【意思は変化しうるもの】 先日、NHKから昨年の8月に東京都の病院で人工透析の中止を決意した40代の女性患者が死亡したというニュース(archive.foによる保存記事)が報じられました。それは、考えに考えぬいたうえでの決意であったに違いありません。 しかし、東京都は医療法にもとづいて病院に立ち入り検査を行うなど、女性患者が人工透析の中止に同意した経緯、そして、「中止した後に考えを変えて人工透析の再開を望んだ」ことがなかったかなど詳しく事情を調べるとしました。 女性患者が、人工透析を中止した後でさらなる苦痛を覚える中、人工透析を再開したいという意思が尊重されなかった可能性があるからです。 ここでは、人間の「尊厳死」について考えていきたいと思います。 人工透析とは 人工透析は、「血液透析」と「腹膜透析」というふたつの治療法があり、どちらかを用いて病気で腎臓の機能がかなり低くなってしまった患者に行う治療です。 それは、専用の装置が腎臓の代りに、血液中の老廃物を除去して血液をきれいにしてくれる大切な治療で、重たい腎臓病の人にはかかせない生命線になるのでした。…
私はソリブジン事件(フルオロウラシル系薬剤と併用すると死亡例が出た)が新聞を賑わせている時期に、フルオロウラシル系の新しい薬剤を開発していたので、薬害に関してはあってはならないと思っています。 しかし、薬害が起こった原因には、厚生労働省が薬剤を評価するために要求している試験の内容が不足していこともあります。そのため、薬害があるごとに厚生労働省の新薬承認基準が厳しくなります。 薬害を起こした化合物は死にいたる副作用や回復不能な副作用をおこしたものですが、決して効力が無かったものではありません。その当時でも特効薬であったものや現在の科学水準で判断すると効果が高い可能性があったものもあります。 薬害の定義と歴史 薬害の定義 薬害とは実際には医学用語として定義されたものではなく、マスコミ用語の一つともいえます。 全く副作用のない薬は(多分)効果もありません。従って、副作用が発生してもその重度が低く、すぐに回復するものであれば問題はないと考えられます。 許容される副作用に関しては使われる分野によっても変わります。 例えば抗腫瘍剤が、回復が認められない副作用や死亡につながる副作用を起こす場合は問題になります。で…