さて、<前編>では新型出生前診断とはどのような検査なのか・どういった障害が検査対象となっているのか・新型出生前診断における問題点についておもに述べました。 <後編>では、その検査対象となっている子どもたちがどのような暮らしを送るのかについてもう少し取り上げたいと思います。 一般的には13トリソミーや18トリソミーの子は日常的な医療行為が必要であることが多いと言われていますが、前置きをしなければならないのは、発達や症状についてはその子それぞれによって大きく異なるということです。 また、福祉制度や施設の形態なども地域差があります。ここで取り上げる例にあてはまらない場合も出てくることでしょう。(実際にそういった症例の子どもたちを育てている親御さんのブログやSNSでは、よりリアルタイムな生きた情報が手に入ります。この記事を読んでさらに詳しく知りたくなったら、ぜひ具体的に情報収集をしてみることをおすすめします。) 在宅医療 一昔前までは、13トリソミーも18トリソミーも自宅で暮らすのは難しいとされていましたが、最近では親の要望もあって在宅医療で暮らす子が増えています。13トリソミー、18トリソミーの家族に…
2019年3月、日本産科婦人科学会の了承のもと、新型出生前診断ができる医院が増えることが発表されました。 これまでは限られた医療機関でしか検査ができませんでしたが、今後は開業医などより多くの医院で新型出生前診断が受けられるようになる見込みです。 この決定に至るまでは検討が重ねられ、現在でもその問題が解決したわけではありません。新型出生前診断を拡大するにあたっての問題点としては、 ①医師から十分な説明を受けず、検査を受ける妊婦がその意義などについて十分に認識しないまま検査を受けるおそれがある。 ②NIPTの結果として陽性であった場合でも確定させるためには羊水検査などの確定検査を受ける必要があるが、新型出生前診断の精度が他の非確定検査と比べて高いがゆえに、妊婦がその結果を確定的なものとして受け止め、判断する可能性がある。 ③手軽にできる検査であるがゆえに、医師も妊婦も検査の実施に積極的になりやすく、客観的な理由のある妊婦だけでなく不特定多数の妊婦を対象にした胎児の疾患発見のための検査になりうる。 といったものが挙げられています。 現在でも十分な説明や遺伝カウンセリングが実施されているとは言いがたい状況を…
「小さく産んで大きく育てる」というのは、家庭で出産するときのコツのように伝えられています。「家庭で」出産する可能性は現代では特別な場合を除けばほとんどありません。 「小さく産む」ということは、分娩時に母体に負担がかからず、出血量も少ないことから、緊急時の対処が難しい家庭での出産には、正しかったかもしれません。 ですが施設で出産することが大半を占めるようになってからは、「小さく産んで大きく育てる」というのは問題があることが分かってきました。新生児の体重は胎児のときの栄養環境を間接的な指標として取り上げられているからです。 体重2500g以下で生まれた赤ちゃんを低出生体重児と呼びます。 戦後すぐの日本全体が栄養状態が悪かった時期である1951年には低体重児の割合は7.3%でした。戦後の復興により1975年には5.1%まで低下しましたが、その後また低体重児の割合は増え続けています。 今回は、低体重児にどのような問題があるかについてお話しします。 低体重児の割合の推移 性別に見た出生時の体重と低体重児の割合の年次推移 グラフは出生時の平均体重と低体重児の割合の推移を示したものです。1975年から2005年…
不妊治療の一環でプロゲステロンの補充が必要になった時、補充の仕方はいくつかあるようでが、一番経済的で効果的と言われるのが、筋肉注射です。ただ、オイルに混ざったプロゲストロンの筋肉注射は、自己注射の中で、一番恐ろしく、痛いものかもしれません。そして、それを毎日の頻度でしなければならないとなると、間違えばかなり心と体両方のダメージを食らいます。 見た目の恐怖 まず、注射針の長さと太さに驚かされます。筋肉にきちんと届くにはこの長さが必要で、オイルに混ざったプロゲステロンをスムーズに注入するためにこの太さが必要だそうです。確かに、細い針では、全くもって注射器にさえ吸い上げられません。 日本人の細身体型の場合、針のサイズは0.6mmx25mm(23ゲージx1インチ)ぐらいで十分です。これは、太さが0.6ミリ、長さが2.5センチということです。同じ太さで、長さが4センチつまり、0.6mmx40mm(23ゲージx1.5インチ)の針もあります。もしかしたら最初はもう一つ太い( ゲージの)針を勧められるかもしれません。そうすると、サイズは0.7mmx40mm(22Gx1.5インチ)が通常です。 自分が使う針より…
新しい不妊治療クリニックの先生からの提案で、体外受精、採卵期間に今までにとったことのないサプリを服用しました。これらのサプリと、ヒト成長ホルモン(詳しくはこちらの記事)を同時に初めて試した結果、初めて妊娠に至りました。新しいサプリを飲み始めたのはどれも採卵期間が始まる一カ月前からですが、効果が少なからずあったと思われます。 チャコール(活性炭:夫婦ともに服用) Activated Charcoal (520mg) by GNC まず、先生は私たち夫婦がお米食中心であることと、魚介類を好んで食べていること。そして、私たちが住んでいる地域は大昔に大きな湖の一部だったところで、今も地質に重金属が含まれている傾向にあるということを話されました。つまり私たち夫婦の生活において、有害な重金属・物質が体に蓄積されている傾向がありました。 有害な重金属は、体外に排出されにくく、少しずつ蓄積していきます。それらが与える体への悪影響は、DNAや細胞レベルで起こる言われています。妊娠に影響ないわけがありません。 私の初見血液検査において、鉛と一酸化炭素値は問題なかったものの、水銀の値が2.3そして、ヒ素(Arse…
体外受精を目的とした2回の採卵経験後、新しいクリニックの先生の提案で、3回目の採卵期間にヒト成長ホルモンを加えました。 理由:小さなチョコレート嚢胞の存在と、高めのAMHで卵胞が育ちにくい可能性 右の卵巣にできた子宮筋腫は0.5-2cm。自覚症状はありません。 これまでの観察では大きくなる様子はなく、逆に少し小さくなったりしたこともありました。 また、AMHの値が8と高めであるため、卵胞の成長スピードが遅い可能性がありました。(多囊胞性卵巣 ;PCOの診断は出ていません) AMHが高いということはどういうことなのか 実際に、アンタゴニスト法を用いた過去2回の採卵では、卵胞の育ちが遅くなりがちでした。卵胞が育ちにくいので、平均9日といわれる誘発期間を13日くらいかけてやっと採卵できる大きさに近づけていました。 初めての採卵周期には、卵胞をどうにか育てようと、平均以上の期間で(多量に)ゴナドトロピン製剤を使用したので、血中エストラジオール値が増加し、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の危機になりました。症状としてはおなかが張るだけでしたが。 過去2回の採卵(胞)数は問題なく、平均18でした。 また、凍結に至…
サポート箸とは普通の幼児箸を使えるようになる前段階で取り入れる、練習用のお箸のことをいいます。 トレーニング箸、しつけ箸などと呼ぶことも多いかもしれません。 有名な商品だとエジソン箸。エジソン箸も種類がいくつかあるのですが、リングがついたものを思い浮かべる人が多いでしょう。ほかにもベビー用品メーカーやお箸メーカー、現在では100円ショップなどでもサポート箸は販売されています。 その中でも”ののじ”から出ている「はじめてのちゃんと箸」は異彩を放っています。 この製品を使って感動した体験を、今回はお伝えしたいと思います。 ののじ はじめてのちゃんと箸 SS (16cm) グリーン Amazon.co.jp まず、私の子どもは生まれつきの障害があり、上肢においては軽度の機能障害をもっています。つまり、手に軽い不器用さ・力の入りにくさなどがあるということです。 そのため小さなころからリハビリなどをしてきました。 お箸については、2歳児の中ごろからエジソン箸をスタート。リングに指を通して使うもので、親指のリングは備え付け、人差し指と中指のリングは取り外し可能という商品です。お箸の連結部がしっかりしてお…