヒー / 北川・浅倉
14. I Need You ~夜空の観覧車~ / 金澤・植村・段原・工藤・前田・山﨑・清野・平井
15. VERY BEAUTY / 石田・野中・牧野・森戸・北川・山岸・浅倉・小野・秋山
16. 文化祭実行委員長の恋 / 前田・山﨑・清野・平井
17. 三回目のデート神話 / 山岸・浅倉・小野・秋山
18. Va-Va-Voom / 金澤・植村・段原・工藤
20. 歩いてる / 金澤・植村・段原・工藤・前田・山﨑・清野・平井
21. 笑顔に涙~THANK YOU! DEAR MY FRIENDS~ / 全員
「Hello! Project 2021 Winter ~STEP BY STEP~」 大阪オリックス劇場・1/24(日)昼の感想
コロナ禍に入ってはじめてのコンサート参戦。率直な感想は「映画鑑賞のよう」。
コンサートというと飛沫がとんだり客席も盛り上がったりするイメージがあるが、ステージと観客席との距離は十分に空けられており、観客側も間隔を空けた座席に静かに座って観るそのスタイルは映画館のようだった。
個人的にはもともと声援を送ったりはしゃいだりするよりも静かに観たい派なので、着席での鑑賞は視界も良好で快適だった。シンプルにパフォーマンスを楽しみたいので派手な照明や音響もなくてかまわない。そればかりか、照明をカッコよくしすぎてダンスが見えづらい!という普段の難点がなくとても見易かったし、大きすぎる音が苦手なので音量が控えめなのも助かった。
ただスクリーンモニターがないため、メンバーをしっかり観たい場合、席が遠ければオペラグラスはほしい。私は特定のメンバーを中心に観たかったのでオペラグラスを使ったが、その間はほかのメンバーや全体を観ることができないのとペンライトが振りにくいのはちょっと不便だった。
とはいえ、オペラグラス越しにずっと目で追っていればソロパフォーマンスが堪能できるし(舞台上にメンバーが少ない上にシンプルなステージングなので見失うことも誰かの陰に隠れることもない)、そのまま見れば全体が俯瞰で楽しめる。どんな楽しみ方もできるのが今回のハロコンの魅力だと思った。
少人数でハロプロ楽曲をパフォーマンスするということ
この「 ~STEP BY STEP~ 」ではグループの約半数のメンバーで持ち曲を歌ったり、グループの垣根を越えて少人数でパフォーマンスをする。もちろん生歌であるが、「 ~The Ballad~ 」で新人もベテランも関係なくソロでの歌唱表現に向き合ったことで、それぞれの表現力が底上げされていたように思う。少人数でも物足りなさを感じることはなかった。
ハロプロの楽曲の良さをメンバーもファンも改めて再確認できるステージにもなっていると思う。
何よりもこうして制約がある中でできる限りの工夫をして音楽を届けようとする事務所の姿勢、メンバーの努力に心を打たれた。いつかまた満員の観客のもとで声援を浴びるその日を待ち望んで、これからも彼女たちはひたむきに歌い続けるだろう。
(06:18~ 「 ~STEP BY STEP~ 」の様子)